軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

437 見 学 2

「では、本日はよろしくお願いします」

「お願いしますっ!!」

私に続いて、元気に王様達に挨拶する、恭ちゃん。

レイコとファルセットはメイド姿の使用人バージョンなので、黙って後ろで控えているだけ。

私は、自由巫女・お金持ちバージョン。恭ちゃん……サラエットは、商家の娘・お金持ちバージョンの服装だ。勿論、アクセサリーも高価なヤツ。……この世界では、だけどね。

今日は招待客としてあちこちを案内してもらうのだから、一応、招待主である王様の顔を潰さないだけの服装をしなきゃね。

王様側は、王様、宰相様、王太子の、いつものトリオに加え、10歳前後の男の子と女の子が、ひとりずつ。

男の子の方が、少し身長が高いみたいだ。ということは、女の子より年上かな?

この年齢だと、女の子の方が成長が早いからね。

他に、文官らしき人がひとりと、護衛の兵士……王族警護の近衛兵かな……が5~6人いるけれど、まあ、護衛は黒子と同じで、 いないものとして扱う(・・・・・・・・・・) 、というものだから、員数外だ。

さすがに、幼い王子様や王女様を、護衛も付けずに部外者に預けたりはしないか……。

「第四王子のヴィトリーと、第六王女のエルレイアだ……」

ふたりとも、 如何にも(・・・・) な王子様と王女様だよ。

「おおおおおおお!!」

食い付きがいいな、恭ちゃん……。

うん、知ってた……。

「王子殿下、王女殿下、本日はよろしくお願いいたします」

「うむ、任せるがよい!」

「お任せくださいませ!」

あああ、精一杯背伸びした返答、可愛い!

「尊い……、ぎゃっ!」

とりあえず、不審者みたいな顔になってる恭ちゃんの足を踏みつけて、と……。

「では、参りましょうか。

陛下、見学のご手配、ありがとうございました」

そう言って、王子と王女の先導で、後ろに黒子の護衛達を引き連れて出発しようとしたところ……。

「……待て! 案内をする息子と娘は決めたが、私と宰相、そしてこの者達も一緒に行くぞ。状況を把握して、以後に備えたい……」

そう言って、王様が宰相様と王太子、文官らしき男性を手で指し示した。

おお、『恭ちゃんから世界を護る会』のメンバーが増えるぞ! 助かるなぁ……。

「大歓迎です! 一緒に、世界を護りましょう!!」

……どうしてそんなにドン引きなんだよ、王様達……。

* *

とにかく、何やかやで、王城見学ツアー一行が出発した。

先導役は王子殿下と王女殿下で、ふたりで恭ちゃんを挟むような位置取りで、先頭に。

その両サイドやや後方に、護衛がひとりずつ。

下働きの平民がいる場所とかもあるだろうから、ま、当然の護衛位置か。

私とレイコ、ファルセットは、両殿下と恭ちゃんの後ろ。

殿下達の説明は十分聞こえる位置。

文官さんも、私達の側にいる。

……多分、案内役の王女と王子が 恭ちゃん(サラエット) の質問に答えられなかったり、案内のルートを間違えたりした時のお助け要員か何かなのだろう……。

更に後ろが王様達で、その側面と後方に護衛。

ま、王位継承順位が低い 末弟(まってい) や 末姫(すえひめ) 様よりも国王陛下と王太子を優先して護るのは当然か。

それに、そもそも王城内なんだ、そんなに危険があるわけじゃない。

どうせ、主要な見学先には前もって別の護衛を配置しているだろうし。

正規の装備を身に着けた者も、そこで働いている者に 扮(ふん) した者も……。

王女と王子が、王様からどこまで説明を受けているのかは分からないけれど、 臆(おく) することなく、そして相手が平民だからと 侮(あなど) ることもなく、楽しそうに、元気に案内してくれている。

……これは、もてなすべき主賓は 恭ちゃん(サラエット) であり、 他の3人(わたしたち) はオマケだということ、そして 恭ちゃん(サラエット) が大事なお客様だということは教えられているけれど、 ヤバいこと(・・・・・) は一切知らされていない、ってトコかな……。

でないと、もっと不愉快そうか、あるいは逆に怯えてオドオドした態度になるはずだ。

いくら王族とはいえ、この年齢で、全部知っていてこの自然な態度ができるなら、地球の俳優関連の賞を総ナメにできること間違いなしだ。

* *

私達4人を含めて、総勢15人の大所帯。

その集団が、ぞろぞろと城内を練り歩く。

……まるで、大病院の 院長回診(大名行列) だな……。

「ここが、第一特別厨房だ」

王子様が、得意そうに説明してくれた。

「……何が 特別(・・) なんですか?」

そして、尤もな質問をする、恭ちゃん。

「うむ。ここは、我々王族や大臣達の食事を作る厨房なのだ。ここと第二特別厨房で作られた食事はランダムに配膳され、父上とヴァイス兄様が同じ厨房のものを同時に食されることは、決してない」

「おお、食中毒や毒殺とかで上層部が一挙に全滅、というのを防ぐためですね!

それ以前に万全の態勢を取っていながらの、更なる用心! さすが王宮ですよね!!」

目をキラキラさせての恭ちゃんからの賛辞に、鼻をピクピクさせて自慢そうな王子様。

いや、別にアンタの手柄とちゃうやん……。

まあ、お子様の可愛い態度なので、微笑ましく見守ってあげるだけだけどね……。

料理人達は、事前に指示されていたのか、王様達の来訪にも拘わらず仕事の手を止めず、緊張した様子ながらも調理を続けている。そして包丁を持つ手が震えていたりはしていない。

……さすが、プロだねぇ……。

* *

「ここが、兵士達の訓練場だ」

「ここが、文官達の仕事場だ」

幼い王子様による案内と説明が続き、……恭ちゃんの口から質問が放たれた。

「あの~、武器庫や宝物庫、非常脱出用の隠し通路とか、王女様の私室とかは……」

「「ていっ!」」

私とレイコの 手刀(チョップ) が、同時に恭ちゃんのアタマに叩き込まれた。

「そんなのを平民に見せてくれるわけがないでしょ!」

うん、レイコが指摘した通り、そんなトコを部外者に見せる王族はいない……、って、王様達、ちょっと顔色が悪くなってるよ……。

怒らせたかな? 恭ちゃん、少しは 弁(わきま) えてよ……。