軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ねちょってこうぜ!!

バハムート二番艦リヴァイアサン、その構造はなんとまぁ驚きの真珠式だ。

要するに中心に最も大事なエリアがあって、まるで核を長い年月をかけてコーティングして真珠になるかのように複数の階層、否「殻層」で覆っている。マトリョーシカ式と言ってもいいか。

では俺たちはこの巨大なマトリョーシカ構造の金属鯨の何処を探索しているのか? 聞いて驚け、鯨型の殻の 内側(・・) だ。

「勇魚」曰く神代の叡智を以てすれば引力制御など児戯にも等しい、神代人類発祥の地(もしかして:地球)を文字通り「削って」建造されたのだというバハムートのサイズはもはや一つの大陸と言ってもいいくらいだ。千キロメートルは軽く超えてるとか言ってたけど、オーストラリアの横幅が四千キロメートルとかそんなもんじゃなかったか?

そんな訳で、例えばリヴァイアサンの船底側に上下逆さまに立っていたとしても重力制御で地上となんら変わりない挙動で動けるのだとか。ちょっと前に経験済みだよそれ。

「ふーむ……つまり今俺たちは巨大なハリボテの「裏側」に立ってるのか」

HAHAHA、通りで妙な坂道が地平の向こうに見える訳だ。あれ壁じゃなくて床か。つーことはこの数千キロメートルを駆け抜けてあの道を登りきれば天地逆転で天井に立つ事になる訳だ。

「次殻層に行くためにはこのだだっ広いエリアの何処かにあるボスモンスターを倒して転送ゲートに到達するんだっけか?」

「サンラクよ、俺にはイマイチ理解しきれなかったのだが……つまりどういう事なんだ?」

「強そうなやつを見つけ出してボコる、以上」

「成る程、分かりやすい」

とりあえず今分かっているのはチュートリアル殻層という事で出現モンスター(ボス含む)の情報くらいか。

「新世代ゴーレムに旧式ゴーレム、ボスは新世代改修型戦闘用ゴーレム………なにこの、ゴーレム祭り」

『第一殻層「迎門」ではシンプルにかつての時代の叡智を知ってもらうべく、労働力として起用されていた無人作業ワーカーロイドを主に 配置(展示) しています! ちなみに新世代ゴーレムに関しましては 征服人形(コンキスタ・ドール) 開発者アンドリュー・ジッタードール博士考案の設計図を参考に独自解釈を加えて作成しました!』

「おいサイナ、あの 歩くゼリー(・・・・・) お前の親戚らしいぞ」

「成る程、確かに肉体の九割を固体としても機能する流体で形成するメリットは無視できないものがあります。しかしながら 当機(ワタシ) のインテリジェンスは流動的かつ革新的です、即ち知性的に当機の方が優秀であることは自明の理と言えるでしょう」

成る程、確かにNPCとMobを比較する場合インテリジェンス……というよりAIの優劣は重要と言っていい。だが材質が何かは知らないが少なくとも人の肌に近い材質の……って、

「あれお前手足治ってるじゃん」

「…………推奨: 眼球の移植(お前の目は節穴か?) 」

「なんだとこのやろう」

「神代における最大拠点、地と海と空に消えた三隻のバハムートは最低でもクラスIXオブジェクトです。それ故、出現が確認された時点で征服人形の精鋭が前線拠点に集結しています」

「マジか」

いやまぁ、ジークヴルム戦の最中にサイナには派手に暴れさせたから隠すもへったくれもないが……そうか、征服人形の「本来の」コンタクトはバハムート出現直後なのか。

「 当機(ワタシ) は 契約者(マスター) とのリンクを繋げているため、先行してリヴァイアサン艦内の調査を可能としています。その為、同型が装備を譲渡する事は至極当然であり……」

「身も蓋もない言い方をすると?」

「エルマ型用予備パーツ及び戦闘装備一式、 借り(掻っ払っ) て来ました」

何号機かは知らないが、装備品も予備パーツも持ってかれたエルマ型に黙祷───

それはそれとして、

「サンラク! 奴らこちらに気づいたぞ! どうする? こっちの道を行けば戦闘は回避できそうだが……」

「バカ言え、 威力偵察(ぶっ飛ばす) に決まってるだろ」

推奨レベル的に負ける要因も無さそうだし、ゴーレム系のモンスターは刻傷の効果を受けない数少ないモンスターの一つだ。少なくとも神代系列のゴーレムはぶっちゃけロボットだからな、敵性認識すれば向かってくる。

そう、例えそれがなんかこうゼリー飲料が人型になって歩いてる感じの妙な奴だとしても超々々々々弩級艦船のAIが太鼓判を押した以上あれが新世代ゴーレム? ワーカーロイド? とやらなのだ。

「ふーむ……くたばれオラァ!!」

「武器を投げたぁ!?」

どれだけ強化されようとな、湖沼の短剣を祖とする彼ら二振りは酷使される星の元に生まれてんだよ。

「偉業」の関係上、一本しか強化できなかったが……まぁそもそも 傑剣への憧刃(デュクスラム) の時点で能力的には完成されてるし片方未強化でもそれほど問題はない。

「投げていいのか!? 凄まじい業物の気配がするが!!?」

「おう、 傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ) 君だ。その気になれば魔法だって叩き斬れるぞ」

どうもトレイノル・センチピードを討伐したのは俺が思っている以上に大事だったらしく、ビィラックから傑剣への憧刃の派生としてこれが提示された訳だが……まぁ正直に言うとちょっと使いづらくなったが機能が増えた感じだな。

耐久値半減は……まぁクリティカルを出せば無視してもいいデメリットだ、ただ長期戦はちょっと苦手になったかな。

その代わりに 金晶戦衣(エグザイル・クロス) と同系統の魔力チャージ能力が追加されたが、魔法がな……いよいよもって覚えるか? 魔法。

ついでに魔法への耐性、地味にこれがデカい。氷だろうが炎だろうがそれが魔法なら剣へのダメージがレジストされるわけだからな、遠慮なく斬れる。

「言っとくが俺のリアル投擲技能はゴミだがゲーム内ならダーツにダーツを刺すことも頑張れば出来る。つまり投擲クリティカルなど容易いと言う事……!!」

んでもって、ジャベリンの如く投擲された 傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ) が、もうなんか逆にフェイクなんじゃないかと思えるくらいあからさまに「弱点!!!」アピールの激しいゼリーゴーレムの胸に埋まった三角柱型の機械に突き刺さる。

うーん、モンスターのレベル平均30ということを加味しても随分とあっさり突き刺さったし……魔法系列か?

「勇魚ー勇魚ー、詳細教えてー」

『はいはいはい! 「勇魚」ナビゲーションのお時間です!! ただ今制御ユニットを一撃でぶち抜かれて機能停止したあちらこそアンドリュー博士の理論に基づいて開発した新世代ゴーレム「テクノマギジェルス」で御座います!』

テクノでマギでジェルか、名は体を表すとはまさにこのことか。

『ふむふむ、今しがた投擲された剣はマナ粒子を「弾く」性質を持っているのですね。外付けではなく素材そのものの効能かぁ……それじゃあテクノマギジェルスじゃ勝てないのも道理です、一応あれ 反省(・・) を活かして外部からの魔力干渉への抵抗力があるんですけれど、内燃的効果には弱いですから』

ドロップは……あぁ、このジェルっすか。えぇ……いやナメクジの粘液とかよりはマシかもしれないけどさぁ。

『塗ると魔法に対する抵抗力が上がりますよ! あと若干表皮細胞が活性化します!』

美容品で御座ったか、もしかしてこれ売れるんじゃね?

そう考えると、なんだかムラっと来るものがあるな………小生、所持金カンストさせることにえもいわれぬ達成感を感じる手合いであると同時、アイテム欄は所持可能限界数まで埋めたくなるタイプでな。

「勇魚、リスポーン地点はさっきの休憩所みたいなところだよな?」

『YESYES! 快眠をお約束する科学的見地から最上の設計をしたベッドが貴方をお待ちしております!』

「……おい待てサンラク、何故だか酷い既視感を感じるのだが」

純神代製のドロップアイテム? レア度は低そうだがやる事は一つだろう。

「ククククク……!!」

素材狩りの時間じゃぁぁぁあああ!!!