軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第41話 正式な来訪予告

書状は午前中に届いた。

宮廷書記局の封蝋だった。城館の紋章と異なる、王都の様式だった。使者は一人で来て、ロドリクに書状を渡してすぐに去った。短い滞在だった。馬を降りる間も惜しむように敷地に入って、書状を手渡し、一礼して出ていった。ロドリクは受け取った書状をすぐには開かず、使者が見えなくなってから書斎に戻った。

アシュリーはその様子を城館の廊下の窓から見ていた。

正式な書状だろう、と思った。前の日に、ロドリクから「明日、宮廷書記局から使者が来る予定です」と聞いていた。前触れの返答として正式書状が届くということも聞いていた。だから驚かなかった。ただ、窓越しに使者が去っていくのを見ながら、来るのだという実感が、ゆっくりと胸の中に降りてきた。前触れの時は言葉として受け取っただけだった。正式書状という形になると、実感が変わった。形があると、現実になる。それが人の感覚の不思議なところだと、アシュリーは思った。

アシュリーが呼ばれたのは、それから半刻後のことだった。

シエルが廊下に来て、「ロドリク様がお呼びです」と言った。表情が少し固かった。書状のことを察しているのだろうとアシュリーは思った。シエルはよく察する侍女だった。

書斎に入ると、ロドリクは机の前に立っていた。開封された書状が机の上にあった。アシュリーを見て、一度頷いた。

「届きました」

それだけ言って、書状をこちらに向けて差し出した。

アシュリーは受け取った。紙は厚く、文字は整っていた。王太子エドワルド殿下が来月ノルディア領を訪問される予定であること。一行ほどの短い挨拶の後に、日程と滞在日数が記されていた。三日間だった。正式な儀礼ではなく、視察の一環としての訪問とある。しかし実質は、この領地に何があるかを確かめに来るのだろうと、アシュリーは読みながら思った。

あるいは、自分がここにいることを確かめに来る。

どちらでも構わなかった。どちらが目的であっても、来るという事実は変わらなかった。

アシュリーは書状を机の上に戻した。ロドリクを見た。

「どうするかは、あなたが決めていい」

ロドリクが言った。声は穏やかだった。急かす気配がなかった。「会わないことを選ぶなら、私からそう伝えます。健康上の理由でも、多忙の理由でも、形式は何とでもなります」

アシュリーはロドリクの顔を見た。

会うか、会わないか。

一呼吸の間があった。選択肢を並べたわけではなかった。怖いかどうかを確かめたわけでもなかった。ただ、自分が何を選ぶのかを、静かに確認しただけだった。答えは出ていた。出ていたというより、問いを立てた瞬間から、すでにそこにあった。

「会います」

ロドリクがわずかに目を動かした。驚いたのだと、アシュリーには分かった。この人がこういう反応をすることは珍しかった。それを見て、アシュリーは少し落ち着いた気持ちになった。即答したことへの驚きだろうと思った。

「なぜですか」

静かな問いだった。詰問ではなかった。ただ、知りたいと思っている声だった。

「会わないでいると、ずっと『来たらどうしよう』と思い続けるから」

アシュリーは言った。言葉を選んだわけではなかった。思っていたことが、そのまま出てきた。

「来ると分かっているのに、会わずにいる間中、どこかで緊張しているはずです。それが嫌です。会って終わらせた方がいい」

ロドリクは少し間を置いた。それはこの人が何かを受け取っている時の間だと、アシュリーには分かってきていた。考えているというより、受け取っている時の間だった。

「分かりました」

それだけ言った。異論を挟まなかった。アシュリーの決断を、そのまま受け取った。「日程については、こちらから返答を出します。他に必要なことがあれば言ってください。準備のことも、当日のことも、一人で抱え込まないように」

最後の一言が、少し違った。いつもの短い言葉より、わずかにこちらに向いた言葉だった。アシュリーはそれを受け取った。

アシュリーは頷いた。書状を手元に戻した。三日間という滞在日数をもう一度確認した。長くはなかった。終わりがある。終わりのある三日間だった。始まりがあれば終わりが来る。それだけで少し楽だった。

書斎を出た。廊下で待っていたシエルが、アシュリーの顔を見た。

「お嬢様、本当に会うんですか」

少し心配そうな声だった。シエルが廊下でこういう顔をするのは珍しかった。控えめな侍女が表情を出していた。

「会います」

アシュリーは答えた。

「……分かりました」

シエルは一拍置いた。それ以上は言わなかった。何かを言いかけた気配はあった。エドワルドと会うことへの心配を口にしようとして、引っ込めたのだろうとアシュリーは思った。シエルはアシュリーが決めたことを覆そうとしない。それが分かっているから、言葉を引っ込めた。

「シエル」

アシュリーは呼んだ。

「はい」

「心配してくれているのは分かっています」

シエルが少し目を細めた。

「……お嬢様が大丈夫とおっしゃるなら、大丈夫なんだと思っています。ただ、もし何かあれば、私がそばにいます」

廊下の光が午後に変わっていた。石造りの壁に光が当たって、影が少し伸びていた。アシュリーはその影を見た。二週間後のことを、今から恐れても意味がなかった。今はまだ今だった。

来訪まで二週間があった。アシュリーはその間、王都で起きていることの続きを聞いた。