軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ブロックを相手の顔面にシュートする超エキサイティングなバトル

ボスの名は改修型拠点製造式ゴーレム「デベロッパー」と言うらしい。

「マニュファクチュア」とかの方が名前的に相応しいんじゃないか、と思うが……と考えていたのも先程までのこと。

俺たちは今、「 土地開発業者(デベロッパー) 」という名の意味を相対することで否が応にでも痛感させられていた。

「サンラク! 地形が変わるぞ(・・・・・・・) !!」

「見りゃわかる! 跳べェ!!」

噴出、固化、そして殺到。ブロックタイプのパズルゲーの如き直線の軌道で「場」を埋めに来る巨大な立方体のルートから飛び退って離脱する。

次の瞬間、左右から迫っていた 立方体(固化ジェル) が俺たちのいた場所を挟み潰してサンドする。

「なぁサンラク、俺は神代の叡智などとんと知らないが……あの巨大なゴーレムの腹にくっついたアレ……もしかしなくても、中の粘液が尽きない限りずっとこれが続くのか?」

「冴えてるじゃねーか、全くもってその通りだ!!」

改修型拠点製造式ゴーレム「デベロッパー」、成る程前情報の通り元々は「アンツ」の母機……統括する本体としてのゴーレムだったのだろう。

蜂の巣に蟻の上半身をくっつけたかのような異形は、働き蟻たる「アンツ」の格納庫としても機能するのだろう。

だがそれだけなら単なる非戦闘要員、蜂の巣型の腹部の左右に取り付けられた超巨大 貯蔵槽(タンク) が奴を難攻不落の要塞へと変貌させていた。

「頭悪い感じにくっつけてるくせにシナジーが悪質過ぎるぞ……!!」

アグアカーテが 魔光(マズルフラッシュ) を輝かせて魔弾を放つ。弾丸は真っ直ぐに飛翔すると、ゾンビ映画のゾンビが如くこちらへと迫るテクノマギジェルスの一体に命中し、その身体を後ろのジェル野郎諸共吹き飛ばす。

「やっぱ一撃でコアを 貫(ぬ) くのは無理か……サイナ! タンクは狙えるか!」

「報告:現座標からの遠距離攻撃手段でタンクを破壊することは不可能かと」

「デベロッパー」はその鈍重に過ぎる腹部へさらにタンクを二つもくっつけている、当然高速機動など望むべくもない。

だがそれを補う質量が厄介過ぎる、奴は「アンツ」の母機であり、テクノマギジェルスの生産者でもあるってわけだ。

ボポンッ、ボポンッ! と気の抜ける音と共にタンクに備え付けられた「砲塔」からジェルの塊が射出される。バブルティーの如くジェルの中に金属の 粒(コア) が混入したそれは地面に叩きつけられると同時に分裂増殖しながら人の形に立ち上がり、母を守る兵士としてこちらへと迫る。

だがそれだけなら、テクノマギジェルスが群れるだけならそう大した脅威ではない。問題は奴が「 地形を作る者(デベロッパー) 」であるということだ。

タンクから射出されたテクノマギジェルスの何体かが「デベロッパー」の許へと集まる。

カマキリの鎌のような肥大化した前脚を持つ「デベロッパー」がテクノマギジェルス達を掻き集めるように一纏めにすると、ジェルの塊は粘土細工の如くぐにゃぐにゃと形を変え……最終的に、複数のコアを内蔵した巨大な固化ジェルの立方体が出来上がる。

そして当然の如く遠隔操作されるそれは直線軌道で上から落ちてくる、右から飛んでくる、左から壁にぶつかる……くそッ、俺は今何ゲーをやってるんだ? パズルゲーか!? 一列揃ったら爆発とかするんじゃねーだろうな!?

「どうするサンラク!」

「アラバはテクノマギジェルスを間引いてくれ! コアが無けりゃ単なるジェルだ、総量を削れ!!」

「任せろ! ゆくぞネレイス!!」

「ウン」

アラバは機動力こそ低いが素の火力が高いタイプだ、ネレイスという魔法支援を併せれば雑魚相手の無双は容易い。

モンスターは撃破された時点で消滅、アイテム化する。兎にも角にもジェルを「デベロッパー」に触れさせる事を回避しなければならない。

くそッ、雑魚エリアのボスなら雑魚だろうと考えたのは早計だったか? それともあのタンクが破壊不可能なタイプのオブジェクトってだけか? そしてそれはそれとしてブロックあぶねぇぇ!!

「くっそ……サイナ、ジェルブロックは破壊できそうか?」

「攻撃の殆どは質量によって無効化されます、破壊自体は可能ですが現実的ではないかと」

んー……まて、考える。

周囲の雑魚のレベルは30ちょい、ほぼ無尽蔵に生産するあたり本体そのもののレベルはともかくダイレクトに暴れる系じゃない。

フィールドは正方形、だからこそブロック攻撃は直線に飛んでくる。

雑魚敵として生み出されるテクノマギジェルスはこちらに襲いかかってくる奴と「デベロッパー」本体のブロックに使われる奴の2パターン。

ブロックの破壊は現実的ではなく、ブロックは設置されたまま残る……少なくとも触ったら攻撃されるとかはない。

と、な、る、と……………

「こうか?」

壁際に寄ってジェルブロックを誘発。落ちてきたそれを回避しつつボスフィールドの壁に発砲。

重力ギミックが発動し、押し出されたジェルブロックはテクノマギジェルス達を撥ね飛ばしながら「デベロッパー」本体の顔面に激突した。

「………ほっほーう?」

なんかぁ……妙に勢いが良過ぎるというか? これもしかしなくても……重力ギミックの適用範囲に入れば一定の速度で吹っ飛ぶ系のオブジェクトじゃね?

「つまり………」

やっぱこれパズルゲーだな? だがそうと分かれば話は早い!!

「アラバ! サイナ!床か壁を壊せばジェルブロックを吹っ飛ばせる!! 味方に当てないようにしつつ野郎にぶちかましてやれ!!」

そして壁を壊せば、それを直そうとする奴が出てくるわけだ!

悪いな「デベロッパー」、「アンツ」の制御は貰うぜ!!

弾丸がめり込んだ壁を直しにやってきた「アンツ」に弾丸を叩き込み、母機から制御を奪い取って飛び乗る。

「サイナ代わりに乗れっ!」

「了解:次のオーダーは?」

「直上まで昇って頭を狙え! 」

バトンタッチだ、走る「アンツ」から飛び降りた俺の上をサイナが宙返りしながら跳び上がり、そしてそのまま「アンツ」の操縦席に着席。ノリでやったけど器用だなお前……

「アラバぁ!!」

「なんだ!!」

「今からブロックぶっ飛ばしまくるから気合いで避けろ」

「はぁあ!?」

小手調べだ、三段重ねブロックタワー射出行くぞオラァ!

「ウーノ! ドス! トレス! フォイヤー!!」

むっ、あの蟻ヤロー自分に飛んでくるジェルブロックを新規生成したジェルブロックをぶつけて相殺しやがった。

「面白い……! 乱打戦と洒落込もうかァ!!」

「待っ、俺がヤバイぞ! やめろォーっ!!」

「全弾斉射! てェーっ!!」

「のわぁぁぁぁあ!!!」

積み上げられてきたジェルブロックが前に後ろに乱れ飛ぶ。俺にピンポイントで当てに来たジェルブロックは床を破壊して真上に吹き飛ばす。

時には俺自身を吹き飛ばす事で無理やり回避する、重力の性質上同じ方向にジェルブロックが飛んでくるわけだが、逆にそれを利用して横軸の調整を行う。

弾が尽きればジェルブロックを切ってMP回収、この姿でも一応モンスター判定は残ってるらしいな。

既に「デベロッパー」にはいくつものジェルブロックが命中し、明らかに動きが鈍くなっている。

弾の補充に使いつつ弾としても使える……いいね、ノッてきた。

「よーし左の鎌破壊ィ!」

直前で結合解除とか器用な真似は出来ないらしい、だが最早関係ない話だ。

「アラバ! 押し流せ(・・・・) !」

「無茶を言ってくれる……だが通して見せよう! ネレイス!!」

「アイヨ……【 陸波濤(クガハトウ) 】」

アラバの魔力を使って、ネレイスの力が行使される。

虚空から生み出された魔力の大波がテクノマギジェルスを左から右へと圧倒しながら押し流し、ジェルブロックを作るための材料を失った「デベロッパー」の残った右鎌が空を切る。

「プレゼントボックスだ、遠慮せず受け取れ」

残弾四発を全て壁へと叩き込めば、床を覆う【陸波濤】の水を掻き分けながら猛烈な速度でジェルブロックが滑り疾る。

「ストライク! そしてぇ……サイナ!」

「確認:狙撃します」

顔面にジェルブロックが激突した事で晒された隙に真上から狙撃銃の一撃が叩き込まれる。俺が購入した奴とは訳が違う、戦術機獣と同時運用する前提の大火力ライフルだ。瀕死の雑魚ボスに耐えられるかよ。

「ステージクリアだ、門を開きな……勇魚」

実際どこにいるのかは知らないが、天を指差し笑みを浮かべる。

それと同時に「デベロッパー」が断末魔の軋みと共に崩壊……今ここに、第一殻層のボスは倒れたのだった。