軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

899 水晶のある部屋

俺たちは、発見した地下道を、ドルーレイたちを引き連れて進んでいく。

先頭は、相変わらず地面をクンクンしているウルシだ。まだ臭いの相手は遠いらしい。

そうして、蛇行する地下道を数百メートルほど進んだ頃であった。

不意にウルシが足を止める。

『どうした?』

(オン!)

ウルシが突如その気配を消すと、忍び足で歩き出す。どうやら目の前にある曲がり角の先に、何かがあるようだ。

皆の緊張が一気に高まり、全員が息を殺す。

そのままウルシとフランが曲がり角から首だけ出して様子をうかがうと、地下道の先から微かに明かりが差しているのが分かった。

この先にある曲がり角の向こうに、何らかの光源があるらしい。青紫の光が、壁や天井を微かに照らしている。

「ん」

フランが後ろの者たちに向かって、人差し指を口の前に立てるシーッのポーズをした。ドルーレイたちにも意図は伝わったのか、全員がコクコクと頷く。

付いてきているのは兎獣人のドルーレイに、3人の部下。冒険者と竜人の代表格とその部下2人ずつの、計10人だ。

それぞれがそれなりに実力があるため、問題なく隠密行動ができる。

そのままゆっくりと進むこと数分。

一行は、問題の曲がり角の目の前までやってきた。

今度も、フランとウルシ、俺が角の向こうを覗き込んだのだが……。

『おいおい。どういうことだ? あれは魔水晶か何かだろ? 結構な量があるぞ』

(魔力感じない)

(オン)

角の先には、それなりに広いホールのような部屋が見えている。その中に、青紫の光の大元であると思われる、光る水晶がいくつも置かれていた。

一抱えもある魔水晶なんて、そこそこの魔力を発していないとおかしいだろう。だが、俺もフランもウルシも、その魔力を感じることができていない。

(……多分、結界魔石)

『そういうことか。入り口だけじゃなくてこっちにも結界魔石を仕掛けてるなんて、随分厳重じゃないか』

セリアドットは竜人の仲間だったのか? それとも、フィルリアが竜人と繋がっていて、結界魔石だけを流した?

『人影は見えるか?』

(わかんない)

少なくとも、この位置から人影を確認することはできない。鷹の目と遠視を併用して奥を覗こうとしてみたが、結界魔石に阻まれて見通すことはできなかった。

誰かいるのかいないのか。

『ウルシ、臭いはどうだ?』

(クゥン)

結界魔石のせいで、臭いもここで途切れてしまっているらしい。

『踏み込むしかないか。明らかに怪しい場所だ、気を抜くなよ』

「ん」

「オフ」

結界を解くかどうか悩んだが、このまま行くことにした。そのほうが奇襲になると踏んだのである。

フランが俺を鞘から引き抜いて構えたことで、後ろのドルーレイたちもこの先に敵がいる可能性を理解したらしい。

それぞれの武器を構えて、頷き返してきた。戦闘準備完了ってことなのだろう。

そして、フランたちが一気に部屋へと雪崩れ込んだ。

『やっぱいたか!』

通路から死角になる場所に部屋のようなスペースが掘られ、竜人たちが控えていた。休憩中であったらしく、椅子に座ったまま驚いて固まっている。

チャンスだ。チャンスなんだが、フランとウルシ以外のやつらが同じように固まってしまっていた。

部屋に充満する邪気を感じ取ってしまったのだろう。そう、この部屋にはかなり濃密な邪気が渦巻いていたのだ。

青紫の水晶が、邪気を放っているらしい。

だが、今は竜人が先決だ。フランは竜人に対して魔術を繰り出しつつ、鋭い声で男たちを注意する。

「止まらない!」

「あ、おう」

「す、すいません!」

「はい!」

舎弟たちにとって、姐御の一喝は効果抜群であるらしい。即座に動き出した。

それを見た竜人たちも、すぐに迎撃態勢を整える。まあ、すでに俺とフランのスタンボルトによって、5人は倒されているけどね!

ただ、ほとんどの奴らは高い魔術耐性を持つらしく、スタンボルトを食らっても麻痺することはなかった。

「て、敵襲だっ!」

「どうやってここまで!」

「ここを知られたからには、絶対に生きて帰すなっ!」

この場所にいた竜人は全部で25人。冒険者ギルドと獣人会を襲った犯人たちを併せたよりも更に多い。

数人、かなり強い者がいるな。いや、全員それなりの強さがあるが、手に負えないほどではなかった。

一番強い奴がランクB相当。下でランクCってとこかね?

もっと詳細を知ろうと鑑定を使ったが、弾かれる。だが、魔力攪乱をぶつけるとすぐに鑑定が通るようになっていた。

自身が纏っていた結界が消えたことが分かったのか、竜人たちが戸惑っている。その隙をフランが見逃すはずもなく、あっさりぶった切られていた。

首が飛び、血が噴き出す。

(偉そうなやつを数人残せばいい)

『了解だ』

無理に捕らえるには相手の数が多いと判断したのだろう。なら、まずは雑魚を手加減なしで排除してしまおう。