軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

煌帝は堂々たる決闘を望む

勇気とはなんだ! 答えは簡単、弱者として強者に挑む権利をためらわずに使うこと!!!

勇気とはなんだ! 答えは簡単、整列した水晶群蠍の作った道を堂々と突き進むこと!!!

勇気とはなんだ! 答えは簡単、ぶっちゃけ" 皇金世代(ゴールデンエイジ) "に挑みたかっただけなんだけど適当な理由をこじつけて自分を納得させること!!!

結局勇気ってなんだ? 振り返った時に後悔しないよう全力で振り回す棍棒の名前だよ。

強キャラってのはピンチに取り乱さないことが最低条件なところがある。であるならば己が腹心を軒並み無力化され、通信用のケーブルを食い千切ったネズミであっても蠍の王様は堂々と出迎えるらしい。成る程? 水晶群蠍の性質上、どう足掻いてもエクゾーディナリーとの戦闘は大混戦になるだろと思っていたが……仮にも 金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン) と名のつくだけあった、まさかこう言う形で出迎えるとは。

「異常行動です、水晶群蠍のこのような行動は……」

「強キャラな王様ってやつは決闘スタイルがお好きなのさ………どちらかというと裏社会の喧嘩を囲む野次馬っぽいけど、もしくは金網デスマッチ?」

水晶群蠍が大暴れした後ってのは大抵、地面の水晶が残らず粉砕されて砂利のグラウンドみたいなことになる。だがそれにしたってこれは異常だ、明らかに………いや違う、マジかこれエルダーの亡骸の上なのか!? あの巨体の表面を均して真っ平らにしているのか。この際死体が消失しないのを考えるのは野暮だろう、元々生きてても死んでてもオブジェクトみたいなモンスターなんだから動かないだけありがたい。

そしてビッグ・グランパの亡骸を円形に囲んだ大量の水晶群蠍たちは観客であり、このコロシアムを囲む壁でもある。俺とサイナが円の中に入った瞬間、ただ一つ空いていた円の欠けた部分が水晶群蠍によって封鎖された……飛び越えたらどうなるのか試してみたい気もするが、 皇帝陛下(・・・・) の前でそんな無礼は働けまい。

『モンスター 不世出(ディスカバー・エ) の発見(クゾーディナリー) !』

『討伐対象:金晶独蠍" 皇金世代(ゴールデンエイジ) "』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

「あれが" 皇金世代(ゴールデンエイジ) "か………なるほど、いい趣味してるぜ」

水晶群蠍達が微動だにしないからこそ、俺の声がいやに響くし………エルダー以下通常金晶独蠍以上の体躯を誇るあの蠍がボリボリ齧っている宝石塔がどんどん欠けていく音もまた十数メートルの距離があってなおはっきりと聞こえる。あれ、ここの蠍じゃ食えない鉱石アイテムが塔になったって設定じゃ無かったか? おやつ感覚で食ってますが流石は皇帝陛下、そのチョコバーひとつでいくらすると思ってるんだ。

「どう見るサイナ、あの尻尾や鋏を補強している 色(・) に俺は激しく見覚えがあるんだが」

「推測:複数の鉱石を体内で合成した天然合金とでも呼ぶべき金属かと」

んー………鬼に金棒の類義語に蠍に合金があるとは。実例を出されると俺も弱い、ツッコミづらいからな。

とはいえ「客人」が来たからには"皇金世代"も悠長におやつを堪能しているつもりはないらしい。特徴的な形の「鋏」で器用に掴んでいた三分の一程度にまで齧られた宝石塔を投げ捨て、その「鋏」を展開する………鋏っていうよりカマキリの鎌、いや違うなそんな180度展開するなら立派な曲剣だな。

「数多の鉱石で鍛えた黄金の「剣」……何かシンパシーを感じる」

正眼の構えで突きつけられた尻尾……針と呼ぶには分厚く鍛え抜かれ過ぎている「剣」をこちらへと突きつけ、"皇金世代"はいつでも来いと言わんばかりに佇んでいる。よーいドンはこっちが出していいのか? 蠍にこんな情けをかけられたのは初めてだ、俺たちはきっと親友になれる。

「サイナ、あれほどのモンスターを倒せる奴はパパの心ない言葉にカウンターで 肘(エルボー) を入れられる。そうは思わないか」

「疑問:何故暴力的解決手段を前提としているのか」

「百の言葉を考えるより五本の指を握りしめて一発入れた方が手っ取り早いからかなぁ!!」

喧嘩を売るだけなら舌を回すより腕を振り回せ! 戦闘開始だ、先行をくれるなら初手からぶちかましてやるよ。出番だSTING、人工養殖の蠍パワーを見せてやれ!!

槍弾頭(ジャベリン) モード、一撃の貫通力に特化した弾頭を精製、装填……そしてぶっ放す。射程距離には既に入っている。眉間に針治療してやるぜ。

だが"皇金世代"のとった行動はシンプルだった。つまり尻尾の「剣」を盾にして槍弾頭を防ぐ、たったそれだけ………だが、たったそれだけでSTING最大の貫通力があっけなく弾き飛ばされた。ノーダメージっすか、傷一つついてねぇや。

「来るぞサイナ! "皇金世代"がピンチになったら部下を使わないことを祈りつつ戦闘開始だ!!」

「報告:損傷七割」

「あーはいはい回復ポーション渡すの忘れてましたね!!」

ひゃっほう宝の山が物理的に殺しにかかってきてるぜ!! 甲殻類系モンスター特有の恐ろしくシャカシャカした動きをさらに速くした加速で距離を詰めてきた"皇金世代"の剣鋏が俺とサイナのいた場所を薙ぎ払う。通常個体が比較にならない、攻撃の属性が打撃じゃなくて斬撃だから引っかかるだけでも致命傷になりかねない、どんな 鈍(なまくら) も刃の形をしていれば車並みの推進力で振り回したら鉄板を斬り裂ける……そして皇帝陛下の剣鋏はとても切れ味が良さそうだ!!

「援護に回れサイナ! 俺が切り結ぶ」

「了解:」

言ったはいいが斬り結ぶのは無理だな、傑剣への憧刃でクリティカル出しても単純に膂力で真っ二つにされかねない。こんな風にぃぃぃい!!?

ガズン!!!! と真上から落ちてきた剣……剣鋏と差別化しないと混乱する、見た目がレイ氏の姉ことサイガ-100が使ってたエクスカリバーっぽいので聖剣……そう、「聖剣」だ。聖剣と認識しよう。

"皇金世代"の聖剣が元おじいちゃん現地面へと突き刺さる。切れ味抜群、エルダーの表面ってめちゃくちゃ硬いはずなんだけどな。

「一応やっとくか、へし折れろや!!」

傑剣への憧刃(デュクスラム) と 傑剣への憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ) による攻撃! 当然スキルによる補強もつけてぇ………! 余裕で弾かれるゥ!! 硬い、あまりにも硬すぎるぜ!!

ターン制というわけではないはずだが次に動いたのは"皇金世代"だ。地面に突き立てた「聖剣」でそのままザリザリと地面を削り斬りながら俺を巻き込んで尻尾を引き抜こうとしている、回避自体は楽だが奴の剣は三つある。一つ避けても残り二つ、おっと剣鋏をフル展開して俺をハグするつもりか……!! だが俺へと組みつく前に、横から浴びせかけられた弾丸の雨によって"皇金世代"の動きが僅かに止まる。

「効果:ほぼ無し………蛮勇では?」

「 野蛮(ワイルド) な 勇気(ブレイブ) ってことだろ強そうじゃねーか!!」

「指摘:神代人類言語的には 蛮勇(レックレスネス) かと」