軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

460 軋 み 3

「お、概ね、状況は分かりました。私達はそちらの方面には行かないようにしますね……。

では、これにて失礼します!」

「え? いや、ちょっと待って……」

引き留めようとする王様の声をスルーして、緊急離脱!!

いや、王様も宰相様も、お忙しいだろうからね。

ファルセットは、知~らない、というような顔で、私に続いて退室。

力尽くで私達を止めようとする者はいなかったよ、うん!

* *

「……ということらしいよ……」

「「「…………」」」

レイコと恭ちゃんだけでなく、いつも表情を殆ど表さないレイアまで、何とも言えない顔をしている。

まあ、私も同じような顔をしているのだろうけどね、多分……。

ファルセットだけは、普段と変わらない様子だ。

『私には何の責任もありませんから』とでも思ってやがるな、コイツ……。

「……で、どうするのよ……」

「どう、と言ったって……」

レイコが詰めてくるけれど、アレはみんなで相談して決めた行動だったじゃないの。

だから、そんな『オマエが悪い!』みたいな顔をされても……。

「…… カオル(オマエ) が悪い!」

「口に出すなああァ〜〜!!」

……まぁ、勿論、これはレイコの冗談なんだけどね。

「でも、隣国の上層部は知ってるんじゃないの? 今、この国では御使い様が活動してるってコト。

いくら何でも、ある程度広まっているであろう噂を諜報員や 草(・) が掴んでいないワケはないよね?

そして御使い様を敵に回せば大変なことになるってことは、香ちゃんの言うところの『 第一シーズン(アイテムボックス前) 』の、何たら聖国の滅亡とか、ブランケット王国の簒奪失敗事件とかで知ってるんじゃないの?」

恭ちゃんがそんなことを言ってきたけれど、……まずは訂正しとくか。

「ルエダ聖国と、ブランコット王国、ね……」

毛布じゃないんだからね!

「まあ、御使い様に喧嘩売る為政者はいないよねぇ。

いくらあれから70年以上経ってるとはいえ、そして大陸の反対側での出来事だとはいえ、さすがにあんな大事件が貴族や王族、神官とかに完全に忘れられてるとは思えないよねぇ……」

「当たり前ですよ!」

私の言葉に、うんうんと頷く恭ちゃんと、肯定の言葉を口にするファルセット。

……で、レイコはというと……。

「いえ、今回は昔のケースには当てはまらないんじゃないかしら?

昔のは、カオルが何年も住んでいて、貴族や王族との付き合いがあった国だとか、カオルの名を使って託宣を捏造したり、明らかな敵対行為を行っていた国でしょ、カオルの話によると……。

でも、今回は『この国の王都で活動している』というだけであって、貴族や王族と 友誼(ゆうぎ) を結んでいるわけじゃないし、表舞台に出ているわけでもない。

……これって、御使い様はたまたま現在この国に立ち寄っているだけであって、別にこの国の味方だというわけじゃない、って思われない?」

「「あ……」」

「だから、自分から宣戦布告に近い挑発行為を行ったこの国は 悪(あく) であり、それを討って御使い様をお護りし、民の味方であり敬虔なる女神のしもべである自国にお招きする、とか考えてたりして……」

「「「あ~……」」」

そんなトコか……。

ファルセットも含め、全員がレイコの推測に納得した。

まあ、確かに王様や宰相様と面識があるのは『加護の力を強くしてもらった、自由巫女』であって、夜に民草の家を訪問する『御使い様』は、この国の貴族や王族とは接触していないことになってるからねぇ……。

そして、御使い様の噂はある程度広まっているけれど、時々王様に会いに行く自由巫女の パワーアップ後の能力(・・・・・・・・・・) を正しく知っている者は、とても少ない。

……なのでおそらく、隣国はそのことを把握していないだろう。

「とにかく、戦争は止めなきゃね。

私達に無関係なら、争いや政治に口出しするつもりなんかないけれど、さすがに私達が 引き金(トリガー) となって戦争が起こり大勢が死ぬ、なんてのは許容範囲を超えすぎだものねぇ……」

さすがに、私のこの言葉に頷いているレイコと恭ちゃん。

ファルセットは、……私が女神様らしきことをするのは大歓迎だろうし、あわよくばその時に活躍を、とか企んでいそうな、満面の笑みを浮かべてやがる……。

まあ、戦争で大活躍を、とは考えなかったらしいのは、一応、評価しておこうかな。

「戦争を止めるとなれば、自由巫女のエディスじゃなく、『御使い様』でなきゃならないよね?

それと、森から魔物が溢れた理由はどう説明するの?

正直に言う? 誤魔化す? それとも、誰かのせいにして責任を擦り付ける?」

「「「……」」」

恭ちゃんの質問に、黙り込む私とレイコ。

ファルセットも、現地人代表として、一緒に考えてくれている。

「「「…………」」」

「「「………………」」」

アカン、いい考えが浮かばない……。

どうすれば……、って、そうだ!!

「正直に、真実を伝えよう!」

「「「え?」」」

「セレスが世界の安定のために森に手を加えた弊害だ、って……」

「「「おお、なる程!!」」」

私の言葉に、ポン、と手を打つ3人。

「嘘じゃない。魔物の調整は世界を安定させるためにセレスが色々とやっていたことのひとつだし、魔物のバランスが崩れて特定のものが増えすぎたのは、その弊害だからね。

私達は、それを何とかするために仕事をしただけだから、魔物が森から溢れたのも弊害のひとつだと言い張れる!」

「……確かに!」

「その通りよね……」

「女神の行いとして、何恥じることもない正しき行動です!」

うむうむ、絶賛ではないか、我が案は!

「……で、私達が『御使い様』だと信じさせるためには、それなりの 奇跡(・・) を見せなきゃなんないよね?」

どうしたんだ、恭ちゃん!

何か、今日はまともなことばかり言ってるぞ!

「それと、顔はどうするの? 『夜の御使い様』の時はいつもお面を着けているけど、お面を着けてちゃ、怪しすぎて御使い様だと信じてもらえないかも……」

「そんな、えっちな職業みたいな言い方をするな!!」

夜の〇〇、とか言うと、そっち方面みたいじゃんか! レイコのヤロウ……。

いや、まあ、確かに御使い様の仕事は夜にしかやっていないけどさ……。