軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39.政略結婚の真相

「姉さまは母さまとミッチェ、どっちが好き?」

「コニー。人を比べるのはよくないってミッチェに言われたでしょう?」

「う~ん、そうだよ?でもね、ど~っちだ!ってなったら?どっちえらぶ?」

「……そうなると思う?」

「えー?分かんない」

「……そうよね」

「でもねえ。母さまの一番ぼくじゃないよ」

「……どうして……そう、思うの?」

「母さま、ぼく、みないもん」

「そう、かな」

「そだよ?ばしゃでね、ずっといっしょだったよ?でもねぇ、母さまはちがうとこみてた。ぼくじゃないの。

だからねえ、母さまの一番ちがうのよ。

ぼく、わかったの。えらい?ちゃ~んとね、ちがうのよ。

ミッチェはね、ぜったいにぼくと姉さまを見てくれるもん」

「……ミッチェは私達が大好きだものね」

「ねー!だいすきなのよ」

◇◇◇

叫びたい気分です。子ども達にあんなことを言わせてしまうなんて。

「ミッシェル様にどうこうできる問題ではありませんよ」

「……分かっています」

「日常生活をおくれるようになって三ヶ月。一度も手紙すらなかった。それが答えでしょう」

「ノーラン。泣きそうだから止めて」

「本当に子ども達が弱点ですね。でも、旦那様との話し合いの前に分かってよかったでしょう?

子どもは敏い生き物ですよ。言い訳や演技なんかで騙されません。幼い子どもほど、本能で安全を選び取る」

「……だから馬鹿なのですよ。どんな理由があっても子ども達と離れるなんてことをしなければよかったのに」

私にはどうしても分かりません。ダイアナ様はなぜ、駆け落ちしなくてはいけなかったのでしょう。

「落ち着いてください。まずは、一つ一つ片付けましょう。まずは旦那様です」

「……分かっています」

それでも。一人でさっきの子ども達の話を聞かなくて良かったと思いました。私一人だけだったら、思わず部屋に飛び込んでしまったでしょう。そうしたらきっと、お二人のことを傷付けていました。だってあれは、私には絶対に知られたくない内緒話だったはずですから。

「私を止めてくれてありがとう」

「側に置いておくと役に立つでしょう?」

「……ちゃんと、旦那様との話し合いにはついて来てもらいますから」

何でしょう。このムズムズする感じは。

私は守る側であって、守られる側ではないはずですのに。兄とは人を駄目にするものなのかもしれません。

話し合いは執務室を選びました。

使用人には知られたくないですし、でも、あんなことのあった旦那様のお部屋にも行きたくありません。

「旦那様、お時間をくださりありがとうございます」

「……いや。……今日は、その……私が君を傷付けた話だろうか」

「はい?」

「私が加害者だと言っていただろう。……教えてくれないか。私が君に何をしてしまったのか」

あら?そんな話しがしたかったのでしたっけ?

私はダイアナ様の話をしに……ああ、でも。私達には本当に会話が少なくて。

これはいい機会なのかもしれません。

「そうですね。私達はお互いの事について話し合ったことがありませんもの」

何から話せばいいのかしら。置いて行かれて寂しかったこと?ダイアナ様を見つけた途端、私を蔑ろにしたこと?それとも───

「……旦那様は、どうして私を妻に選んだのですか」

そうね。本当の始まりからお話をしましょうか。

「どうして、とは」

「この伯爵家に嫁ぎたい女性など、ほかにもいたはずです。ミューア伯爵家はとても裕福ですもの。たとえ再婚であっても 貴方の妻(伯爵夫人) になりたいと願う方はいらっしゃったのではありませんか?」

旦那様のお顔は少し怖いですが不細工ではありませんし、まあ、無口ですがお金が大好きな方ならその程度のことはものともしないはずです。

「…………ねっとりした人が多くて」

「ねっとり」

「自分に子供が出来たら、どちらが爵位を継ぐのかという質問だとか」

「ああ、そういう……」

では、最初は白い結婚を求めてはいなかったのですね。そういう質問が多いから、項目に入れたのかしら。

「今、乳母は何人いるのか、二人を寄宿学校に行かせるのはどうかとか……」

前妻の子供の世話はしたくない。ついでに見たくもないから寄宿学校に入れろと言うのですか。

「……気持ち悪くて無理だった」

「ご愁傷様です」

「だが、子供に母親は必要だろう。二人はどんどん笑わなくなったし」

「ご自分が代わりにとは思わなかったのですか?」

「…………私の顔は怖いと」

「はい?」

「…………………大泣きされた」

ああ。それは、たまにしか会わない大きくて厳つい顔の見慣れない男性にギャン泣きしたということですか。

「幼い頃からもっと交流を持たなかった旦那様の失策でしたね。子供は見慣れないものには泣くものです。防衛本能ですからね?旦那様だから泣いたわけではありませんよ」

「…………会いに行くといつも寝ていた」

「行く時間が遅いからですよ」

「子供は良く寝るものだから仕方がないと」

……夜遅いから、では無く、いつでも寝てると思っていたのですか?

「昼間も寝ていた」

「それはお昼寝です。タイミングが悪かったみたいですね」

運が悪い人の見本みたいです。

「分かりました。とにかく、ご自分では無理。嫁ぎたいと言ってくる女性は強欲だったということですね」

「……だから、子供の世話が好きな女性はいないかと思って……知り合いにも探すのを頼んだ」

意外とまともに子供の為の母親を探していたのですね。

「それで……君の話を聞いた。母親の代わりに弟を大切に育てている健気な女性だと」

「……はい?」

健気?何?私が?

「両親に恵まれなくて、金銭面で苦労しているのも聞いた。だから、もしかして嫌がらずに話を受けてくれるのではないかと……その、弟君も学園に通えるようになれば、少しでも喜んでくれるかと思って」

「……よろこぶ……」

「大切な弟君なのだろう?」

「はい……とっても」

ちょっと待って。何かがおかしくないですか?