軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大志の灯火を抱いて 其の一

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PN:サンラク

LV:99 Extend

JOB:傭兵(二刀流使い)

1,000マーニ

HP(体力):80

MP(魔力):50

STM (スタミナ):100

STR(筋力):100

DEX(器用):100

AGI(敏捷):100

TEC(技量):80

VIT(耐久力):901

LUC(幸運):129

スキル

・ 縷々閃舞(るるせんぶ)

・ 一念岩穿(いちねんいわうがち)

・フォーミュラ・ドリフトLv.1

・ 瞬刻視界(モーメントサイト)

・アガートラムLv.1

・トライアルトラバースLv.1

・遮那王憑き

・グラビティゼロLv.1

・フリットフロート

・ 月狼の誇り(マーナガルム・プライド)

・致命秘奥【ウツロウミカガミ】

・バーンアウトLv.1

・ライオットアクセルLv.1

・血戦主義

・レテ・バニッシャー

・ダーティ・ソードLv.1

・壊刀乱魔

・致命剣術【半月断ち】参式

・戦極武頼Lv.1

・剣舞【紡刃】

・パーシスタンド

・メロスティック・フット

装備

左右:焔将軍の斬首剣

頭:戦角兜【四甲】(VIT+500)

胴:リュカオーンの呪い

腰:発掘研磨腰帯【古兵】(VIT+400)

足:リュカオーンの呪い

アクセサリー:格納鍵インベントリア

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整理されたスキル欄よりも、俺の耐久が900になったという事実に震えた。

そういえば腰装備を付けるのを忘れていたと今更気づき、店売りの腰装備を装備してみたのだが、流石は終盤の街イレベタンタル。

レアエネミー産の武器とはいえ、終盤ちょっと前の装備に匹敵するとは。いやむしろ今の段階でも普通に現役な戦角兜が凄いのか……うん、頭がガチャガチャして鬱陶しいから鳥面にしよう。

随分と軽い金属製のベルトである腰装備だけでも 煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル) の使用条件は満たしているし。

「約束の時間まではあと十五分か……まぁこっちから頼んだのだし、先に待って当然か」

大通りにある「朽ちた巨剣像」の前が待ち合わせ場所なんだっけか。名前からしてどんなものなのかおおよそ想像がつくし、整理したスキルをチェックしながら向かうとしようか。

………と、行動を開始したのが五分前。

「おかしいな、「朽ちた巨剣と聖騎士像」とは聞いてないんだが……」

はははと現実逃避しかけた思考の肩を掴んで現実へと引きずり戻す。お前だけお花畑に逃げることは許さんぞ。

神々しい白輝の全身鎧とは真逆の禍々しい大剣……確か「 神魔の大剣(アンチノミー) 」とかいうユニーク武器を背負ったプレイヤーが、全体に錆びが走り武器としての機能はほぼ損失された巨大な剣の前に立っている。

その全身から放たれる威圧感はプレイヤーのものというよりも最早ボスキャラだ、それも「やたら防御が硬い上にAIが堅実なので下手するとその先のボスより強敵な番人系エネミー」みたいな。

背後の朽ちた大剣以上に視線を集めるサイガ-0氏、正直言うとめちゃくちゃ話しかけたくない。出来ることなら他人のフリをして逃げたい。

だがそんな失礼はゲーマーとして看過できない、呼んだ側がドタキャンするなど言語道断、「noob」コールと一緒にブラックリストに叩き込まれても文句は言えない愚行だ。

「あー……どれくらい待たせてしまいました?」

「……今、来タトコロデス」

勇気を出して話しかける。周囲の視線がサイガ-0氏から俺へと急速に集まるのを自覚しつつ、明らかに五分十分前から待っていただけでは出せない鎮座感を醸し出すサイガ-0氏の言葉は考えないようにする。

「さ、さいですか……ごほん。今日はわざわざ無理を言ってお願いして申し訳ない」

「……いえ、丁度……そう、 丁度(・・) 時間の空いていた時でした、ので」

何故丁度を強調するのか、これはあれか? 「時間作ってやったんだから感謝しろよ」という暗黙のメッセージ? いや相手はシャンフロ最高峰のプレイヤーだ、何か別の意図が含まれている可能性は考慮すべきだ。

やはり「 旅狼(ヴォルフガング) 」のメンバーが「黒狼」の最高戦力の力を借りる以上、何らかの礼は必要なわけで……やっぱりユニーク絡みで何か要求されるだろうか、いやされるだろう。

「あー、それでわざわざ来てもらったお礼ですけど……」

「……お気に、なさらず。その、フレっ、フレンド、ですから……!」

…………。

(怖い! 待って超怖い! 無償の善意がめちゃくちゃ怖い!?)

今日この日ほど覆面を装備していて良かったと思った日はない。

きっと、俺は今引きつった笑顔で白目を剥いているかもしれないから。

「このエリア、 無果落耀(むからくよう) の 古城骸(こじょうがい) は 去栄(きょえい) の 残骸遺道(ざんがいいどう) と同じ神代の文明を強く感じさせるエリア……です。ただ、「工場跡地」だった残骸遺道と違って、このエリアは……「戦場跡地」なんです」

「成る程……随分と激しい戦いだったようで」

「ライブラリの方々曰く、「恐らく決定打かはどうかは不明だが、兵器工場の眼前まで追い詰められる程の戦いがあったことは確定」らしい、です……」

これほどまでに視覚的に何があったのかを分からせる光景もそうそうないだろう。

無果落耀の古城骸……古き城の「骸」と言うだけあって、その城は死んでいる。そしてその「死」は風化や経年劣化による 老衰(・・) ではない。

腕(・) 。

それを除けば所々に朽ちた謎ビークルやイレベンタルにあった巨剣像のような巨大な剣に巻き付くように育った木が散見される草原地帯であるが、やはり目を引くのはアレだ。

ファンタジーな西洋風の城や、日本風の城とは違う、現実にあるもので一番近い例えで表現するとしたら「戦艦と空母を雑に合体させたもの」とでも言うべきだろうか。

明らかに戦うための防衛拠点として設計された巨大な建造物に、腕が突き刺さっているのだ。

しかもそのサイズが異常だ、砂場で作られた城とそれを作った子供の腕と同じ比率を本当に城塞サイズにまで巨大化させたと言うべきその大きさは、果たして存在しない肘から向こうがあったのならば一体どれほどの大きさなのか。

「……少なくとも、シャングリラ・フロンティアにあのサイズのモンスターは、出て来ては、いません……だから、過去に何があったのか、調べている、プレイヤーたちがライブラリを……作ったんです」

「オメガ、か……」

「え?」

「いや、独り言。思考をイデアに接続してレテの呪縛から逃げただけ」

「はぁ……」

適当に誤魔化しつつも、俺の中の考察脳が記憶から関連情報を引っ張り出す。

去栄の残骸遺道を象徴する巨大な機械骨格、やはりこの「腕」と関連があると考えて間違いはないだろう。

そしてあの地下ラボで見かけた「Ω」の姿……神代の文明はこの「腕」の持ち主に対抗するために機械骨格で何かを作っていた?

果たして腕の持ち主がΩなのか、それともあの骨格の完成系がΩなのか……そして何よりも、俺の中で俄然存在感を放ち始めた単語……「バハムート」。

だが推測が仮説になるまでの情報すら足りない。遺された結果と単語を結びつける糸がない以上、やはりユニークシナリオEXこそが世界の謎に迫る鍵か。

「……その、サンラク、さん?」

「ん、あー、申し訳ない。ちょっとイデアがレテってた」

「はぁ……その、サンラクさ、ん……は、エリア突破最優先、なんでした、よね?」

「ええまぁ、ちょっと待ち合わせをしていて……明日までにフィフティシアに」

流石にユニークモンスター絡みですとは言えない、ここは情報をぼかしていこう。

「マチアワセ……デスカ」

「え、えぇ……別ゲーで知り合ったプレイヤー達と、まぁ」

「ナルホド、モシカシテ、ソノ、エッと……じ、女性、とか、ですか?」

「まぁ、片方はそうですね」

次の瞬間、ビュゴァ! と俺ですら一瞬見逃しかけた勢いで振るわれた大剣がこちらへと近づいて来ていた四枚翼のドラゴン……いや、ワイバーンの頭を横殴りに切り裂く。

「ひぇっ」

「サンラクさん、ストーム・ワイバーンです! レベル99ですから、ここは私に……」

「い、いや、それなら俺も戦える……色々あってレベル99と Extend(エクステンド) なんでな!」

「え!?」

バフスキルを発動し、構えた焔将軍の斬首剣を怯んだストーム・ワイバーンの首へと叩きつける。

サイガ-0氏の一撃によって顔の左半分が潰れたストーム・ワイバーンは、首にめり込んだツヴァイハンダーに悲鳴を上げてもがくが、時すでに遅し。

「サイガ-0氏!」

「剣神断覇……!」

ストーム・ワイバーンが俺に注意を向け、即時離脱をしなかった時点で命運は決していた。

明らかに極まった感じのスキルエフェクトを帯びた大剣の大上段がストーム・ワイバーンの脳天に叩きつけられ、着弾地点を起点にストーム・ワイバーンの首、背中を伝って尾の先端まで可視化された斬撃エフェクトが走る。

哀れストーム・ワイバーンは断末魔の叫びすら許される事はなく、斬撃エフェクトが走った場所から広がるようにポリゴンとなって爆散した。

「えーと、いつ見ても凄い威力ですね」

「えぇ、まぁ……………あの、一つおねが、提案が……」

「なんです?」

大剣を背中に戻したサイガ-0氏はなにやら居住まいを正すと、こちらへと提案とやらを話し始める。

「その、あの、ですね……その」

「はぁ」

「……その、「サイガ-0氏」という、呼び方は……長いで、しょうし、サイガだけだと、その、 姉(ねえ) さ……じゃなくて、サイガ-100と被る、ので……」

「確かに」

なんというか、鎧の内側から爆発しそうな威圧感に後ずさりたくなる足を叱咤激励しつつ、サイガ-0氏の話を聞く。

なるほど確かにリアルでなんらかの関係があるのだろう、クラン「黒狼」リーダーのサイガ-100氏とほぼ同じと言ってもいいプレイヤーネームである以上、紛らわしいというのは一理ある。

「そ、そそ、その…… 0(レイ) と呼んでいただけると、その、あの、分かりやすい、と言いますか……」

「あ、サイガ- 0(ゼロ) じゃなくてレイだったんですね。じゃあレイ氏と……ん?」

何か頭に引っかかった気がするが、なんだろうか。考えを巡らせなければならないことが多すぎて思い当たる節が多すぎる、いやいや今は攻略を最優先だ。考える事は後でもできる。

「な、なにか、こ、こころっ、心当たりでもっ、ございましょうござるますか?」

「あーいえ、別に……じゃあこれからはレイ氏と」

「っ……! 〜〜〜〜〜っ!」

「だ、大丈夫ですか? 体調が悪いようでしたら一旦ログアウトを……」

「いえっ! 絶好調です! 今ならリュカオーンにも勝てそうですっ!」

この人の場合、マジで勝てそうだから困る。

最大火力、だなんて称号を持っているくらいだ、一体どれほどのプレイヤーから支援を受けたのかは分からないが、少なくとも完全に味方頼りというわけではあるまい。

「じ、じゃあ行きましょうか……」

「はいっ! なにが来ようと、叩き斬りますともっ!」

跳ねるような声と共に、物騒な大剣がぶぉんと風を切った。

ははは、ラビッツに帰りてぇ。