軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百八十二話

俺と東雲、ヴァルとソフィ、そして篠森さんの四人と一体でダンジョン探索を行うべく、集まっていた。

篠森葵の容姿はメディアでも露出は少ないが、元々は東京を拠点に活動していたこともあって、彼女は今、念のため仮面を被っている。

ダンジョンから出てくるアイテム類には単純な武器・防具だけでなく、指輪や仮面、マントなどのアイテムも出てくるため、武器防具類など、標準的な探索者の装備と一緒に身に着けていれば、特別おかしくはない。

周囲の探索者は篠森さん(あと、東雲)から出ている只者じゃないオーラを感じているのか、避けているが、それでもSランク探索者であることが、バレている感じではなかった。

(それにしても、装備は割と普通なんだな)

Sランク探索者の装備について、俺としても知的好奇心が湧いていたのだが、篠森さんが身に着けている装備は、至って普通に見える武器・防具であった。

武器はシンプルな直剣、防具は革鎧に籠手など、RPGのモブのような装備であり、仮面が浮いた装備となっている。

「結構、普通の装備なんですね」

「そういう加工をしているからね。値段はかなりするよ」

(見た目通りの代物ではないということか)

俺が意外そうに尋ねると、篠森さんは直ぐに言葉を返してきた。

篠森さん基準、つまり、Sランク探索者基準でかなりするわけであるから、俺では到底購入することが叶わない金額であり、恐らく、竜種の素材などを超一流の魔導具師が手掛けた品々なのだろう。

Sランク探索者の凄さを感じるとともに、それだけの装備がないとダンジョン探索ができないと考えると、未踏破ダンジョンの恐ろしさを間接的に表しているようであった。

(そのダンジョンに、俺たちも来ているんだよな)

俺たちが足を運んでいるのは、【摩天楼】、東京どころか、世界でも有数の難易度を誇る、未踏破ダンジョンである。

位置づけとしては、明星が攻略している【札幌ダンジョン】と同じ水準であるが、ダンジョン内の構造はいささか異なっていた。

摩天楼というダンジョンは、雲まで続く巨塔という外観であるが、第一階層は数百キロ四方に広がる草原であり、奥に行けば行くほどにモンスターが強力となっていく。

にもかかわらず、序盤からBランク探索者クラスでないと相手にならない強さのモンスターが跋扈している。ダンジョンに入った段階から、レベル200適性のモンスターが普通に徘徊しているのだ。

佐々木ダンジョンや長野第五ダンジョンとの差が、明確にあるのが分かる。

階層内でもモンスターの強さに差がある分、一階層ごとの難易度の上昇は通常のダンジョンよりも飛躍的に上昇する。

現在、摩天楼の攻略は第八階層までしか進んでいな……むしろ、第八階層まで進んでいると言えるだろう。

なにせ、このダンジョンの第八階層はそれこそ、音速で宙を移動するドラゴンが、雑魚モンスター認定されるほどだそうだ。

対して、明星が攻略を進めている札幌ダンジョンは、構造的には通常のダンジョンと大きな違いはない。

だが、既に六十階層近くまで攻略を進めているが、最終階層がどの程度まであるのか、科学者の間でも全く予測ができておらず、摩天楼と同様に最初の階層からモンスターの強さも別格となっている。

攻略の進捗から、六十階層付近を徘徊するモンスターは、摩天楼の第八階層のものと大差はないと思われた。

(どっちも地獄みたいなダンジョンだな)

どちらのダンジョンの最前線も、俺が行っても、秒で骸になるだけだろう。

ワイバーンよりも遥かに強いドラゴンが雑魚モンスター扱いされるのだから、もしかしたら、地獄の方がマシなのかもしれない。

この世の地獄、それが未踏破ダンジョンの最前線であった。

「楽しみだなぁ」

そんな場所に行くにもかかわらず、篠森さんは先程から、ずっと浮かれた様子である。

表情を見るに東雲ですら、普段よりは緊張しているのに、この様子なのだから、未踏破ダンジョン最前線を行くSランク "探索者" というのは伊達ではないということなのだろう。

「じゃあ、行くよ~」

篠森さんの気の抜けた声を聞きながら、俺たちは未踏破ダンジョン、【摩天楼】に足を踏み入れた。