軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

138話 機械と友達になってみた

そんなこんなで、ローナの異世界旅行が終わったあと。

異世界メカ娘のピコを、こちらの世界に召喚したローナであったが……。

「――じゃじゃーんっ! ここが私たちの世界ですっ!」

【…………】

「…………」

【……く、暗いのデス✜】

「……もう夜ですね」

というわけで、その日はもう時間も遅いため……今度、また召喚すると約束して、ピコを元の世界に送還することになり――。

「――ふぅ~っ……異世界もいいけど、やっぱり我が家が一番です!」

こうして、ローナは王都の自宅へと帰ったのだった。

「む? おお、無事に帰ってきたんじゃな」

『【旅行乙】本日の異世界旅行スレはここですか?www』

『フウインサレシィィイ――ッ!!』(※かわいい鳴き声)

と、さっそくローナを出迎える同居神&ペットたち。

どうやら、いきなり『異世界に行く』とか言いだしたローナを心配して、帰りを待っていてくれたらしい。

「それで、ローナよ。結局、異世界とやらには行けたのかの?」

「はい、もちろん行けましたよ! それと、インターネットに書いてあった通り、異世界はすっごく楽しかったです! えへへ、早くまた“こらぼ”しないかなぁっ!」

「む……そんなに楽しいとこなんじゃな。そーゆうことなら、われもいつか行ってみたいのじゃ」

『A.余もwww』

『エ、ェ……エクスディェェェス――ッ!!』(※かわいい鳴き声)

「えへへ! それじゃあ、今度はみんなで行きましょう! あっ、そうだ……これ、異世界旅行のお土産の――木刀と、変なTシャツと、ご当地お菓子『市民用菓子451号』と、龍が巻きついた剣のキーホルダーと、ご当地ぶいちゅーばー“マザぽよ”グッズです!」

「お土産のクセがすげぇのじゃ」

そんなこんなで――。

異世界に行ったところで、ローナの日常はほとんど変わることはなく。

ふたたび、いつも通りの日常へと戻ったローナであったが……。

しかし、ひとつだけ、ローナの日常にちょっとした変化もあり。

「――というわけで、ピコちゃん! ここが私の住んでいる王都です!」

【……ぴっ!? 馬車!? 馬車が通ってるのデス!? 本物なのデスか、あれ!? う、うわぁ、実在したのデスね、あんな低スペックな交通手段……✜】

そう……たまに、ピコがこちらの世界に観光――もとい、『娯楽留学』に来ることになったのだ。

なんでも、 異世界(ソラリス) ではこれから娯楽に力を入れたいらしく、『娯楽が進んでいるローナたちの世界から、いろいろ学びたい』とのこと。

そんなこんなで、ローナは定期的にピコを召喚して、こちらの世界の案内をすることになり――。

「――というわけで、まずはカジノです! 娯楽といえば、やっぱりカジノですからね!」

【こ、これは……たしかに、すごいのデス✜ ピコのデータにない娯楽ばかりなのデス✜】

「ちなみに、私のおすすめは、なんといってもスロットです! えへへ、このスロットの台選びにはコツがあるんですが――」

【――ぴぴぴ、サーチ完了なのデス✜ リール1周時間:0.75秒✜ 猶予フレーム数:2✜ これなら、絵柄見てから目押し余裕なのデス✜ じゃんじゃかコインが増えてくのデス✜】

「……………………」

「――お次は、ピコちゃんの世界との“こらぼカフェ”です!」

「いらっしゃいませ~♪ ただいま、当店では『メタルノアコラボ』復刻記念メニューが販売中でーす!」

【な、なんデスか、この『ピコのオイルコーヒー✜』とは? なぜ、ピコの顔や名前が無断使用されて――ぴ? なにか、コーヒーについて来たのデス✜】

「あっ、それはおまけグッズの『ピコちゃんの生首ヘアゴム』です! ちなみに、私もそれ持ってまして……えへへ、おそろいの生首ヘアゴムですね!」

【お、おそろいの生首ヘアゴム……✜】

と、この世界の娯楽スポットを、ピコにいろいろ紹介していった。

それから、ちょうどお昼時になったこともあり、ローナたちは“こらぼカフェ”でそのまま昼食をとることにした。

【……ぴぴぴ✜ しかし、こうしてみると……やはり、ピコたちの世界とは、なにもかもが違うのデス✜ それに、人間は自由だと……こんなにもいろいろな表情をして、こんなにも色とりどりの世界を創るのデスね✜】

と、おのぼりさんのように、辺りをきょろきょろするピコ。

【それと、さっきからめちゃくちゃ気になってるのデスが……街中でやたら見かける、あの赤髪の女はなんなのデス?】

「え? 赤髪の女?」

と、ピコが指さす先を、ローナが見てみると……。

そこにあったのは、街中でよく見かける『魔法少女エリミナ』のポスターだった。

いや、ポスターだけではない。

王都にある店という店に、エリミナの絵が描かれた『魔法少女エリミナ』のコラボ商品が並べられており――。

「ぶーんぶーん! エリミナ様、ぶーんぶーん!」

と、王都の子供たちは、みんなエリミナ人形で遊び――。

「……おい、 決闘(ジュエル) しろよ」

「指名手配犯だ! やつを 決闘(ジュエル) で拘束せよ!」

「くっ、俺を殺すなら……エリミナカードで殺せッ!」

と、あらゆる物事を、エリミナカードによる 決闘(ジュエル) で解決しようとする人々がいた。

「ああ、あれはエリミナさんですね! 今、この世界では、エリミナさんを主人公にした『魔法少女エリミナ』って“あにめ”が、すごく流行ってまして!」

【……ぴ? あにめ? それも娯楽なのデスか?】

「はい!」

【なるほど……この世界は、ほんとに娯楽が進んでるのデスね✜ そして、人間はみんな女の子の絵が好きなのデスね✜】

「はい!」

【ふぅ。まったく……この世界からは、学習することがいっぱいなのデス✜ これはまた、仕事がいろいろ増えそうなのデスね✜】

と、ピコはやれやれと肩をすくめる。

しかし、そう言いつつも、その口元には自然と笑みが浮かんでおり。

「えへへ! なんだか、今のピコちゃん、楽しそうですね!」

【……ぴ? そう、デスか?】

と、自分のほっぺたをむにむにするピコ。

どうやら、笑っているという自覚はなかったらしい。

【ふむ、まあ……たしかに、ピコはもともと『友達アンドロイド』――子供と一緒に遊ぶために作られたアンドロイドなのデス✜ デスから、やっぱり人間を喜ばせる今の仕事のほうが、ピコ的には……なんというか、まあ、あれデス……“好き”ってやつなのかもしれないのデス✜】

「なるほどー」

どうやら 異世界(ソラリス) は、 特級異物(ローナ) の混入によってカオスな状況になったりもしたが……最終的には、ピコにとってもいい環境に落ち着いたらしい。

「――よし! そういうことなら、もっとこの世界の娯楽を紹介しないとですね! まだまだ紹介できてない楽しいものはたくさんありまして――ダンジョン観光に、“そしゃげ”に、“こみけ”に、同人誌に、釣り大会に、ビーチバレーに、“ばーべきゅぅ”に、それから……」

【……まったく✜ おまえといると飽きることがなさそうなのデスね✜】

「えへへ、私もピコちゃんといられて楽しいです!」

【そっ……そういう、恥ずかしいこと言うのは禁止なのデスっ✜】

そんなこんなで。

今回も今回とて、ほんの少しだけ変わった日常が、そこにあったのだった――――。