軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

やせいの へんたいが とびだした !

道中バッタリ遭遇した不幸なアルミラージは何もドロップしなかったが、アルミラージの肉は30個ほどあるのでもういらない。

地味に動きづらい感覚に眉を顰めつつ、声のする方向へと歩いていく。

「こっちの方……あ、いた。」

丁度背の高い草叢で隠れる形になってしまったが、確かに獣道を進む男女、男一人に女二人という羨ましい編成の……頭の上に名前が表示されていることからプレイヤーである三人組がいた。

「騎士、盗賊、魔術師……好都合だな。」

魔術師は確か初期習得でファイアボールを覚えていたはずだ。うろ覚えだったが魔術師は全員一律で初期は火属性だったはずだ。

アルミラージ肉、オーク肉、ヴォーパルバニー肉、全部合わせて70個ほど生肉があるので、いくらか譲れば火を分けてくれるかもしれない。

さてどう話しかけたものかと悩んでいると、どうやら三人組がモンスターと遭遇したらしい。

「わぁ、可愛い!」

可愛い、つまりオークやゴブリンは除外。

「兎みたいだけど……これもモンスターなのかな。」

ふむ、アルミラージかな?ヴォーパルバニーはレアエネミーのようだしそんなピンポイントで遭遇するわけ……

「この兎、二足歩行なんだな。」

ヴォーパルバニーじゃねぇか!!

草むらから顔を出せば、よりにもよって魔術師の少女が無警戒にヴォーパルバニーへ近づいており、数十体ヴォーパルバニーを倒した経験から、あの首刈り兎が攻撃のそぶりを見せている事がありありと理解できる。

「待ぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「へ?」

「え?」

「は?」

草むらから飛び出す半裸の鳥頭が双剣を振り上げ草むらから飛び出す。

このままでは間に合わないと確信、跳躍と同時にフラッシュカウンター発動。

魔術師の少女と少女に飛びかかるヴォーパルバニーの間に飛び込み、右の刃でヴォーパルバニーが持つ包丁を弾き飛ばす。

身体を捻り、回転するようにして左の刃を下から上へヴォーパルバニーに叩きつける。

クリティカルが入ったらしく、一撃で絶命したヴォーパルバニーがポリゴンとなって爆散、ドロップ落ちなかったかー、と呑気に考えつつ受け身をとって三人組に向き直る。

そしてここでようやくこの場にいる全員が状況を内容はともかく結果を理解する。

……すなわち「草むらから飛び出したやけに目力の強い半裸鳥頭の変態が可愛らしい兎を惨殺した」という結果を。

「きゃああああああああ!!!」

「いやぁぁぁあああああ!!!」

「うわぁぁああああああ!!!」

構えられる三人組の武器、突っ込んでくる三人、振り下ろされる武器……

「っと危ねぇ!!」

流石に受け身をとってしゃがんだ状態から三方向同時攻撃は少し背筋が冷えた。

使わないと思っていたスキルその2であるタップステップで距離を離しつつ、大声かつ分かりやすい口調で戦闘の停止を求める。

「ストップ!ストーップ!俺プレイヤーです!スターップ!!」

「変態ぃぃぃぃぃぃ!!」

「それは否定できないけど!ホラ見て!プレイヤーネーム表示されてるから!!いやマジで!!」

「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」

PvPの経験が無いわけではないが、流石にシャンフロプレイヤー初遭遇がPvPは回避したいところだ。

結局、三人のうち盗賊の少女が冷静になって二人を抑えてくれるまで、俺はただひたすら回避と受け流しを繰り返す羽目になったのだった。

「あの、その……危険なモンスターから助けてもらったのに、すいません……」

「あぁいや、金に目が眩んで変態装備で冒険始めた俺の方が非が大きいから……」

何とか「レアエネミー珍獣ハンラトリアタマ」から「頭おかしい格好のプレイヤー、サンラク」に評価を変える事ができた俺は、三人に頭を下げる。

騎士の男子がソーマ、盗賊の少女がカッホ、魔術師の少女がリーナという名前らしい。

このゲーム見た目は好きにカスタムできるが声だけは変えられないらしい。

そのため見た目幼女でも声を発するとおっさんバレ、ということはザラにあるらしいのだが、この三人は声的にも中学生といったところか。

後輩も後輩な三人をむやみに怯えさせて本当に申し訳ないが、毛皮は加工しないと装備にできないようなので街に行くまではどう足掻いてもこの格好なのだから仕方がない。

「えぇとその、サンラクさんはずっとここでレベリング……してたんですか?」

「あー、まぁね。とりあえずモンスターの動きを見るだけのつもりだったんだけど、最終的に色々検証したくなってね。」

クソゲーをやっていた頃の癖のようなものだ。

小数点以下ドロップ率とかザラだったので、とりあえず敵MOBは枯れるまで狩る、が身体に染み付いてしまっているのだ。

いや無限スポーンは勘弁してくれ。