軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

天使かな?〜秋

去年、探索者だった父さんと母さんがダンジョンから帰ってこなかった。

ずっと父さんたちには、言われていた。

探索者は危険な仕事であることも、もしかしたら命を落とす可能性があることも、聞かされてはいた。

けれど、本当に帰ってこなくなるなんて思ってもみなかった。

その時、今まで考えたこともなかったけど、あー神様っていないんだなって、思った。

父さんたちとパーティを組んでいた人に、自分たちを逃すために、怪我で逃げ切ることができそうにない父さんたちが最後まで戦って逃してくれたと聞かされた。

助けられなくてすまなかった、と帰って行った。

そうか、って思った。

父さんと母さんはダンジョンに負けたのかって。

それなら仕方ないって、俺がいつかダンジョンに勝ってやるって思った。

父さんたちのパーティメンバーの人に、父さんたちの話を聞かせてくれたお礼を言ってないことに気づいて、俺は後を追った。

そこで、ゲラゲラ笑いながらクソみたいな会話をしているのを聞いてしまった。

さっきの話はウソなこと。

自分たちが生きるために、父さんたちに怪我をさせ囮にしたこと。

あっさり自分たちの説明を信じた俺を馬鹿にしてること。

俺の日常がアイツらに壊されたことを知った。

目の前が真っ赤になった。

これはなんだ?

怒り、なのか?

でも…

なんの力もない今の俺では、アイツらには敵わないこともわかっている。

悔しいけど、わかっている。

いずれカタキはとってやる。

今は、ちからをつけよう。

俺はアイツらに背を向けて、家へと戻った。

俺は親戚と言う人達に会ったことがなかった。

そんな人がいるのかもわからない。

たった1人では生活できるはずもなく、児童養護施設というところに入った。

同じように探索者の親を亡くした子達がたくさんいた。

5歳の時にダンジョンに入り、職業とギフトをもらった。

それから毎日、魔力を増やすために魔力循環をして、寝る前に枯渇させて、地道に魔力を増やしてきたんだ。

父さんたちが生きていれば、今年から私立の魔法の授業がある小学校に通う予定だった。

父さんたちがいなければそれも無理なわけで。

施設から1番近い公立の小学校に入学した。

公立の小学校には、魔法の授業がない。

父さんたちからは、まだ魔力循環しか教えてもらってなかった。

学校へ行って、教室に入ったら天使がいた。

見た瞬間に、あっ天使がいるって思った。

すっごく可愛い子だったし、それになによりその子はキラキラしていたんだ。

俺の目がおかしいのかなって、こすってみたり、瞬きしてみたけどずっとキラキラしてたんだ。

他の人はそんなことなかったから。

やっぱり天使かな?

いや、絶対に天使だと思う。

でもそう思ってるの俺だけ?

誰も天使を気にしていないみたいだ。

俺だけがキラキラ見えてるのか?

俺だけに天使が見えてるのかも?

神様はいないと思ったけど、天使はいるんだよ。

微笑んでる天使を見てたら、なんか俺の中のドス黒い感情が、薄くなった気がした。

まさか、天使じゃなくてクラスメイトだとは思わなかったよな。

しかも今は色々あって、7歳にして婚約者になった。

のちに大人になってからこの話をしたら、リオリには魔力が見えてただけじゃないの?って冷静につっこまれた。

えーそうかなー?

それだけじゃないと思うんだけど。

でも、それでも今があるのはあの時のおかげだと思ってる。

俺にとっては、リオリだけがいつまでも天使だしな。