作品タイトル不明
126話 旅行の準備をしてみた
「~~♪ おっくせんまん~♪ おっくせんまん~♪」
そんなこんなで、ローナが『めたるのあこらぼ』について調べてから、しばらくして。
ローナが自宅のリビングで、鼻歌まじりに旅行の準備をしていると。
『今北産業』(挨拶)
「なにしとるんじゃ、ローナ?」
「あっ、ロムルーさんとテーラさん」
同居神たちが、ローナの様子に興味を持ったのか近寄ってきた。
「む? それは、夜逃げの準備かの? じゃから、借金はやめろと……」
「そ、そこまで借金はしてませんよっ!」
『Q.また 旅行でも するの?』
「あっ、はい! ようやく休みが取れたので……ちょっと明日、ぱぱっと日帰りで旅行しようかなって!」
「む、なんじゃ、旅行か……で、今回はどこに行くつもりなんじゃ?」
と、テーラが興味本位で尋ねてくる。
「ま、おぬしのことじゃし……どうせまた、とんでもないとこに行くんじゃろうけど」
「? いえ、今回行くのは、 あ(・) り(・) き(・) た(・) り(・) なところですよ? ただ、ちょっと行くのが難しかったので、今まで行けなくて」
『Q.ありきたりなのに 行くのが難しい ところ?』
「まるで、なぞなぞじゃな……うむむ……うむ、わからん! もったいぶらずに、さっさと正解くれなのじゃ。正解」
「え、えっと、テーラさんが聞いたら、『まだ行ってなかったの?』って、思われるかもしれませんが……」
と、前置きしてから。
ローナはやがて、少し恥じらいがちに告げるのだった。
「――ちょっと明日あたり、日帰りで異世界に行ってこようかなって!」
「「……!?」」
――“異世界”。
それは、神々にも人間にも人気の旅行スポットである(※ローナ調べ)。
もちろん、“異世界”といってもバリエーションはいろいろあるが……。
どんな異世界でも、だいたい旅行満足度はかなり高く。
異世界に行った神や人の多くが、
『異世界最高!』
『異世界に来れてよかった!』
『もう元の世界に帰れなくてもいい!』
と、異世界に永住することを即決するほどだとか。
旅行好きのローナとしても、ずっと前から行きたいなとは考えており……。
ついに、このたび、異世界に行くことに決めたのだったが。
「いや、じゃが……異世界に、日帰りって……えぇぇ……こやつマジかよ……」
『(゜д゜)』
『異世界日帰り旅行』という新しい概念に戸惑うテーラ&ロムルー。
その沈黙をどう受け取ったのか、ローナがちょっと決まり悪そうに笑った。
「あ、あはは……やっぱり、今どきありきたりすぎて、がっかりさせちゃいましたよね……」
『A.違う そうじゃない』
「さっき、ラフィエールさんにも話してみたんですが……がっかりしすぎたのか、『がびーん!?』と叫びながら白目をむいて気絶しちゃいましたし……」
「なにそれ、われも見たかったのじゃ」
そう、異世界はたしかに、人気の旅行先なのだが……。
近年では、みんながこぞって行きすぎたのか、“おーばーつーりずむ”が社会問題になっているらしく。
今どきは『異世界に行く』と言うだけで、『まただよ(笑)』『(旅行先に)独自性がない』などと、神々の評論家たちにインターネットで叩かれてしまったりもするのだとか。
「それでも、やっぱり1回は、異世界に行ってみたいなって思いまして! 旅行満足度もすごく高いみたいですし!」
「え、えぇ……? と、とゆーか、そもそもじゃな……どうやって異世界に行くつもりなんじゃ?」
「あっ、それなら、“こらぼ”を利用しようかなと」
『(´・ω・`)???』
「あ、あれ、知りませんか? 外では、みんな“こらぼ”の話をしてるんですが……えっと、“こらぼ”というのは、異世界人たちがこの世界にやって来るお祭りのことですよ!」
『∑(゜д゜)!!?』
「それで、今回の“こらぼ”では……“こらぼダンジョン”の最深部に、異世界への入り口ができるみたいなので、それを使わせてもらおうかなぁ、と」
「「………………」」
「あれ、みなさんどうしましたか?」
「い、いや、とゆーかじゃな――」
やがて、テーラが顔面蒼白になりながら挙手をした。
「……それは、この世界始まって以来の大事件ではないかの?」
ロムルーも無言で、こくこくこくこく! と頷きまくる。
一方、ローナはきょとんとして。
「? いえ、“こらぼ”なんて、よくあることですよ? この異世界との“こらぼ”も、数か月に1回ペースで発生してるみたいですし」
「この世界、そんなことになっとったの!?」
『☆今明かされる、衝撃の真実――!!』
「ちなみに、最近も“消費者庁”ってところと“こらぼ”して、すごく盛り上がったそうです!」
「ほ、本当に大丈夫なんじゃろうか、この世界……」
と、テーラが謎の悪寒に震えだしたところで。
ロムルーが筆談用の本に、かきかきとペンを走らせた。
『Q.でも いったい 誰がなんの目的で
“こらぼ”を 引き起こしてるの?』
「えっと、それは……“運営”と呼ばれる悪の組織による、お金目当ての犯行みたいですね」
『!?』
「それで、思ったよりもお金が稼げないと……“運営”は、この世界を終わらせようとしてくるらしいです」
「な、なんて極悪非道なやつらなんじゃ! ゲロ以下のにおいがぷんぷんするのじゃ!」
『A.ぷんぷん!(怒)』
やはり、“運営”は神々の敵らしい。
とはいえ、今回はその“運営”のおかげで、異世界旅行ができるわけだが。
「まあ、“運営”とかいうやつらのことは、いったん置いとくのじゃ……それで、どんな異世界に行くんじゃ? とゆーか、その異世界は、本当に安全なとこなんじゃよな?」
「あっ、それなら大丈夫です! 世界を創った神様が同じだとかで、世界の法則も似てるみたいですし……なにより、みんなが幸せに暮らしている、とても平和な世界みたいなので!」
『【朗報】絵本みたいなメルヘンな世界っぽい件www』
「ふむ、それなら大丈夫そ――」
「――なんでも、『“まざーAI”によって完璧で幸福に管理されている理想郷』らしいです!」
「たぶん大丈夫じゃないやつじゃ、それ!?」
「ちなみに、その世界では、“幸福薬”っていうものを使うと、誰でも簡単に幸福になれるそうです! えへへ、私も幸福になれるかなぁ!」
『A.ダメ ゼッタイ!』
と、そんなやり取りをしつつ。
ローナは改めて、『異世界の情報』が記されたインターネット画面を見る。
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│ │ メタルノア [12+]
└───┘ ★2.5(1万件の評価)
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◆STORY
――〈空園都市ソラリス〉。
それは、汚染された地上から逃れるための希
望の〈方舟〉。
機械によって完璧で幸福に管理された〈理想
郷〉――のはずだった。
天才エンジニアである〈あなた〉は、いつか
都市の外に出ることを夢見て、こそこそと空
飛ぶ車〈ダイダロス号〉を作る日々を送って
いたが……。
しかしある日、都市の監視システムに見つか
り、〈SSS級反逆者〉として指名手配され
てしまう。
そんな〈あなた〉を助けたのは、自由を求め
て機械たちと戦う反機械勢力〈イカロスの
翼〉の少女たちだった。
「――ねぇ、わたしたちの翼になってよ!」
こうして、〈イカロスの翼〉の専属エンジニ
アとなった〈あなた〉は、一癖も二癖もある
少女たちの〈整備〉と〈指揮〉を任されるこ
とになり――。
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(うん! 異世界の情報も載ってるなんて、さすがインターネットだね!)
やはり、インターネット……インターネットは全てを解決するのだ。
もっとも、インターネットがなにを言っているのかは、いつも以上によくわからなかったが……。
とりあえず、この異世界の攻略サイトも、インターネット上には存在しているらしく。
(よーし! それじゃあ、インターネットで異世界のこといっぱい勉強するぞぉ! えっと、なになに……異世界の入り口がある“こらぼダンジョン”は、例のピコちゃんって子が作ったんだね……もしかして、会えたりするかなぁ――)
と、ローナはわくわくしながら、異世界旅行に備えるのだった。