軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

本業そっちのけで採取、あると思います

次のエリア、即ちセカンディルからサードレマへと行くために超えなければならないエリア「四駆八駆の沼荒野」は名前通り多数の沼が点在する荒野であるが、鉱物アイテムがドロップするらしい。

行けばわかる、とNPCのくせにやけに不親切な言葉を頂戴した俺は、アイテム整理も兼ねてちゃんと回復アイテムや地図などの諸々の必需品を購入して四駆八駆の沼荒野へとやってきていた。

「さて……まずはモンスターのドロップアイテム検証……」

と行きたいところであるが、その前にゴブリンの手斧でどこまで通用するかを確かめてからだ。場合によっては先に武器を作ることを優先しなければならない。とりあえず検証用サンドバッグとして狙うのは、隔て刃の皮服シリーズの材料となったマッドフロッグなるモンスターだ。

装備の説明からして斬撃に対して耐性を持っていると見て間違いないだろう。

この手の武器相性はお約束オブお約束だ、どうも特定部位は刺突にも耐性があるようなので、打撃か魔法で倒すのが推奨されるのだろうか? それとも他にもタイプがあるのかな、このゲーム銃器も武器として存在するようだがあれは刺突なのか別の扱いなのか。

「いやぁ、まさか切れ味悪すぎて逆に打撃属性も持ってるとか見直したぞゴブリンの手斧。」

スキル使うとヤバい勢いで耐久が減る点に目を瞑れば打撃と斬撃を兼ねた使い捨て武器として非常にグッドだ。

とりあえず優先順位は鉱石、モンスターだ。遠目に犬っぽいモンスターや鳥っぽいモンスターが見えたが、距離が離れすぎているためか敵AIの索敵範囲には引っかからなかったようだ。

「確かに見ればわかる、だったな……」

それなりの広さの沼の縁に到達した俺は、ヒゲもじゃのオッサンNPCの言葉の意味を理解する。沼のど真ん中に、岩の塊のようなものが生えているのだ。所々に岩とは違う鉱石らしき質感の部位が見えることから、どうやらこのエリアで鉱石アイテムを内包したオブジェクトのようだ。そして奇しくも、もう一つの探し物も見つかった。

「ゲゴゴッ、ゲゴゴッ」

「蛙……なのかあれ」

鳴き声や、大凡の特徴からあれが 泥蛙(マッドフロッグ) であることはまず間違いないだろう。

ただ、将棋の駒に手足をくっつけたようなリアルの蛙とは異なり、どう例えたものか……直方体の箱に生物的なパーツをくっつけた蛙と形容すればいいのだろうか?なんともユニークな形をした蛙であった。

「というかデカいなおい。」

大型犬と同じくらいあるぞあの蛙。泥塗れで皮の色は分からないが、まぁ今俺の着ている皮服と同じ色なのだろう。

物は試しだ、ゴブリンの手斧を二本持って……

「ッシャオラァ!」

「ゲギョオッ!?」

馬鹿め、あからさまに動きに制限がかかりそうな沼の中で戦うと思ったか馬鹿……いや、バカエルめ。流石クオリティお化けの神ゲー、遠慮容赦なく武器を投擲できる。目を狙ったのだが普通にズレたものの、顔面に石器とはいえ手斧が命中したことでマッドフロッグは大きく仰け反り、ひっくり返る……カエルダケニ。

「はっはぁー!チャーンス!!」

泥沼の中に踏み入れば、案の定走ることができず、一歩一歩沼から足を引き抜いて進むことになったが、そこらへんの調整はされているのか、俺がマッドフロッグのもとにたどり着くまでマッドフロッグの仰け反り状態が解除されることはなかった。

「思いっきり弱点感漂わせてるもんな……ふんっ!!」

「ギュェエ……!!」

蛙が潰れたような……というか蛙そのものか、ともかく弱点丸出しのマッドフロッグに叩きつけたゴブリンの手斧(予備)はクリティカルエフェクトと共にマッドフロッグの腹に深く食い込み、それが致命傷になったのかマッドフロッグはポリゴンとなって散った。

「とりあえず投げたのを回収して……まぁ分かってはいたがドロップアイテムは皮か」

鎧としてNPCが販売するくらいだし、レアアイテムではないのだろう。俺の見立てでは背中の皮がレアドロップと見た。とりあえずゴブリンの斧はマッドフロッグ相手ならまだ現役だということが分かった、モンスター検証はひとまず中断し、本命たる鉱石採掘へと取り掛かる。

「ツルハシ、アイテムとしてじゃなくて武器として装備もできるのか……」

あながち馬鹿にならない強武器ツルハシ、サバイバル系のゲームだと尖った石と木の枝でお手軽に作れる上に「斬る」モーションで「刺す」攻撃を繰り出せるのでメイン武器にする人もいた。野球ゲーム出身のプレイヤーがガチで使いこなすツルハシは下手な槍より殺意の塊だと断言できる。

「……って、いう、か……重い……っ!」

ガツガツと岩の塊にピッケルを叩きつけているのだが、武器として使えるだけあってか今のSTRでは少々取り回しに難がある。振れないことはないのだが、一回振るだけでスタミナの三分の二が消費されるのだ、これでは効率が悪過ぎる。

それでも頑張って岩を叩き続けた結果、十分ほどかけて鉱石アイテムを採れるだけ採ったのだった。