軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

951 神剣たち

銀の女から神剣の話を聞いているフラン。

アルファ、ベルセルク、イグニス、ガイア、クリスタロス、テンペストの次に名前が挙がったのは、戦騎剣・チャリオットであった。

これに関しては、ほんのわずかに情報を持っている。指揮杖の形をしており、様々な金属ゴーレムを大量に召喚して操ることができるらしい。

「私が最後にチャリオットを観測したのは、およそ五千年ほど前となります。その時には、大隊という異名を持った冒険者が使用しておりました」

「大隊! 聞いたことある! 最年少でランクSになった冒険者!」

確か10歳でランクA。14歳でランクSになったとかいう、大昔の冒険者だったはずだ。さすがフラン。強者の名前は憶えていたか。

神剣の所持者だったとは……。つまり、大隊っていう異名は、ゴーレム兵団を率いることからつけられたのかね?

「私が知る限り、12種類のゴーレムを操り、1人で抗魔を蹴散らしていました」

銀色に輝くゴーレムが、光線や金属の弾丸を放つ姿は、まさに最強の軍団と呼ばれるに相応しい威容だったという。

というか、完全にロボット兵団だよな? チャリオットだけファンタジーじゃなくて、SFをやっているとしか思えん。

「噂では、カプル大陸で消息を絶ったということですね」

こちらも制限は分からないらしい。ただ、食事をした形跡が見当たらなかったことから、肉体が何らかの変異を起こしていた可能性があるそうだ。

使うと、体が人間じゃなくなるとか? オーバーグロウスと似た代償なのかもしれない。

「代償の重さということでは、金竜剣・エルドラドが非常に重い代償が必要でしたね」

「エルドラド……。確か、もう破壊されてる神剣」

「そうなのですね。外の情報には疎いもので。エルドラドは、金色の騎士槍の形をした神剣でした。その能力は光竜を召喚し、使役すること。一たび顕現すれば大地を黄金色に染める、巨大な光の竜でした」

リンドヴルムの親戚みたいな能力だな。リンドは火竜で、エルドラドは光竜という違いだ。

「代償は、使用者の寿命。使えば使うほど老化し、エルドラドの使用者は非常に早死にだったと記憶しています」

『うわぁ。そりゃあ、確かに重すぎる代償だ』

レベル以上に重い代償が存在したか。だが、それでも神剣は神剣だ。使おうという者はごまんといたらしい。

それ故、この大陸にあった間は、10人以上の代替わりをしていたそうだ。使用者制限は剣との相性だったらしいが、竜人が多いこの大陸であれば、使用できる者は多かったらしい。

その後、この大陸の外に流出し、そこで破壊されたということなんだろう。

「……リンドヴルムも、寿命が代償?」

「リンドヴルム……。センディア防衛戦で使用された神剣ですね」

やはりあの戦いも観測していたらしい。すぐに、その情報を口にした。

「ん。友達が使ってる」

メアの場合、ソフィによって神剣開放に至ったが、今はまた使えなくなっている。またしばらくは開放されないだろう。そのため、フランはメアの代償に関してはあまりに気にしてはいないようだったが、寿命が縮んでいる可能性があると聞いて急に心配になったのだろう。

「リンドヴルムの情報を持たないので、正確なことは分かりません。その神剣の作者は分かりますか?」

「えーっと……?」

『確か、ファーゴっていう神級鍛冶師だ』

ルミナに見せてもらった一覧に、そう記されていたはずである。

「そうですか。エルドラドの作者は、ウルマーです。代償は作者によってかなり違うようですので、リンドヴルムの代償が寿命ということはないかと思われます」

「よかった」

フランがホッと胸を撫で下ろす。だが、エルドラドの作者がウルマーってことは、ガイアやイグニスの代償が寿命ということはあり得るんじゃないか?

いや、イザリオが使用後に老けた様子はなかったし、アースラースだって相当長い間ガイアを使っているはずだ。それはないか。

鬼族の寿命がどれくらいか分からないため、正確には分からないけどさ。それに、寿命が代償だった場合、アースラースならわざと使いまくって自殺しているはずだ。ならば、代償はレベルってことなのだろう。

残るは二振り。聖域剣・サンクチュアリ、英知剣・ウィズダムだ。

「この2本は、つい最近に観測されたものとなりますね」

「最近? じゃあ、今もこの大陸にある?」

「残念ながら、既に姿を消しております。サンクチュアリが70年ほど前。ウィズダムが20年ほど前でしょうか」

数千年稼働し続けるゴーレムにとって、100年くらいは最近扱いらしい。

「サンクチュアリは珍しい、防具型の神剣でした。本体が青と白のカイトシールド。同時に鎧も生み出されるようです。能力は、聖域の創造。この聖域内では自分や仲間が超強化され、敵は弱体化するというものでした。他にも、盾王術の付与などの効果もあったと思われます。イルジスティアという国の騎士団長が使っていました」

聞いたことがない国だ。まあ、この世界にはたくさんの大陸と国があるのだ。知らない国は当然多いだろう。

「代償は?」

「この神剣の代償は、この後語るウィズダムと同じで、少々特殊な形です。作者が同じ神級鍛冶師なのでしょう」

「どんな代償?」

「代償と言っていいのか分かりませんが、戦闘相手によってその能力が上下するのです」

サンクチュアリとウィズダムは、相手の邪気の強さによって、能力が変化するように設定されているという。この神剣の製作者は、対邪神用の兵器であるという部分を重要視していたのかもしれない。

邪神相手なら最大戦力。邪人であれば10分の1程度。それ以外の人間や魔獣相手では、少し強い魔道具程度の力しか発揮しないそうだ。邪気を内包する抗魔相手なら、少しはマシなのかもしれない。

残る英知剣・ウィズダムの能力は、やはり少し特殊な物だった。開放後の形状は、宙に浮かぶ複数のオーブ。そして、開放時にはありとあらゆる魔術を使用可能となり、魔力上昇に思考加速、魔術の同時使用などが可能となる。

神剣自体に攻撃力はなく、使用者の腕前で強くも弱くもなる神剣だった。相手の弱点を見抜き、瞬時に魔術を行使できるような魔術師が使えば、無類の強さを発揮するだろう。

ただ、この大陸で本領が発揮されたことはないらしいので、その本当の力は銀の女でも見たことはないそうだ。

ウィズダムもサンクチュアリと同じで、癒しや防御にも使えるタイプの神剣だ。やっぱり、同じ作者なんだろうな。