軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

38話 クリア報酬の確認をしてみた

水曜日クエストから一夜明け。

平和を取り戻した港町アクアスは、さっそく朝早くからにぎやかな声に包まれていた。

一方、昨夜遅くまで宴会に参加していたローナは、昼頃にもぞもぞと起き、宿の部屋にてインターネット画面を指でつついていた。

調べているのは、もちろん――昨日手に入った水曜日クエストの“クリア報酬”についてだ。

(とりあえず、5万シルとEXP5万なんかは素直にうれしいけど……よくわからないのは、『水鏡の盾アイギス』と『ファストトラベル』の2つかな)

正確には、『ファストトラベル』はレベル50達成報酬らしいが。

とりあえず、インターネットでこの2つについてのページを確認する。

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▍防具/盾/【水鏡の盾アイギス】

▍ランク:S ▍種別:盾

▍効果

防御+808 精神+808

石化耐性+100%

▍装備スキル:【リフレクション】

▍効果:一定時間、自分の周囲に【魔法反

射結界】を張る。

▍概要

水曜日クエストのランクS報酬。

鏡面のように凪いだ水を封じこめた盾。

実質、無料配布のわりに、かなりのぶっ壊

れ性能。

防御面はもちろん、火力面での恩恵も強く

……。

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▍システム/【ファストトラベル】

▍概要

レベル50になると開放されるシステム

スキル。

行ったことのある場所に転移することが

できる(転移先は自動登録)

屋内では使えないので注意。

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(ま、毎度のことながら……こんな世界を変えかねないものを、私にぽんぽんわたして大丈夫なのかなぁ? 世界のバランスとか)

ちなみに、アリエスたちに話を聞いてみた感じ、この報酬をもらえたのはローナだけらしい。

(私がひとりでクリアしちゃったようなものだからかな?)

と、少し疑問に思うものの。

それよりも、早く報酬の検証をしてみたいという欲が勝った。

宴会の場だと人も多かったし、帰ったらすぐ寝てしまったしで、検証はできなかったけど……宿の部屋の中ならば人目もない。

(さて、どっちを試すかだけど……ひとまずは、こっちかな)

と、水晶のように透明な盾――“水鏡の盾アイギス”をアイテムボックスから出してみる。

これはクエストクリアのメッセージが表示されたときに、アイテムボックスに勝手に入っていたものだ。

盾には持ち手がなく、ローナの手の先でふよふよと浮かんでいる。

ちなみに、手の動きに合わせて盾も動くようだ。

「うーん、どういう原理で浮いてるんだろう、これ……? ちょっと目立つし、日常生活では邪魔になりそうだし、戦闘時にだけ出すだけって感じかなぁ」

そもそも戦闘時以外では、終末竜衣ラグナローブだけでも防御面は充分だろう。

とか考えながら、なんとなく盾の上に乗ってみると。

「……っ! こ、これは……っ!」

一瞬だけだが、ふわりと浮くことができた。

(お、おぉぉ……ちょっと楽しい!)

ちなみに、インターネットによると、『浮遊タイプの盾に乗った状態で、さらにジャンプすると“2段ジャンプ”ができるようになる(不具合)』とのこと。空中飛行スキルの【エンチャント・ウィング】があるとはいえ、ちょっとした段差を飛び越えたいときなどに使えるかもしれない。

そんなこんなで、空中盾サーフィンを満喫したあと。

ローナは改めて、盾の性能チェックをする。

「うーん、防御と精神が808増加かぁ……あいかわらず、意味不明な増加量だね」

とりあえず女王薔薇の冠もつけて、現在の最強装備でステータスを確認してみる。

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■ローナ・ハーミット Lv54

[HP:508/508][MP:99999/348]

[物攻:416][防御:1718]

[魔攻:3821][精神:2705]

[速度:412][幸運:514]

◆装備

[武器:世界樹杖ワンド・オブ・ワールド(SSS)]

[防具:水鏡の盾アイギス(S)]

[防具:終末竜衣ラグナローブ(S)]

[防具:猪突のブーツ(B)]

[装飾:エルフ女王のお守り(A)]

[装飾:身代わり人形(F)]

◆スキル

[インターネット(SSS)][ 星命吸収(テラ・ドレイン) (SSS)][エンチャント・ウィング(S)][猪突猛進(B)][リフレクション(S)]

[魔法の心得Ⅸ(D)][大物食いⅢ(D)][殺戮の心得Ⅳ(D)][竜殺しⅠ(C)][錬金術の心得Ⅴ(D)][プラントキラーⅠ(F)][スライムキラーⅠ(G)][フィッシュキラーⅠ(F)]

◆称号

[追放されし者][世界樹に選ばれし者][厄災の魔女][ヌシを討滅せし者][終末の覇者][女王薔薇を討滅せし者][雷獅子を討滅せし者][近海の主を討滅せし者][暴虐の破壊者][水曜日の守護者]

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(……ついに防御も4桁超えかぁ。つい、最近まで防御9とかだったのに……ステータスがどんどん人外になってくなぁ)

と、少し遠い目をしつつ。

「とりあえず、スキルも試してみるか――リフレクション!」

そうスキル名を唱えてみると、ローナの周囲に、透明な結界が展開された。

どうやら、これは魔法を反射する結界とのことだが……試しに自分にプチヒールをかけてみると、治癒の光が反射して自分にかかった感覚がなかった。

(う、うん、これは普通にすごいスキルだね。もしも敵が魔法使いだったら完封できちゃうし……)

とはいえ、防御面の強化なら目立つこともないし、普通にうれしくはあるが。

(まあ、攻撃面はこれ以上強くなったらやばいことになっちゃうしね……ん?)

と、そこで。

盾の性能についてインターネットで調べていたローナの目に、とある文章が飛びこんできた。

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▍防具/盾/【水鏡の盾アイギス】

▍概要

【魔法反射】状態のとき、自分も対象とす

る範囲魔法攻撃を撃つと、通常分と反射分

を合わせて魔法の威力を2倍にすることが

できる。

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「………………」

ローナは目をごしごしこすってから、ふたたび見る。

『――魔法の威力を2倍にすることができる』

(…………うん、見なかったことにしよう)

ローナはそっと画面を閉じた。

「よし……とりあえず、次いこうか」

気持ちを切り替えて、残った“ファストトラベル”の検証に移る。

こちらは、他の場所に転移できるというものらしい。

(……これまた、すごいものが手に入ったね)

さすが、歴史上でも到達者がほとんどいないという“レベル50”の報酬といったところか。

一応、この世界のレベル上限は200らしくはあるが……。

「えっと、どう使うんだろ、これ? とりあえず――ファストトラベル!」

そう唱えて見ると。

アイテムボックスのときと同じように、地名のリスト画面が手元に現れた。

そこに書かれているのは、『イフォネの町』『イプルの森・休憩地点』『エルフの隠れ里』『黄昏の古代教会』『ググレカース邸』『黄昏の地下神殿』『港町アクアス』……と、ローナがこれまでに行ったことのある場所だ。

(えっと、この地名をタッチすれば転移できるってことかな? な、なんだろう、この親切設計……?)

本当にリストにある場所に転移できるのなら、ものすごく旅が快適になるだろう。

これまで訪れた町にも、頻繁に戻ることができるようになるし……アイテムボックスと合わせて商売でもすれば、すぐに巨万の富を稼げてしまうかもしれない。

(……これは、本当にとんでもない力だね)

ローナは思わず、ごくりと唾をのむ。

こちらも、インターネットと同じく、バレたらやばそうな力だが……。

(うーん……でも、やっぱり楽はしたいしなぁ)

ローナの中の天秤が、『使っちゃえ!』というほうにかたむく。

そもそも危険地帯から転移して脱出できる“帰還の翼”というアイテムもあるし、ただ使うだけならそれほど目立つこともないかもしれないし……。

というわけで、ローナは意を決したように、地名リストに指で触れた。

「と、とりあえず、物は試しだよね。それじゃあ、まずは――イフォネの町へ!」

その言葉とともに、ローナの体がまばゆい光に包まれる。

そのまま、不思議な力でふわりと体が浮かび上がり――。

――ずぼしゃァアアッ!!

と、ローナは勢いよく、天井に頭から突き刺さった。

「…………うん、なるほどね」

ぷらんぷらん……と。

頭だけ天井に刺さった状態で、ローナはふぅっと息を吐く。

とりあえず、建物の中では使わないほうがいいらしい。

そういえば、インターネットにも『屋内では使えない』と書いてあった気もするが……まさか、こういう感じだとは思わなかった。

(うーん、外でまた検証し直すかぁ……って、あれ? 頭が抜けない……)

ぐぐぐっと天井と格闘すること、しばし。

「お客さ~ん! なんかすごい音しましたが、大丈夫ですかぁ……? お客さ……お客さんっ!? えっ、どういう状況!?」

「あっ、ちょうどいいところに。ちょっと抜くの手伝ってもらえませんか?」

「きゃあああッ!? しゃべったぁあああ――ッ!?」

そんなこんなで、宿屋の娘にすぽんっと頭を抜いてもらったあと。

天井の弁償代を払って、ふたたび外でファストトラベルを使い直すローナであった。