作品タイトル不明
ジョーカーの再出発〜リーダー航
「ギルマス、俺たちはなんで生きてるんだ!?」
27階層で死を覚悟した。
ツインヘッドオーガ5体に囲まれるなんて思いもしなかった。
ツインヘッドオーガはたぶん変異種だろう。
その中に1体だけ、更に大きな個体もいた。
剣で切っても浅く傷がつくだけ、
魔法で攻撃しても致命傷には程遠い、傷と言えないようなものしかつけられなかった。
何も出来ないまま、俺の記憶はそこで途切れている。
たぶんツインヘッドオーガの攻撃を受けたのだろう。
その記憶すらない。
そのまま死んでてもおかしくなかっただろう。
けれど目が覚めた時には、
パーティメンバー全員が無事で、
ギルドの治癒室に寝ていたのだ。
何が起こった!?
「 理外の剣(りがいのつるぎ) が27階層で瀕死の君たちにエリクサーを飲ませて、連れ帰ってくれたんだよ」
「理外の剣が?」
どうやって?
27階層だぞ!?
25階層に戻るにしても、俺たちを運びながら?
そんなこと可能なのか!?
ってか、エリクサー!?
「ギルマス、エリクサーっていくらだ!?」
俺たちに払えるのか!?
「それは、 神凪(かんなぎ) のショップで確認してくれ。
ギルドとしては管轄外なんだよ」
ポーションの類は確かに神凪が独占してるんだよな。
レシピ公開してるらしいが、ほとんどの人は作れないって話だったな。
素材が集められないんだったか?
そんなものをどうやって神凪は…?
「わかった、あとで確認する」
「君たちジョーカーは、これからも探索者を続けられるかね?」
確かに死にそうになって、もう無理だと言うメンバーも出るかもしれない。
「それは、メンバーと話さないとわからないな」
まだ俺以外のメンバーは目を覚ましてない。
「そうだな…もしまだ続ける気があるなら、
君たちに依頼したいことがある」
「わかった。受けるかどうかは全員が目覚めてからだ」
ギルマスは頷いて、治癒室を出ていった。
全員が目覚めた後に、ギルマスから聞いた状況を説明した。
理外の剣が瀕死の俺たちにエリクサーを飲ませて、
27階層から連れ帰ってくれたこと。
ツインヘッドオーガとエンカウントした時のことを覚えているかの確認。
探索者を続けるかの確認。
続けるならギルマスから依頼があることを伝えた。
全員、ツインヘッドオーガに攻撃が効かなかったこと。
その後は記憶が無いことがわかった。
同じタイミングで攻撃を受けたらしいことだけはわかった。
「俺たち、うぬぼれてたのかもな」
俺は死にそうになって、初めてそう思った。
「ここ何年かは、ずっとトップパーティと言われてたからな」
憲司(けんじ) が肯定する。
「宵越しの金は持たねぇ!とか言ってないで、
魔力の実で魔力総量を上げとけばよかったよな」
泰史(やすふみ) が頭を抱えている。
「スキルポイントも、増やす方法を模索するべきだったよな」
和彰(かずあき) が後悔を口にする。
「使って無くなったポイントをそのままにしちまったもんな」
湊人(みなと) が呟く。
「だよな。どうする?辞めるか?1からやり直すか?」
俺はやり直したいと思うけど。
みんなはどうだ?
俺がここで先にやり直したいと言うのは、
強制になりそうだから、言わない。言えない。
「俺は、続けたい。こんな後悔だらけのまま終わらせたくない」
「俺も憲司の意見に賛成。逃げるのは嫌だ」
「僕も賛成。もっとちゃんと考えてやろうよ」
「俺もこんな気持ちのまま辞めたくない」
「わかった。今度は魔力も上げて、スキルも考えて、1からやろう」
「「「「おう!」」」」
「ジョーカー再出発だ!」
「とりあえずエリクサー代を稼がないとダメだしな」
「今言わなくてよかったんじゃないか?せっかく上手くまとめたのに」
「 航(わたる) がいい感じでまとめるとか、なぁ?」
「だなぁ」
って、おまえらひどいな。
翌日、ギルマスの依頼を受けた俺たちは、依頼内容にフリーズした。
〔今ある5の倍数の階層以外の各階層に隠し部屋があり、
その部屋に転移装置が存在することを調査、確認してくれ〕
と言うものだった。
マジかよ!?
あーーーーーーーーーっ!?
だから理外の剣は俺たちを連れて帰って来れたのか!?
27階層から直接!?
そういうことなのか!?
2階層にもあることは、
神凪から伝えられているらしいから、
そこに本当に存在するか、俺たちに確認しろと?
なるほど。
隠し部屋ね。
そんなの探したこともねぇよな。
わかったよ。
俺たちで探すよ。
えっ!?とりあえずあと5日で探せ!?
探せなかったら、ギルドが神凪から隠し部屋の位置情報を買い取る?
マジか。
やるだけやってみるしかねぇか。
その前に理外の剣に挨拶に行くべきだな。