軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

僕はだれ?〜西天

知らない天井だ。

目を開けたら、自分の部屋じゃないことだけは確かだ。

だって天井が高い。

自分の部屋は2段ベッドだから、起き上がれば手が届く。

ここは、どう考えても手が届くとは思えない。

僕はどうして寝ていたんだろう?

いつからかずっと記憶がぼんやりしている。

「あっ、目が覚めた?」

見たことのない女の人が、声をかけてきた。

「あの?ここは…どこですか?」

「んー?神凪の寮の空き部屋だよ。キミ学校で倒れたの覚えてる?」

そう言われて、うっすら思い出した。

「なんとなく…?」

「そっか、とりあえず身体の調子見させてね。大丈夫だったら色々説明するから」

その人はそう言って、僕に手をかざして何かをした。

「身体は大丈夫そうだね。ちょっと待ってね」

そう言いながら、部屋のドアを開けて誰かを呼んだ。

「 笑理(えみり) ねーさん、お願い」

また違う女の人がきて、僕を見てる。

なんだろう?

何かを確かめるように頷いてから、ドアの外の人を呼んだ。

何人かが入って来た。

その中に、 神凪(かんなぎ) さんと 海棠(かいどう) くんもいた。

そうだ、神凪さんたちと話してたんだ。

何を話してたんだっけ?

そこまで考えていたら、男の人が話し始めた。

「キミがなんでここにいるのかとか説明するけど、大丈夫か?俺は 理織(りおり) の伯父だ」

「はい」

わからないことだらけだから、説明してもらえるのはありがたいよね。

「まずキミの名前を教えてくれるか?」

「 服部(はっとり) 西天(さいてん) です」

「では、西天。倒れた時のこと覚えてるか?」

いきなり名前呼び捨てなんだ?

別にいいけど。

「海棠くんと話してたのは覚えてます」

「内容は?」

内容…?何を話してた?

「…わかりません」

「まず、西天は父親に言われて転校してきた。合ってるか?」

「はい」

「その父親に児童養護施設に置いていかれた。合ってるか?」

「児童養護施設…?」

児童養護施設って?

「西天は4月から児童養護施設で生活しているぞ?」

何を言ってるんだろう?

「わかりません、お父さんと暮らしてた記憶しかありません」

「母親は?」

「去年、病気で亡くなりました」

「記憶に色々と齟齬があるな。西天の母親はお前を産んだ時に亡くなっている」

えっ!?そんなわけない。

ずっと一緒にいた。

「母親の名前はわかるか?」

「服部…あれ?お母さんの名前?あれ?」

「父親の名前はわかるか?」

「 服部(はっとり) 恭牙(きょうが) 」

「そっちは出てくるか」

あれ?なんでお母さんの名前わからないんだろう?

どうして?

「とりあえず、倒れた時のことを確認してくれ」

その人はそう言って、映像を見せて来た。

僕と神凪さん、海棠くんとのやりとりだった。

それを見ても、全然覚えてない。

むしろ疑問が増えたんだけど?

「僕にお兄さんとお姉さんがいるんですか!?」

「は?服部が会わせてくれって言ってきたんだぞ?」

海棠くんにそう言われても、映像で確かに僕がそう口にしてたけど、僕にはわからない。

「全然わからない」

僕は横に頭を振るしか出来なった。

「かなり記憶があやしいな」

そう言われても、僕の方が何が何だかわからないんだけど。

神凪さんが、2番目にきた女の人に何か話してる。

その人の口が、ホントに?そう動いた気がする。

その人が僕を見た。

なんかちょっと目が光った。

えっ?怖いんだけど、何?

普通に戻ったと思ったら、すごいびっくりした顔をして、何かを神凪さんのおじさんに見せてる?

「マジかっ!」

神凪さんのおじさんが、うなっている。

なんだろう?

「おまえ、かなりまずいな」

えっ?何がまずいんだろう?

「よく、聞け。お前の本当の名前は 若山(わかやま) 洋太(ようた) だ。服部西天と言う人間は存在していない」

はっ?何を言ってる…の?

僕ここにいるよ?

「お前は、服部恭牙と言う男が都合のいいように動かすために服部西天と言う人格を無理矢理上書きされた、若山洋太と言う人間だ」

「若山洋太?」

そうきいて、懐かしく思うのはなぜ?

しっくりくる気がするのはなぜ?

「お前の母親の名前は若山さとこ、父親の名前は若山 康太(こうた) だ。母親はお前を産んで亡くなっている。父親は交通事故で去年亡くなっている」

「じゃあ、僕を児童養護施設に置いて行ったと言う人は、お父さんじゃない?」

「そうだ、赤の他人だ」

そんな…そんなのってひどいよ。

ボロボロと涙がこぼれてとまらない。

「僕は、だれ、なの?」

身体が熱い。

頭が痛い。

身体から何かが膨れ上がって、破裂そうな気がする。

何これ?

「魔力暴走起こすぞ、理織眠らせろ」

そんな声が聞こえて、僕の意識はここで途切れた。