軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

資金をコストに娯楽をサーチ、何かありますか

リヴァイアサン第三殻層「戯盤」。

そこは第一、第二殻層よりかは一回り二回りは小さいものの、それでも下手な都市よりも巨大な超巨大規模全天周囲アミューズメントエリアである。

これまでの殻層とは異なり、ここで求められるのは敵を倒す腕力ではなく………ギャンブルに勝つ 腕(・) だ。

スロット、競馬ならぬ競戦術機、ルーレット、カードゲーム、エトセトラエトセトラエトセトラ……稼いだスコアを元手に開拓者達はこの閉ざされた欲望の揺籃の中心に浮かぶ四層へと進む道を切り拓かなければならない。

それはそれとしてリアルじゃ逆立ちしたって再現できないサイバーファンタジーカジノだ、ちょっとくらいは遊んでもいいだろう。そんなサバイバアルの提案に即賛成した俺と、レイ氏の三人は一時間後に指定の場所で再集合する手筈で散開。

───そして俺は今、ラビッツに来ていた。

は? カジノ? アミューズメント? ンなもんクリアしてから遊べばいいだろうが。何か必須アイテムが出るならともかく、要するに次の殻層に行くためのステージギミックなんだからそれよりも優先すべき事項がある。

「エルゥゥク!! 全連結スキルを解除してくれっ!! あと久々に通常のスキル剪定もやるぞっ!! 最速最短で最多の「昇華」までたどり着くにはそれしかねぇ!!」

「あはーっ! 毎度ありぃ〜!!」

ビジネスパートナーだから情や愛などよりもマーニだけが俺達を強く結びつける信頼なのだと、俺も銭ゲバ兎もちゃんと理解している。それ故に俺が突然の一斉連結解除に踏み切った理由をエルクが問うことはなく、俺もまた無言で金を積み上げる。

それでいい、それでいいのだ……極まった簡略化は芸術性を帯びる。それはスキルも同様だ、元より手数は武器で補えるしリキャストは「愚者」で賄える。

「でもいいの〜? せっかくの連結スキルをほとんどくっつけちゃうなんて〜?」

「いいんだよ、今求められてるのは質の揃った精鋭だ」

最悪取り直せばいい、スキル剪定所で過去に取得したスキルを再取得するみたいなシステムがあったはず。面倒臭かったのとすでに上位互換があるのだから必要なくね? と思っていたが、なるほどこういう時に役立つわけだ。

「とりあえず二連結系は全部一まとめに、三連結以上はちょっと考える」

よし、よし。ここをこうしてこれとこれが組み合わせられるならここで統合して……これでどうだ!!

「よし完璧」

スキルの総数は手を加える前よりも増えているが連結スキルは全て解除した、これでスキル自体の練度を上げられる……とはいえ参ったな、残り2レベル上がるまでにいけるかどうか。

「500マーニ足りないわぁ?」

「ツケで……いやお前たった500マーニでよくそんな嫌な顔できるな」

「私が嫌いな言葉は割り勘とツケなのよ〜」

「ツケで」

「仕方ないわね〜……」

良いだろうがよ、日頃からアホ程献金してるんだから。集合まであと四十分、なんか適当に倒してスキルの試運転するのも良いが三層攻略で俺だけ寄り道し続けるのも申しわけが立たない。ちゃんと攻略の糸口を探さないとな。

そんなわけでやってきたのは第三殻層の中でも少々特殊というか、他とは若干性質の異なる様子を見せる通称「タワー」だ。

ここで行われているのは……ファ……ファ? いや違う確かフィ……

「フィールドワーク・ジェネシス?」

『フィロジェネテック・ジオグリフですね、リヴァイアサンが自信を持ってリリースするトレーディングカードゲームです!!』

そう、ここで行われているのはTCG、いわゆるトレカなのだ。

トレーディングカードゲーム、実は割と門外漢なカテゴリだ。買い切りのコンシューマゲーと違って環境の変化に追いつくようにマネーをコストにしなければならないのもあるがアレはテーブルゲームに分類されるからな。なによりプレイヤースキルがアクションじゃなくてロジックだから際立って強くなるのは難しい。

フルダイブならモンスターを呼び出したり天変地異を起こしたりも自由自在なので、そりゃ当然VR対応のゲームもあるにはあるが……

「ああいうのって大体リアルで作ったデッキをリーダーで読み込んでフルダイブ内に反映させるからなぁ」

まぁ、やらないんだよな……武田氏の友人には今でも現役の方とかいるらしいけど。TCGはマネーゲーム、が口癖の人らしい。

そんなわけでTCGというものに俺はあまり詳しくない、では何故ここを選んだかと言えば……大体ギャンブルだったり身体を張るようなゲームばかりの第三殻層において、ここだけは理詰めで攻略可能な場所であるからだ。

調べる価値はある、だからこそここに踏み込んだ俺は……まぁ当然ながらデッキがなければお話にならない事に気づいた。

『フィロジオではまず最初に構築済みデッキが無料で配布されますが……』

「まぁそれで勝ち進むのは難しいだろう」

求められるのは勝てるデッキだ、上位Tier……TCG畑だと環境って言うんだったか? ともかく環境デッキ、そしてなによりレアカードが求められる。

「よーし「勇魚」、景気付けにこのブースターパック「ユア・エクスペリエンス」を五箱買うぜ!」

『剛毅ですね、こちらのパックは貴方がこれまでに遭遇してきたモンスターがカードとして排出されるパックです。つまり貴方だけのデッキが組める、とも言えますね!』

成る程、俺が今までに遭遇してきたモンスターか。そうなると狙い目はやはり水晶群蠍やシグモニアの巨大蟲、そしてユニークモンスターなどだろう。

ゴリっと削れたスコアの代わりに、自販機から出てきたボックスを抱えてフリースペースの空いた席に座った俺は早速パックを剥き始める。

「ちなみにレア度とかは?」

『下からコモン、アンコモン、レア、エクスティンクション、レジェンダリー、ザ・ワンとなっております!』

スーパーとかベリーじゃないのか? いや違うな、エクスティンクションって絶滅だった筈、ってことはこれレアが文字通り「 希少種(レア) 」ってことか。

「ちなみに今、環境デッキとかあるのか?」

『そうですね、採用率が最も高いのは「汚染環境」を採用した竜化環境デッキでしょうか』

「竜……あー、近所だから」

とりあえず1パック目。

・水晶群蠍 (コモン)

・水晶群蠍 (コモン)

・水晶群蠍 (コモン)

・水晶群老蠍 (レア)

・偏食環境 (レア)

………ええと? 2パック目。

・水晶群蠍 (コモン)

・水晶群蠍 (アンコモン)

・飢餓変質 (アンコモン)

・金晶独蠍 (レア)

・FM'sクリサリス"戦災孤児"(レジェンダリー)

「ああ、成る程水晶群蠍は個体数が多いからレア度が低いんだな?」

『あ、いえ……ユア・エクスペリエンスは個人の戦闘記憶からの参照なので、恐らくコモンに成る程遭遇撃破している……という事かと。他の方の場合は最低でもレア、あるいはレジェンダリーで排出されることが殆どです』

「再録じゃねーんだから……」

なんだかとても嫌な予感がしてきた。そしてそれは、レジェンダリーレアにまで昇格したユザーパードラゴンが出てきた瞬間に確信に変わるのだった……