軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

超奇天烈メガハンラー

うーむ、対モンスター戦だと驚くほど使いづらいが移動用だと便利極まりないんだよなぁ臨界速……最大射程でキロメートルに手が届くあたり頭おかしいとは思うが、これでバグでもなんでもないのだから驚きだ。

バグ移動と言えばとあるゲームで「墓場で花火を使って吹き飛ばされるとなぜか着弾地点にリスポーンする」という謎バグが流行ったことあったなぁ……あえてなんのゲームかは言わないけど人間メテオ迎撃天誅とか流行りそうで流行らなかった。むしろランダム人間のわなかメテオ天誅が流行った。

「大体ここら辺って話だけど……ん? あれか?」

レイ氏はマッピングガチ勢ではないものの、廃人として当然と言わんばかりに地図アイテムを持っていた。そして限定的とは言えマッピングされた 蟲人族(バグマン) の里近辺のランドマークを俺が聞くことである程度の場所を絞ることが出来る。

「砂漠エリアだからこそ、ランドマークが余計目立つって言うね……!」

二重螺旋のサボテン、あれか。本当に二重螺旋に絡みついてる……なんかこう、ちょっとキモいな。

だがあれが見えたなら蟲人族の里はあと少しだ。レイ氏曰く岩に囲まれたオアシスだそうだが……あぁ、上から見たら普通に見つかったわ。とりあえず着地して向かうか。

はい三、二、一……インパクト今っ!!

「あれ、なんでふねからでてくるのよ」

「聞くな」

「 推測(どうせ) :なんらかの要因で死亡」

「言うな」

リテーイク!!

「ふんっ!!」

慣れたから大丈夫と気を抜いたのがいかんかったな、やはり初心忘れるべからずってやつだ。

さて、蟲人族の里はもう目と鼻の先だ。エムルはラビッツにいるのでこちらからコンタクトを取ることは不可能、そういう時のために一日に何度かエムルが前線拠点を訪れるように頼んでいるが……また砂漠を突っ切り樹海を踏破するのも中々にしんどい。

ではどうするか? ディアレを頼るのだ。あいつはエムルの魔法の師匠らしいし、当然【 座標転移門(テレポートゲート) 】を習得している。

最初にラビッツを訪れるイベント時以外では【座標転移門】には使用者と同行者の双方が行ったことのある場所にしか転移はできない。だが俺もディアレもラビッツという共通の拠点を知っている、であればラビッツへの帰還とエムルとの合流を大幅にショートカットできるという寸法だ。

とはいえ一方的に利用するだけでレイ氏の善意に甘えるのも不義理というもの、なんらかの埋め合わせをしないとな……

ざすざすと砂を踏みしめながら岩のドームへと向かう。ティアプレーテンの岩版、って感じだな。あっちは大樹と蔓によって囲まれた安全地帯(元)だったが、こっちは岩と風に巻き上げられる砂塵が高高度からの視点を持つ者以外の目を欺いている。

だが空は既に未踏の領域などではない、開拓者の情熱は空をも踏破するのさ……!!

「くくく、ふはははは……! 見つけたぞ、 蟲人族(バグマン) の里……「スナノキ」!!」

調子に乗って高笑いなんてしたツケを支払うまであと十分。

「あれぇ?」

何故俺は今、虫人間達に囲まれ武器を突きつけられているのだろうか。いや待て、天地神明に誓って悪いことはしていない。この 俺(サンラク) は職業的理由と居候的理由からカルマ値を上げるような事はしないし、ヴォーパル魂を下げるようなヌルい事はしない。謂わば強キャラロールプレイをしていると言ってもいい。

だから普通に蟲人族の里に踏み込み、こう言ってやったのだ……

「お前達に用はない、レイ……サイガ-0を出せ」

ってな!!!

あれこれ強キャラは強キャラでも尻に(敵幹部)とか付くタイプの奴じゃね?

「我ラガ友ニ何ノ用ダ、禍々シキ傷ヲ刻ミシモノヨ……!」

「………あー」

ここで「いや違うんです仲良くしよう?」というのは容易い。だがこうも見事にロールプレイがガッチリとハマると……こう、ね? 悪ノリしたくなるじゃん?

「………ふ、それを言ってどうすると?」

「カカカゲノ言葉ハ間違イデハナカッタカ……オ前、災イヲ携エ現レシモノ……!!」

あっやばいどんどん後に引けなくなってるけど比例してどんどん楽しくなって来る!!

長老っぽい雰囲気を漂わせて俺へと杖を突きつける それ(・・) は全体的に見れば人型ではあるものの、腕は四本あるし明らかに人間の身体に備わるはずのないパーツがいくつも散見される……あぁうん、蝉人間だ。

「であればどうすると? 蟲人族諸君……俺はサイガ-0を出せと、ただそれだけを求めている……お前達はみずから災いに飛び込む程愚かなのか?」

「サイガ-0、イイヤツ……トモダチ、守ル。戦士ノ誇リ……!!」

あっやばい! 友情パワーだ! これ友情パワーで強敵に立ち向かうちょっと頭の弱いキャラだ!! うっは俺が敵役に回るとか滅多に体験できるアレじゃねーぞ!! 外道鉛筆が悪役に夢中になるのもわかるなぁ……!!

「ほう、俺に挑むか……! 命が惜しくないと見える……!!」

「行クノカ、バダダガララ!」

「オォ、バダダガララガ戦ウゾ!」

「戦士ニ誇リアレ!!」

レイ氏からあらかじめ話を聞いてなければ結構混乱してた気がするなぁ……だが知っていればむしろ好感すら抱く。

蟲人族(バグマン) を一言で言い表すなら「蛮族」だ。だが同時に「戦士」という言葉も相応しい。

彼等は強き者を尊ぶ文化を持ち、それと同時に無益な戦いは好まない清廉さも併せ持つ、らしい。

そして何より、蟲人族はどいつもこいつもタイマン至上主義だ、流石に巨大モンスター……例えばワームとか相手だと集団で挑むこともあるが、誰かがタイマンで挑むと宣言したのならば「戦士の誇り」と讃えるとかなんとか。

つまり今、ダンゴムシ人間こと……えっと、バタバタガラガラ? 君は俺とタイマンで戦うということらしい。

「ウオオオオオオオ!!」

十人に聞けば十人が「知ってた」と答えそうな、その身体を十全に活かした突撃、要するに身体を丸めて連続かつ高速で前転をする突進攻撃が俺へと迫る。

流石にキルしちゃマズイだろう、とはいえ……あーうん、どうせ悪役ロールするならちょっとやってみるか?

藍色の聖杯起動、交換するステータスはLUCとVIT、両手に紅蓮海の拳帯を装備して……

「む、ぐ、ぬっ!!」

ダンゴムシ人間ことバタガラ君の身体はタイヤのように滑らかというわけではない。下手に引っかかればそのまま轢き潰される危険性があったが、そんな懸念はおくびにも出さずに回転突進を正面から両拳で受け止める。

「オ、ォオッ!?」

「いい突撃だ……だぁが!」

大体六割くらいの確率でアクションゲーだと目にするカンフーキャラを見様見真似で模倣した発勁とかそんな感じのかっこつけパンチ!!

「グォアァ!!」

殴り飛ばす、というより押し込むような両拳の一撃を受け、バタガラ君が後ろへと弾き飛ばされる。

わぁ、と悲鳴混じりの声が囲んで観戦することで蟲人のコロシアムを作り出す蟲人族達から上がる。

「来い、遊んでやろう……!!」

「オ、オォ…! 負ケ、チガウ! マダ、戦エル!!」

「───待テ、バダダガララ」

あ、やばい。

もうね、流れが読めるんですよ。このあと何が起きるか大体分かっちゃうよねこういうの、お約束っていうかさぁ……

「ココルコココレコ……!!」

なんて?

「オ前ノ誇リ、コノ私ガ讃エヨウ……故ニ、コノ戦イヲ私ニ預ケテホシイ」

「ム、ヌゥゥウ……ワカッタ」

「ココルコココレコガ戦ウ!」

「バグズ・プライド!」

「オォ、 我ラガ誇リ(バグズ・プライド) ……」

わぁ、強キャラvs強キャラのシチュだぁ……これもう後に引けないのでは?

「傷ノ戦士ヨ……刃ヲ収メル気ハナイカ」

くそっ、こんな楽しいシチュをやめる理由が続行する理由に勝てない……っ! おのれペンシルゴン!!

「何を勘違いしている、俺はサイガ-0を出せと……最初からそう言っている。刃を向けたのはそちらだ」

「ソウカ……デアレバ戦イヲモッテコノ場ヲ収メル他ニナイ、カ」

え、なんで? なんでそうなるん? そもそも俺最初からレイ氏呼んでとしか言ってないのになんで刃傷沙汰になってるん? 心当たりなんて……

傷の戦士?

「く、くくくく……この傷の宿命、か……」

リュカオーン絶対ゆるさねぇカウンターがギュンギュン回り始めたのを感じつつ、俺は紅蓮の帯を巻いた拳を構える。

「来るがいい蟲人族の戦士、我が無聊を慰めるがいい……!!」

この場に現れたレイ氏の説明で戦闘が中断されるまで、あと五分……っ!!