軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラピスラズリの人〜理理

今日は極秘クエストなので、個室対応となっている。

もちろん2人きりではないよ?

どんな人かわからない人と個室とかありえないでしょ?

理人(りひと) 兄さんが同席してくれてる。

クエスト受注する条件として患者本人には了承してもらっている。

で、入ってきた患者を見て驚いた。

「 星川(ほしかわ) 先輩?」

「えっ!? 神凪(かんなぎ) さん!?」

冬休みに入った頃だったかな、ギルマスから極秘に治療のクエストを受けて欲しいとお願いされたことがあった。

話を聞いてみたら、エルダーリッチにかけられた呪いを解呪してほしいとのことだった。

なんで、極秘なのかと思ったら、本人が素性を隠して探索者活動をしているとのことだった。

新宿ダンジョンのトップランカーの1人らしいが、とにかく目立ちたくないんだって。

目立つと周りが騒がしくなるもんね。

わかる、わかるよ。

なので、リノはクエスト受注することにした。

で、今ここね。

「神凪さん!?なんで仮面してるのに僕だってわかったの?」

仮面で顔を隠してたけど、すぐにわかった。

とりあえず敵か確認のために、マップ開いてたから。

そしたら、ラピスラズリのマークだったから。

けど、なんて説明したらいいのよ?

「リノ、知り合いか?」

理人兄さんに聞かれた。

だからそっちに乗っかることにした。

「うん、大学の先輩」

「その仮面ってことは、トップランカーの 暁(あかつき) の人だよな?」

「あっ、はい」

星川先輩は、そう言って仮面を外した。

理人兄さんが、目を丸くしていた。

うん、わかる。

星川先輩、美人なんだよね。

美人だけど、女の人には見えないし、キリッとしてる。

でもカッコいいよりは、美人の方が似合う気がする。

「あー、その顔でトップランカーだとバレたら大変なことになるな」

理人兄さんが妙に納得してる。

「なので、秘密でお願いします。えーと?」

「あっ、俺はリノの兄だ」

「神凪さんのお兄さん!?あのポーションの!?」

「そう、ポーションのうちの兄よ」

俺はポーションじゃねぇって言ってるけど、無視よ無視。

「星川先輩、呪いってどこでかけられたんですか?」

呪いをかける魔物って、アンデッドとかよね?

どこのダンジョンにいるの?

新宿ダンジョンでは聞いたことないけど。

「ニコタマの小規模ダンジョンの中ボスのエルダーリッチにかけられたんだ」

「トップランカーなのに、中ボスに!?」

理人兄さん、言い方。

「あっ、まだ中学1年のときですね」

「えっ!?何年呪われたままにしてるんですか!」

えっ!?

10年くらい!?

「解呪できるポーションも人も見つからなかったんだよね。

やっと治癒室の人が解呪出来るかもって、ギルマスに聞いたんだ」

えっ!?解呪ポーションとかないの?

ってか、ダンジョンからドロップしないんだっけ?

普通のポーションも。

だから、理人兄さんが第一人者なんだっけ。

普通の治癒術師じゃ、解呪はできないよね。

リノだってサンクチュアリが生えたから出来るだけで。

「あっ!?もしかして星川先輩がよく転んでるのって呪いのせい!?」

「うん、右足に呪い受けちゃったんだ」

星川先輩は、ズボンの裾を捲り右足を露出した。

星川先輩の右足は、真っ黒に呪いが絡みついていた。

「痛くないのか?」

理人兄さんにも呪いが見えたらしい。

「もう慣れました。痛みに耐性ついたみたいで、スキルに苦痛耐性が生えました」

うわー。

イヤなスキルの生え方…。

「とりあえず解呪試していいかな?

こんなにガッツリな呪い解いたことないから、

回数必要になるかもしれないけど」

「その辺は、神凪さんに負担のないようにお願いします」

星川先輩、ほんとにいい人なんだよね。

最初は、マップのラピスラズリマークが何を表すのかわからなかったし、

今もわかってないけど、警戒はするよね?

赤のマーカーとどピンクのマーカーの敵だらけだったしさ。

青マーカーは、 栞(しおり) と 悠介(ゆうすけ) しかいないんだよ!?

ひどくない!?

リノの味方、2人しかいないんですけど!?

赤のマーカーとどピンクのマーカーは、

結界で1メートル以内には近づけないように設定したから、マップから消した。

そしたら、栞と悠介とラピスラズリの3つしかマーカーなくなっちゃったのよ。

そしたらマップ意味ないじゃない?

ラピスラズリマークの該当者を確認してマップ見るの止めたわよ。

で、ラピスラズリマークの該当者、

星川先輩に警戒しつつ日々過ごしてたわよ。

そしたら、たまに見かける星川先輩よく転んでるのよ。

もっさい髪型して、最初は寝癖かと思ったけど、

あれはウィッグよね?

しかもマスクして、メガネかけて…だもん。

顔なんてわからなかったわね。

警戒する必要なくない?ってくらい鈍臭そうに見えたわ。

あれってわざとそうしてたってことよね?

まさか、新宿ダンジョンのトップランカーだとは思いもしなかったけど。

いつだったかな?

リノの結界に弾かれて飛んでいった人がいて、

だからたぶん赤マーカーかどピンクマーカーの人だと思うけど。

リノ何もしてないのに、魔法使って攻撃したとか言われてさ。

悪者扱いになりかけてたところを、

星川先輩が助けてくれたんだよね。

飛んでったヤツが、リノの背後からリノに突進してきたこと。

勝手に吹っ飛んでいったこと。

リノは何もしてないことを証言してくれた。

それから、たまに顔を合わせたら話すようになったんだよね。

結局、ラピスラズリマークの意味はわからないままだけどね。

「とりあえず解呪試してみていいかな?」

「お願いします」

「右足、伸ばしたままにしておいてね」

リノはまずスキャンをした。

足の骨や筋肉、筋なんかは痛めてるわけではないわね。

神経がおかしいわけでもないね。

ホントに呪いのせいなんだな。

なら、サンクチュアリを起動。

うわっ、やっぱり一回じゃ解呪できないわ。

ものすごく濃いし、硬い。

そしてガッチリ絡み合っちゃってる。

少しずつ解いていくしかないわ。

「今日はここまで。やっぱり一回じゃ無理みたい」

「なんかごめんね」

いや、星川先輩が謝ることじゃないけど。

「リノ、そんなにすごいのか?」

「うん、呪いが濃くて硬い」

「硬い?」

「呪いが、か?」

「うん、ガッツリ解けないように縛り上げられてるみたい」

「そんな感じなの?」

自分の呪いなのに、なんか他人事みたいじゃない?

「よくそんなんで、30階層まで行けたな?

メンバーは何も言わないのか?」

理人兄さんの言いたいことはわかるわ。

歩くだけで転んでるのに。

どうやって移動してるの!?

「あっ、僕ソロなんですよ」

「「はっ!?」」

ソロ!?

「ソロってマジで?」

「はい、厳密には人間が僕1人ってことですけど」

「ん?」

「僕、テイマーなんですよ」

テイマーってなんだっけ?

「あれか?魔物とか従えるヤツか?」

あー、そういうやつ?

リオもある意味テイマーなのでは?

めっちゃ契約してるじゃない?

ドラゴンとかフェンリルとか…

「そうです。戦える強い子とか、乗せて移動してくれる子とかいます」

可愛いんですよって、笑う星川先輩が可愛いんだけど?

「それで30階層か!」

理人兄さんが納得って感じで言ったら、

「そうなんですよ。

すごいのはあの子達であって、

僕は強くないのに、トップランカーとか言われちゃって困ってます。

目立ちたくないのに」

しおしおーってなっちゃった星川先輩に理人兄さんは、

「あーうん、正体は秘密にするから」

と、約束してたので、リノも便乗しといた。

「リノも言わないから」

「ありがとうございます」

今度、可愛い子見せてもらいたいな。

「あっ、で、解呪なんだけど、さっきの感じだと、最低でも10回くらいは必要だと思う」

「そんなにですか…」

あー、そっか。

「何回も個室貸切にするのも逆に目立つのかな?」

「あー、星川は目立ちたくないんだよな?」

「はい」

「リノ、うちに来てもらって治療したらいんじゃないのか?」

その手があったね!

「先輩、嫌じゃなければウチで治療しましょう」

「ご迷惑では?」

「いや?たまにそういうことあるしな?」

「そうだね」

「それならお願いしても大丈夫ですか?」

星川先輩は、申し訳なさそうに言ってきた。

「問題ないぞ。ただ、うちに来るなら全員神凪なので、

呼び方変えるように。俺は 理人(りひと) な」

「理人さん…わかりました」

「じゃあリノは、リノか 理理(りのり) でよろしくね?」

「理理さん?」

「えー?さんはいやー。呼び捨てでいーよー」

「うー…りのり……ちゃん」

あはははって、理人兄さん笑ってるし。

「ちゃんかー、呼び捨てはムリ?」

「が…んばるけど…なら僕のことも名前で呼んでください」

「星川先輩の名前ってなんて読むの?いつも謎だったんだけど」

「難しい漢字なのか?」

「いえ、漢字は簡単です。星空と書きます」

「星空?なんて読むんだ?」

「わからないですよね、【せら】と読みます」

「へぇー!カッコいいね!せら先輩?せらさん?せらくん?せらちゃん?せら?どれがいい?」

とりあえず決めてもらおう。

「なら、せらで」

「呼び捨てでいーの?」

「はい」

「わかった!解呪は3日に1回くらいずつになると思うけどいーかな?」

「それでお願いします」

「せらの連絡先教えて?」

「はい、りのりちゃんのも教えてください」

せらと連絡先交換して、今日は終了だね。

理人兄さんがさっきから笑ってるし、なんなのよ?

「せら、リノのが年下なんだから、敬語いらないんだけど?」

「はい、じゃなくて、うん。わかった」

「よろしい!」

「なんでリノ偉そうなんだ?」

理人兄さんがまた笑ってるし、と思ったらせらも笑ってる。

うん、やっぱり笑ったら可愛いね。

眼福だわー。