軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43:慈悲はない

「陛下、直接のお声かけをお許しいただけますでしょうか?」

国王陛下にお伺いを立てると、「よい。許す」と許可をくださいました。

「本日こちらに呼び出した理由は、エド――エドヴァルド様ではなく、私にあるのですね?」

「うむ。騎士団に申し入れがあってね。君の両親からは娘が平民に攫われた。君の元結婚相手からは、君が家財を盗んだから取り戻しに行ったのであって、決してエドヴァルドに危害を加えるつもりではなかった、とね」

「は?」

「エド……大丈夫です」

いまにも怒り出しそうなエドの手をそっと握り、自分で対処すると目で伝えました。

「この度は、すっかり忘れていた存在とはいえ、一時は家族として過ごしていたそちらの方々が大変ご迷惑をおかけしました」

しっかりと腰を落とし陛下に向けてカーテシーをしました。

「つまり、君にとっては他人と同程度だったと?」

「はい。血の繋がりがなくとも夫婦が家族になれるように、血の繋がりがあろうとも他人である方もいますから」

「なるほど。それを聞いて安心したよ。では、侯爵家と伯爵家はともに取り潰しでいいだろう」

「あら、私はただ可愛い娘の嫁入り先を探してあげていただけじゃないの。そこの侯爵に騙されただけよ」

義母が陛下には発言の許可も求めずに話し出しました。その瞬間、謁見室内に肌を刺すようなビリビリとした空気が充満しました。

後で聞いたのですが、騎士や隠れて待機していた暗部の方々の殺気だったそうです。

妙な寒気を感じて、無意識に腕を擦っていましたら、国王陛下が右手を顔の横にスッと上げ、手を払う仕草をされました。

それと同時にビリビリとした空気も消えました。

何だったのでしょうか?

「ハァーッ」

謁見室内に大きく長い溜め息が響きました。

そんなことが許されるのは国王陛下のみ。そして溜め息の主も国王陛下なのですが、それはなぜなのか。

「ブリアナは頭が悪いからなぁ。アホにも分かるように説明すると、お前のやったことは人身売買だよ。重罪人を出した家系は取り潰し。理解できたかな?」

にっこりと笑う国王陛下から醸し出される、口答えが一切できない空気に身震いがしました。

女性には奔放な印象が強いのですが、政に関しては賢王と名高く、こういった処分には一切の慈悲も見せない方。

ただ、国王陛下の従姉妹だと身分をひけらかしていた義母には、それが通じないというか理解できないというか……。

義母が何やら罵詈雑言を叫び出したところで、騎士様のひとりが剣を抜き、物理的にと言えばいいのでしょうか? 人生ごと黙らせてしまいました。

「「ヒィィィィ!」」

真横でそれを見ていた元夫の人と知らない女の人が腰を抜かし、床に尻もちをついたようでした。

お父様は、義母の亡骸を抱きながら、慟哭しているとのことです。

見たいと言ったのですが、義母が斬られた瞬間にエドが私の目を覆ってしまって、何も見ることが出来ません。

「うん。臭いし醜いよ?」

――――臭い?