軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

37 かわいいは正義

【ダイヤウルフ】

大型の魔獣で鋭い牙と爪を持ち攻撃力が高い。

大きな身体と黒い毛並みが特徴。

足が速く力も強い。嗅覚、聴覚共に優れている。

群れで行動し獲物を追い詰める。

毛皮、牙、爪は武器や防具に加工されるが

肉は筋が多いうえ獣臭く食べにくい。

なるほど、この子犬は白っぽいけどダイヤウルフなのか。アルビノか突然変異かな?

こんなにボロボロになるなんて何があったんだろう? とりあえず怪我は治ったから、目が覚めたら帰っていくと思う。

焚き火の近くに寝かせて様子を観察する。…かわいい、普通の子犬だな。撫でまわしたいけど一応魔物だし、野生の動物はむやみに触っちゃいけないだろうから我慢しよう。さっき洗ったときに触ったからそれで満足するか。

すっかり冷めてしまったが食事をする。冷めて脂が固まっているのでもう1度焼き直すことにした。

鍋で焼き直していると寝ていた子犬が起き出した。立ったけどフラフラしている、体力がまだ戻ってないんだろう。

どうやらお腹がすいているみたいだけど、子犬に肉なんてあげていいのかな? まだ小さいしミルクのほうがよさそうなんだけど。

味付けをしていないほうのお肉を小さくちぎって与えてみる。おぉー、すごい勢いで食べるな。だいぶお腹がすいていたんだろう。

さらにちぎって食べさせる。いきなりこんなに食べて大丈夫なのかな? ステーキサイズを1枚ペロリと食べてしまったけど、まだ食べたそうにしている。

「……キューン」

やめて、そんな瞳で見ないで!

小さなクリクリの瞳が見つめてくる。もっと欲しいとねだるように見つめてくるが、これ以上与えるのはダメな気がする。

だって、ものすごくかわいいんだもん。情が移る前に突き放さないと。これ以上関わったら、可愛がりたくなっちゃう。

親のダイヤウルフもいるだろうし、もしかしたら子犬を探しているかもしれない。近くにいる気配は全くないんだけど、もし突然来たら普通に危険だ。

…でも、このかわいさには抗えない。もう1枚だけあげるけど、今度は生のまま与えることにした。本来なら生で食べるだろうから。

ちぎらずにそのまま与えると、両足で押さえながらお肉にかぶりついている。小さいけどやっぱり魔物なんだな。足の爪はガッチリ肉にくい込んでるし、牙が鋭い。

1枚のはずが気がついたら5枚もあげていた。…食いすぎじゃないだろうか? 満腹になるまで食べたのか、お腹がぽっこりとしていてかわいい…。

子犬に癒されながら冷めた味付きのお肉を食べた。……うん、冷めても美味しいな。

鍋や出していた荷物を片付けたら、今日はもう寝よう。たくさん動いたから疲れたよ。

焚き火に水をかけ消火を確認したら、ゴミをアイテムボックスにしまいクリーンをかける。地面を軽くならして元通りにして部屋の中に戻った。

子犬は怪我も治ったしお腹いっぱいご飯を食べたから、あとは何もしなくて大丈夫だろう。親を探しに森に戻るはずだ。

ライトで部屋の中を明るくしてから土魔法で入口を閉めようとすると子犬が中に入ってきた。

…何このかわいいの!? ぽっこりお腹でトコトコ歩いてくる。心を鬼にして外に出すが、手を離すとまた入ってくる。

「あぁ、これダメなやつだ」

多分、無理やり追い出せば入ってこなくなるだろうけど、それができたら苦労はしない。追い払うなんてできるわけないじゃん。

諦めて中に入れてあげる。アイテムボックスの中から大量の草と大きな布を取り出し寝床を作った。

これで昨日よりは快適に眠れるだろう。今度、余裕があれば草を使って敷き布団でも作ろうかな。

全身にクリーンをかけてから横になる。少し青臭い匂いが気になるが草原で寝転んでいると思えば大丈夫そうだ。

寝る準備が終わるとそれまで様子を見ていた子犬が寝床にやってきて、私の顔の横に寝そべった。

触るのを我慢していたけど、ここまでされたらもういいか。怖がらせないようにゆっくりと手を伸ばして頭を撫でる。

モフモフだ、子犬は気持ちよさそうに目を細めている。少し離れて寝ていたが、子犬が腕の中に入ってきてくれた。

……あったかい。この世界にきて初めて感じた感覚だった。いろんな感情が溢れ、私は少しだけ泣いてしまった。