軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

415 事後処理

「……ということで、一件落着!」

「お疲れさま~」

「後で、その商店が潰れていることを確認しようね。

ないとは思うけれど、もし上手く切り抜けて存続していたら……」

「「「プチッとな……」」」

3人の揃った台詞に、こくこくと頷くファルセット。

「リトルシルバーも、しばらくは大丈夫だと思うよ。

あの連中、自分達は簡単に捨てられるかもしれないけれど、私達が名馬を置いて行くことはないだろうと思っているみたいだからね。

それが4頭に増えたから、少しは安心するだろうと思うよ」

「「…………」」

ファルセットはともかく、レイコと恭ちゃんは、ちょっと複雑そうな顔をしている。

まあ、日本と較べちゃいけないことくらいは分かっているのだろうけどねぇ……。

「あとは、島の連中にあげる農具とかを買ったり、ファルセットの愛馬に延命ポーションを飲ませてあげれば、今回の件は全部終了かな」

「えええええっ!!」

あ、ファルセットが、えらい食い付きようだぞ。

「フ、フラットに、ポーションを賜ることが……。

あ、ありがたき幸せ……」

何か、すごく感動してるなぁ……。

「ハングとバッドに与えているからね。ファルセットの愛馬も、同じ待遇にしてあげないとね」

「我が愛馬が、神馬様達と同じ立場に……。うっ、うううっ……」

あ~、泣き出しちゃったぞ……。

まぁ、馬に乗る人達の中には、馬を家族同然に思ったり、戦友扱いしたりする人もいるらしいからなぁ。

それに、自分の愛馬が評価されるということは、自分が評価されたも同然だと考えるらしいし。

また、馬の寿命は人間より短いから、これでずっと一緒にいられる、とか思ったら、……そりゃ嬉しいか……。

そして、『自分も欲しい』とは言わないのが、……まぁ、『 女神の守護騎士(エインヘリヤル) 』なんだろうなぁ……。

* *

「フラット!」

ファルセットが呼ぶと、一頭の馬が一目散に駆けてきた。

私は、この子に会うのはこれが初めてなんだよね。

ファルセットとは私達が王都に来てから会ったし、その時にはもうこの子はここに預けていたらしいから……。

なのでこの子は、別の馬屋に預けていたハングとバッドとも面識はないはずだ。

ここは王都内にある馬屋がやっている牧場なので、長期間預ける場合には、王都にある店の厩ではなく、城壁の外にあるこの牧場で放牧して運動させてくれるのだ。

身体の手入れもしてくれるし、割増し料金を払えば、特別食を始め、様々なサービスをオプションで追加できる。

ファルセットは子供の頃に苦労したせいか、お金にはあまり困らなくなった今でも貧乏性らしいけれど、愛馬のためにはお金を惜しまないそうだ。

自分は粗食に甘んじても、飼い猫の餌は高級品を買う、という人達と同じかな、うん。

『御主人様、御主人様! 嬉しい、嬉しい!!』

大喜びで、ファルセットに鼻面を押し付けるフラット。

この言葉も、ファルセットにはヒヒンヒヒンといういななきにしか聞こえていないんだよねぇ。

「御主人様、嬉しい、だってさ」

「……え?」

一瞬、きょとんとしたけれど、すぐに私がフラットの言葉を通訳したということに気付いたらしい。

「フラット! 愛(う) い奴め……」

笑(え) み崩れて、フラットの頭部を抱き抱え、ぐりぐりするファルセット。

楽しそうだなぁ……。

今度、ハングとバッドと 戯(たわむ) れてみようかな。

あの2頭、喜んでくれるかなぁ……。

『愛い奴め、だってさ……』

『……?』

『オマエの御主人様が、オマエのことを「可愛いやつだ」って言ってるよ』

『ぎ……』

『ぎ?』

『ぎゃあああああ! シャベッタアアアアァ〜〜!!』

あ、またコレか……。

* *

『……じゃあ、女神様が私めに祝福を与えてくださると……』

『うん。私に仕えるオマエの主人、ファルセットが全力で私に尽くすためには、乗馬であるオマエの力が必要だよね? だから、神薬を飲ませてあげる』

『おおお! 御主人様のおかげで、そのような栄誉を! おおお! おおおおおおお!!』

『はい、これ飲んで!』

そう言っても、馬は小瓶のポーションを 溢(こぼ) さずにうまく飲むには身体の造りに問題があるため、しゃがませて、口をあけて上を向かせて、なんとか口の中に注ぎ込んだ。

さすがに、お腹の中に生成したんじゃありがたみがないからね。

……これで、この子のファルセットへの忠誠心がますます強まるだろう。

そして勿論、女神様に対する忠誠心もね。

うむうむ……。

* *

色々と、買い込んだ。

鉄製農具、金槌、釘、毛布、野菜や果物の種や苗、その他諸々……。

使ったお金は、あの店で回収した隠し金庫の中身から。

新しい生活がスタートするお祝いにと、ポーションとして出した地球のお酒をオマケに付けといた。

あ、恭ちゃんが作った薬草辞典も付けたよ。

まぁ、少しくらいはサービスしてやってもいいだろう。

……そしてやって来た、お馴染み、片足島の上空。

いや、今はもう、みんな両足が生えているけどね。

そして、お土産を下ろして……。

『生まれ変わり、新たな人生の門出を迎える者達に対する、私からの祝いの品である。

皆、心正しく生きよ!』

うむうむ、全員、 跪(ひざまづ) いて祈りを捧げているな。

暗殺者達も一緒みたいだな。

……もう 教育(・・) が終わったのかな?

狂信者、恐るべし!!

これで、あとは時々様子を見に来れば……、いや、恭ちゃんから超小型の虫型偵察機とかを貰えばいいか。そうすれば、いちいち来なくて済むし、何かあればすぐに分かるし。

よし、ミッション・コンプリート!

リトルシルバーに寄って、 アレ(・・) を済ませてから帰るか。

『では、さらばじゃ!!』