軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

970 対巨人型

ウルシに跨ったフランが、巨人型の投擲する瓦礫を次々と収納して無効化していく。

「黒雷姫殿が引きつけている間に、回り込みます! 全員駆け足!」

「「「はっ!」」」

「「「おう!」」」

ハガネ将国の指揮官であるシキミの声に、その配下の老兵たちだけではなく、他国の兵士や冒険者たちも従った。

大国の将ということもあるのだろう。だがそれだけではなく、従わざるを得ないような存在感があった。指揮系スキルの効果かもしれない。

ともかく、部隊の指揮は彼女に任せておけば問題なさそうだった。

『ウルシ。巨人型がイラついて、直接ぶんなぐってやろうと動き出すくらいの位置をキープだ』

「オ、オン?」

『あまり近寄り過ぎるなってことだ』

「オン!」

『フラン、俺たちは魔術で適当に挑発するぞ』

「ん!」

閃光や爆炎系の、見た目だけ派手な呪文を顔中心に放つ。ダメージはほぼなかった。

元々高い防御力があるうえ、魔力吸収効果によって魔術の威力が大幅に減衰してしまうのだ。そして、奴に当たる頃には魔力障壁で簡単に防げる威力へと弱体化している。

挑発目的だからそれでもいいんだが、ちゃんとした攻撃をする時には気を付けなければならないだろう。

「ルゥオォォォオオオ!」

「むっ!」

『ちっ! ただの木偶の坊じゃねーのか!』

俺たちが瓦礫を収納するのをしっかりと観察していた巨人型は、攻め方を突如として変えていた。

大きな瓦礫ではなく、小さな岩をいくつも握り込み、散弾のように投げつけてきたのだ。小さいと言っても、それぞれが1メートル以上ある。

直撃すれば、今のフランであっても危険だろう。

回避するだけなら簡単だが、この岩の散弾を無視すると第二部隊に被害が出るかもしれない。巨人型はそれも狙った角度で、岩を投げつけていた。

かなり頭がいい証拠だろう。デカくて知能も高くて防御力も再生力もある。特殊な能力よりも、素の性能で手に負えないタイプなのだ。過去の敵の中では、ミドガルズオルムに似ているかもしれない。まあ。あっちはかなり馬鹿だったけどな。

しかも、まだどんな隠し玉があるかも分からない。

『岩は俺が念動と風魔術で叩き落す。フランは近くのを収納だ!』

「ん!」

巨人型が瓦礫を投げ、俺たちが防ぐということを5回ほど繰り返しただろうか? 兵士たちの放つ魔術と矢の弾幕も、かなり激しくなってきた。

やはり、ダメージがなくとも顔を狙われるのは嫌なようだ。遠距離攻撃を手で振り払うような動作が増えてきた。

そして、ついに巨人型が業を煮やしたらしい。

「ルウァァ!」

『よし! デカブツの足が動いたぞ! そのまま壁の外まで誘導する! ウルシ、この距離を保てるか?』

「オン!」

俺たち、そしてその背後にいる兵士たち目がけて、その巨体が動き出していた。瓦礫や家屋を破壊しながら、一歩一歩着実に迫ってくる。

ゆっくりに見えるが、200メートル級の奴のサイズだったら、一歩が50メートルを超えているのである。

あっという間に城壁へと達していた。鈍い音とともに、その巨体が城壁にぶつかる。足は意外と高く上がらないらしく、城壁にひっかかってしまったらしい。

「ルァァオォォ!」

「のろま、こっち!」

「ルァァ!」

「オフー」

フランとウルシがことさら余裕そうな態度で、巨人型の顔の前で飛び回る。すると、怒りの咆哮を上げた巨人型が、城壁を破壊しながら今まで以上の速度で突進してきた。

手を伸ばしてつかみかかろうとしてくるが、ギリギリ届かない距離をウルシが上手に維持している。

それに苛立った巨人型が、さらに前に出た。

ドスンドスンどころか、ドガンドガンという凄まじい足音を響かせながら、なんとかフランを捕らえようと必死だ。

その意識は、完全に上に向いていた。

明らかに強力な魔力を放つフランと、数はいても1人1人の強さはさほどでもない第二部隊。抗魔としては、まずはフランを食らって糧としたいようだ。

どこまでも追ってくる。

知能が高いと思ったが、思ったほどじゃないかもしれない。明らかにつり出されていることに気が付かないのだ。それとも、俺たちみたいな小さい相手に倒されるわけがないと、高をくくっているのかね?

ともかく、その行動がお前の敗因だ。

『グレイト・ウォール!』

大地魔術によって生み出された壁に足を引っかけ、体勢を崩す巨人型。手で宙を掴むような動作をしながら、無様に倒れ込んでいった。

ズゴオォォォン!

一瞬、兵士たちの体が浮くほどの衝撃が大地を揺らす。普通にコケただけではあるが、その重量のせいでかなりの自爆ダメージがあったらしい。

ただ、壁を生み出したのは俺だけではない。大地魔術を放ったのは、指揮官のシキミもであった。

彼女は大地魔術の使い手だったらしい。

上手く幅などを調整して、巨人型を転ばせるために絶妙なサイズで作りだしている。その制御力は相当なものだろう。

神剣使いの上司である以上、彼女たちもまた凄まじい使い手なのであった。

『よし! 今のうちに攻撃を仕掛けるぞ!』

「ん!」

「オン!」