軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第107話 変な目で見られない?

王都をぐるっと回る道を歩いているが、通り過ぎるのは冒険者や商人っぽい人間が多いように思える。

「普通の町人はいないんだな」

「中に住んでいる町人は別のところに用があってもまっすぐ進みます。ここを通るのは外に用事があるものがほとんどですね」

なるほどな。

確かにその通りだわ。

俺達と違って街並みにも詳しいだろうし。

俺達がそのまま歩いていくと、ちらほらと見えていた騎士の姿が増えてきたように思えた。

「騎士が増えてきたな。西門に近いのか?」

「ええ。そろそろですね。御二方はそんなことしないと思いますが、あまり騎士に怪しまれるようなことはしないでくださいね」

さすがにしないな。

俺達はチンピラじゃないし。

「そういうのもいるのか?」

「治安の良い町ですが、粋がって虚勢を張る若者や質の悪い酔っ払いはどうしてもいますからね」

それはどこにでもいるか。

「俺達はそういうタイプじゃないから安心しろ。むしろ、トラブルを避けたい方だ」

「そんな感じはします。逆に騎士は誇り高いので向こうから絡んでくることもありませんのでご安心を」

そんなイメージはあるな。

ナイト様ってやつ。

「あのー、オフェリアさん、ちょっといいですか?」

エルシィの腕の中にいるウェンディが声をかける。

「何でしょう?」

「騎士さんはどういう立場なんですか? やはり他国の兵士とは違う感じですかね?」

ウェンディが気になっていたことを聞く。

「そうですね……兵士という点は一緒です。ただし、騎士は騎士爵という身分になります。分類上は貴族になりますね。ただ、領地を持っているわけではありません。あ、いや、持っている人もいますが、ほとんどの騎士は持っていませんといった方が正しいですね。というのも騎士は戦場や魔物退治などで功績のあった者やその勇気や力を王家に認められた者がなれます。もちろん、身分ですので子孫に代々継がれます。しかし、やはり騎士家の当主は勇気と力を持たないといけません。騎士の子供は物心がついた頃から剣や魔法の腕を磨き、功績を作って国に認められるわけですね」

曖昧なところが多いな。

まあ、昔の日本でいうと武士だろう。

「じゃあ、レスターさんでも騎士になれるんですか?」

なれない。

無理無理。

俺のどこに勇気と力があるんだ。

「外国の方がなることもありますね。もちろん、それ相応の功績が必要です。どうです? 魔物退治でも?」

オフェリアが笑いながら振ってくる。

「無理。俺は錬金術師だ」

「そうですよね。まあ、御二人ならば騎士にならなくても錬金術師として功績を作って、地位を確保した方が早そうです」

それもないけどな。

「やはり何かあった時は騎士が率先して出ていくわけか?」

「そうなりますね。騎士の家はどこも馬を持っており、これが騎兵隊になります。ここのところは他国との衝突もありませんが、修練を欠かしていませんし、魔物退治なんかをしています。おかげで、冒険者ギルドのそういう仕事はほぼ騎士達に取られているって感じですね」

鉱物という資源が豊富なのにこの国が侵略されないのがよくわかるな。

海と山脈という天然の要塞に囲まれ、さらには兵も強い。

でも、逆に騎兵が中心だから山を越えるのも海を渡るのも難しい。

そりゃ他国も放っておく一択だわな。

「……錬金術師の育成に力を入れているのも頷けるな」

エルシィに小声で同意を求める。

「……はい。この国の弱点がわかりました。飛空艇です」

エルシィもわかったようだ。

まあ、そうだろう。

俺達はイラドの宮廷錬金術師だった時に軍事用の飛空艇開発の仕事もしていたのだ。

実はこの世界ではまだ戦争に飛空艇は使われていない。

しかし、イラドもゲイツもその研究、開発を始めている。

もし、これが進み、実用化されたらイラドが真っ先に攻め込むのはここだ。

同盟国である仲良しこよしのランスと協力して資源が豊富なこの国を狙うだろう。

もちろん、そんなことはこの国もわかっているから錬金術師の育成をし、対抗しようとしているわけだ。

「……国関係の仕事はNGにしよう」

「……それが良いと思います。下手に目をつけられたら強引にでも勧誘されそうです」

俺達、飛空艇開発のノウハウも知ってるからな。

もっと言えば、前世の記憶があり、錬金術師として一流な俺はこの世界にはない銃でも爆弾でも作ろうと思えば作れたりする。

エリクサーを作れることもだが、よく考えたら俺、かなりヤバい人間だわ。

「あのー?」

オフェリアが内緒話をしている俺達を見て、首を傾げていた。

「あ、いや、仕事のことをな……それよりもあれが西門か?」

前方には大きな門が見えている。

「ええ。あれが西門になります」

西門の周りには多くの騎士がいる。

しかし、それと同時に家族連れも多いように見える。

「子供がいるぞ」

「先ほど言った乗馬体験ですよ。他にもお遊びのような演習体験もやっているんですよ。騎士達は国を守りますが、それと同時にイメージアップ戦略も欠かしていないんです」

軍は民衆に嫌われやすいからな。

それにあの子供達が騎士を目指してくれたらそれが戦力アップに繋がるわけだ。

「ウチのウェンディでも乗馬体験ができるのか?」

子供よりも小さい人形なんだが……

「多分? まあ、行ってみましょう」

俺達は西門に向かって歩いていった。