作品タイトル不明
30:勝負服の防御力……?
サブリナ様とデートのときに着る服を買いに来たのですが、選ぼうとしたものをことごとく却下されてしまいました。
「もうっ、なんでそんなに防御力の高いものを選ぶのですかっ!」
普通のロングフレアスカートなのに、なにがいけないのでしょうか。説明を聞いても、いまいち理解が追いつきませんでした。
「何度も言いますが、勝負服とは防御力を捨て、攻撃特化のものなのです!」
「勝負服、ですか」
「まず、ブラウスはこれ」
フリル多めで、長袖なのに肩がなぜかぱっくりと開いている、薄ピンクのブラウスを渡されました。しげしげと眺めていると、次にスカートは濃紺のハイウエストで、胸下から腰回りまでは後ろでコルセットのように絞るタイプ。裾は前は膝丈、後ろは足首までと前後で長さが違いました。
「ひ、ひざっ、ひざが……」
「去年から膝出しのスカート流行っていますわよ?」
「そ、そうなんですか?」
辺りを見回しつつ、今まですれ違った人々を思い出しました。
そう言われれば、確かに数人は短めのスカートを穿いていたような?
「そう!」
自信満々に言われてしまうと、そういうものなのかも?と思えてきます。
「貴族向けのドレスでも、今度作ろうと思ってるんだけど、いい意味でも悪い意味でもお堅いから、なかなか着てくれる人がいないのですよねぇ」
サブリナ様がなにか言いたそうにチラチラとこちらを見つめてこられています。
私、察しがいいと定評がありますので、視線の意味は直ぐに理解できました。
「ぜひ、ご協力させてください」
「っ! 本当!?」
「はい! サブリナ様が目指されるドレスに見合うレース編みはお任せください!」
「……………………えー、あー、うん。お願いね」
明らかにしょんぼりしたお顔と、ワントーン低い声で「とりあえず、これ買いましょ」とスカートとブラウスを持ってお会計に向かわれました。
機嫌を損ねてしまったようで、どうしたのかと聞いたのですが、サブリナ様は力なく微笑んで気にしないでというばかりです。
原因が分からないと謝ることもできなくて、途方に暮れそうになっていました。
「ごめんね。いつも怒られているのに、ついつい興奮して暴走しちゃうのよね。気にしないでちょうだい、今はただ賢者タイムなだけだから」
――――賢者タイム?
よく分からない言葉が出てきましたが、とにかくちょっと冷静になっているだけなのだとか。ホッとしていました、今度は下着屋に行くわよと言われました。
「下着は沢山あるので……キャッ!?」
急に着ていたワンピースの胸元をぐいっと引っ張って覗き込まれてしまいました。
「あら、手作りね。却下よ!」
そうしてグイグイ引っ張られて向かった下着屋で、またもや防御力はどこに置いてきたのか聞きたいくらいの下着を選ばれてしまいました。
下着こそ防御力必須だと思うのですが、サブリナ様いわく下着こそ防御力を捨て、攻撃特化すべきなのだとか。
正直、よくわからないので、サブリナ様にお任せすることにしました。