作品タイトル不明
龍よ、龍よ! 其の十八
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断言できる、今の俺ならリュカオーン(影)をソロ討伐できる。そんな確信すら抱く程に今の俺は強化されきっていた、極まっていた。
「ラス 一分(イチ) ィi i i!!」
生かさず殺さず、されどド派手に目立つ。であれば四分の積み重ねを経たこの残り一分がクライマックスだ。
第三形態のタイムリミットは五分、厳密には六分だが俺にとっては五分だ。そして四分経過した今、いい加減 小竜(ザコ) 狩りも切り上げ時だろう。
「狙うぜ本丸! その白、血染めにしてやるよoooAAAA!!」
『なんだ、何なんだお前はぁあ!!』
フハハ怖かろう、ここに至るまでに100キル以上は叩き出してるからなァ……激重な筈の特大剣が今や羽のように軽い。軽すぎて逆にちょっと使いづらく感じてきたくらいだ。
発動してから時間が経過するほどに赤い頭蓋に侵食された身体はその怪物性を増していく。
今や俺の全身に上から覆いかぶさっていた、言うなれば頭巾のようなものであった筈の赤い液体は今や肉の如く振る舞い、腕を振るう度に、尾を振り回す度に、その顎で噛み砕く度に赤く怪しく脈打ってすらいる。
「クラaaaa……イ、MaaaaAXゥ……!!」
赤竜が邪魔だな……さっきからどうにかしてブライレイニェゴを盾にしようとしてるが、一々みみっちいぞあの野郎。
ダン、と地を蹴り駆け出す。だがこれは助走に過ぎない、二体の竜に迫る中程で投擲のフォームを取り、加速と慣性、物理演算の悉くを推進として得た 別離れなく死を想ふ(メメント・モリ) をぶん投げる。
「っしゃオラァアAAAA!!!」
『ギャオアアァア!?』
俺にとっては羽の如く軽い剣であっても、それ以外にとっては鉄塊よりなお凶悪な特大剣。ボン! ともバウ! とも聞こえる凄まじい風切り音を伴って漆黒の刀身がドゥーレッドハウルの肩を貫いた。
「イイぜeee、ノッてkiた……切り札一枚、お前ni使ってやnよ」
吼えろアラドヴァル! 燃えろアラドヴァル・リビルド!!
再構築(リビルド) に至り、新たな担い手に馴染んだ 英傑武器(グレイトフル) は、真に担い手を認めた時未だ語られざる 奥義(スキル) を覚醒させる! byヴァイスアッシュ!!
煌々と燃え盛る灼熱の剣が未だに俺の前に突っ立っているのろまな小竜を 焼滅(・・) させ、道を切り開く。
「其 ha(は) あり得 za(ざ) る槍、断章積 mi(み) 編 mi(み) て紡が re(れ) し非実在の輝 ki(き) !!」
曰く、その槍はグングニルやロンギヌスに次いでザ・ファンタジー槍ネームの大御所でありながら、実のところは日本で勝手に作られた名前らしい。
であるならば、それは存在しない幻像の槍。しかして確かに振るわれる必勝と光を、アラドヴァルは炎として定義する!!
轟々と大気を喰らい燃え上がる灼熱の剣、もはや刀身全体が赤く黄色く白く発光し、ジリジリと担い手たる俺すらをも焼き尽くさんと熱を放つ。
右拳で胸を強く叩き、空いた左手に巨大な、あまりに巨大かつ鈍重な盾を呼び出す。
女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ) 、質量的にも要求ステータス的にもあまりに重過ぎる、フォルトレスの装甲殻のみを使った超重のタワーシールドは、今この瞬間に限っては極悪性能の質量兵器と化す。
超重量の盾を片手で掲げて尚衰えぬ速度で前進、前進、百足の如く後退という文字を忘却した前進行動。小竜が轢かれ、撥ねられ、吹き飛ばされる。なにやら妙なフォルムの小竜がいた気もするが、なに今の? 盾に 突進(頬ずり) ってか? 舐めてんの? ミンチになれや。
最高クラスの物理耐性と衝撃耐性を持つ女帝城の顕壁盾はもはや盾と言うより壁、それが猛進しているのだから……まぁ、ボウリングのピンみたいに吹っ飛んでいくわけだ。
あぁ、プレイヤーなら結構前に避難済みだ。何度か獲物を横取りするような形になってしまって申し訳ない事をした。謝罪の意思を込めた潤んだ眼差しで見つめるとなぜか皆目をそらす……コミュニケーションって難しいね。
「加速suるaaaaa!!」
厄介な小竜溜まりが開けた、この瞬間を逃す手は無い……黒雷と共に己を鼓舞して駆け抜ける。もはや雑魚は障害物ですらない、 真界観測眼(クォンタムゲイズ) が加速する世界に道を見出す。
一歩駆け、二歩踏みしめ、三歩で跳ねる。ブライレイニェゴめ、狙われてるのがドゥーレッドハウルだと気づいたな? あまりに白々しい小竜配置だ、どう見ても「これを足場にしてドゥーレッドハウルをボコってね」と言わんばかりの小竜を遠慮なく踏みつけ跳躍。
『ン、な………!?』
「対応gA、遅いNa」
空中で構えるは刺突の姿勢、剣の切っ先を……いや、いいや、違う、違うとも。今この瞬間、俺が持っているこれは、紛れもなく 槍の穂先(・・・・) だ。必勝を手繰る、実在しない槍の伝説を形作る第四の槍。故に「アラドヴァル」が放つ奥義の名は。
「───「 輝槍仮説第四(ブリューナク) : 焼燬(キャール) 」!!」
白熱する 穂先(・・) がドゥーレッドハウルの肩口、 別離れなく死を想ふ(メメント・モリ) が穿った傷口に突き立てられた瞬間、
「蟹Miてーな脚しyaがって……Moげro!!」
アラドヴァルの刀身から堰を切ったように溢れ出したおびただしい量の炎が巨大な、俺の身体よりもデカい「穂先」を形成。そして刺突の勢いそのままに爆破と焼却による破壊のエネルギーを以って赤竜の片腕が吹き飛んだ。
『う、腕ぇぇぇぇえ! 腕がぁぁぁぁ!!?』
「おoう……流石ha 竜特効(アラドヴァル) 」
元から部位破壊として腕を切断できるのか、それともアラドヴァルの竜への殺意がそれを可能にしたのか……ドゥーレッドハウル君! 一本くらい無くてもなんとかなるって!
『愚かなり赤竜! そのまま悶え苦しむがいい!!』
「おめーもDaよ」
『へぁ……?』
ブスンブスンと細い黒煙を上げてその熱を一時的に失ったアラドヴァル・リビルドを収納し、代わりに両手を鋼鉄と水晶の拳へと変える。
「【 超過機構(イクシードチャージ) 】!!」
大盤振る舞いだ!! 両拳の装甲がスライドし、内蔵した金と銀の水晶を露出させる。輝きは圧縮され、解放の引き金を使い手たる俺へと委ねる。
馬鹿め、馬鹿め! ドゥーレッドハウルを倒させる為に俺へ向けた小竜のヘイトを逸らしたのが運の尽きだ! 今更襲いかかったところで間に合うものかよ!!
もはやこの程度なら視界補助は必要ない。 過剰伝達(オーバーフロー) のステップでブライレイニェゴの懐にまで肉薄。その腹へと 暴血赤依骸冠(ブロード=クロゥネ) のラスト十秒と、 煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル) の全耐久値を捧げよう。
「───「 超排撃(リジェクト) 」!!!」
『………か、はァ……っ!!?』
刺して、固めて、砕け散れ。
三つのプロセスを経て文字通りブライレイニェゴの腹部が粉砕される。
それと同時、爆心地に最も近くなおかつその元凶を手に装着していた俺にも凄まじい反動が襲う。
「GNuぁぁぁぁ……っ!!!」
キルスコアをトリガーとする二つの効果による二重強化されたこの身ですら反動を抑えきれない。
ガリガリとかろうじて中身が人間であることを証明するR.I.P.の靴が地面に二つの線を刻みながら俺を後ろへと押し込んでいく。
あ、やば。後ろに倒れ………
「ぬaaaaAAAAA!!!」
お辞儀をするかのように身体を前屈姿勢へ、そし完全に壊れた煌蠍の籠手を地面に突き立てるように手をついて仰向けにすっ転ぶ事だけは回避する。
「セー……」
セーフ。と言い切る前に、
五分が経過した。