軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

846 ギルドで情報収集

ガズオルから情報を聞き出した翌日。

俺たちは朝早くから冒険者ギルドに向かっていた。情報収集のためだ。

普通の町なら買い食いをするんだが、この町では露店がほぼない。元々食料が貴重なうえ、抗魔の季節ということで備蓄を優先しているようだ。

そのため、フランは手持無沙汰でブラブラと歩いている。さすがに、ここで次元収納の中の串焼きを取り出すほど、空気が読めないわけではなかった。

いや、俺が止めたんだけどさ。

「青猫族いない」

『大通りだからな』

この都市で数日過ごして分かったが、やはり一般市民とアウトローの縄張りがはっきりと分かれているようだった。

大通りや住宅街にアウトローたちは立ち入らず、入った場合は大人しくする。あと、冒険者ギルドの影響が強い場所も、アウトローは近づかないらしい。

フランが泊まっている宿屋も冒険者御用達なので、安全であるようだった。

治安が悪くなり過ぎれば外部から人が入ってこなくなるし、物資などの輸入も滞る。アウトローたちもその辺は弁えているのだろう。

安全な大通りを通り、冒険者ギルドにたどり着く。中は、相変わらずのうらぶれた雰囲気である。

フランはカウンターに向かうと、そこにいたプレアールの前に座った。ギルマスのくせに、毎日バーテンやってんのか?

荒くれ者に目を光らせる目的があるのかもしれないが、仕事は大丈夫なのだろうか?

「ジュース」

「安物でいいか?」

「ん」

昨晩、酒場で飲んだものと同じジュースだな。フランが苦い顔でそれを飲んでいると、プレアールが口を開いた。

「聞きたいことがある」

「短い間に、随分と派手に動いているようだな?」

「ん?」

「なんで、そこで疑問顔だっ!」

「聞き込みしてただけ」

こっちからケンカを売ってはいないし、フラン的には本当に分かっていないんだよね。

「何人叩きのめした?」

「ん……? たくさん」

「はぁぁぁ。個人は特定されてねーが、この辺じゃ結構噂になってきてるぜ? 闇奴隷の事を嗅ぎまわっているガキがいるってな」

「ふーん」

「興味ねぇ顔だなっ!」

「そんなことない。闇奴隷商人から接触してきたらラッキー」

「町の中で大暴れしたら、ギルドでは庇えねーぞ?」

つまり、ある程度なら庇うつもりがあるってことか?

「不思議そうな顔だが、今は抗魔の季節だぜ? お前さんクラスの冒険者がいてくれるのは、マジでありがてぇんだ。矢面に立つくらいはするさ。ただ、一般人に被害を出すような真似を仕出かしたら、庇いきれん」

「わかった」

「マジで頼むぞ? いざという時は当てにしてるんだからよ」

「ん。町が襲われたら、戦う」

「その言葉がきけりゃ十分だ。お前さんは、約束を積極的に違えるタイプじゃねーだろうしな」

「悪人との約束以外は守る」

「……言っておくが、俺は善人じゃねーが、悪いことばかりしてるわけじゃねーかんな?」

自分が悪人じゃないとは言わないんだな。まあ、この都市でギルマスをやっている以上、清濁併せ呑む必要があるのだろう。

「青猫族の情報が欲しい」

「冒険者にも何人かいるが、さすがに情報を流すわけにゃいかねーよ。そいつらが闇奴隷商人と繋がっているっていう証拠でもなければな」

フランがランクBの異名持ちとはいえ、他の冒険者の情報を適当に流すことはできないんだろう。ギルドの信用問題に関わるからな。

「むぅ。じゃあ、獣人会の凄腕助っ人の情報は?」

「ちょいと前から話題になってるな。ただ、こっちにも詳しい情報は入ってねぇな。猫系獣人の男女コンビってことは分かっちゃいるが」

「男が青猫族だって聞いた」

「その話は俺も聞いている。少女の方は、常に隠蔽のローブを着ていて種族が分からんそうだ」

獣人会の助っ人の噂はプレアールの耳にも入っていたようだが、ギルドで分かったのは残念ながらそこまでだった。

「どうも、冒険者に意図的に接触してねぇんじゃねーかと思う」

「どうして?」

「有名な冒険者か、賞金首か。どっちかだろうな」

少女の方は明らかに素性を隠しているようだし、身バレを防ぐために冒険者を避けているらしい。

『ますます怪しいな』

「ん。そいつらに会うためにはどこに行けばいい?」

「知ら――いや、待て。こっちで調べてやる」

「いいの?」

「お前さんに勝手に動かれたら、どんな騒ぎになるか……。獣人会の跳ねっ返りどもだって、この町の防衛には必要な戦力だからな」

フランが獣人会と揉めて、相手に被害を与えることを懸念しているらしい。

この町は組織間の微妙なバランスで成り立っているようだし、それを崩したくないのだろう。ただでさえ、竜王会が調子に乗っていて、バランスが崩れかけているのだ。

(どうする?)

『ギルドの情報網を使えるなら、任せた方がいい』

俺たちでは調べられないような情報だって、手に入れてくれるかもしれない。

「ん。任せる」

「おお! そうか! 任せてくれ! 数日はかかるから、その間は大人しくしててくんな」

「……わかった」

フランが出歩けば、その分騒ぎになる確率は上がる。できるだけ、静かにしていてもらいたいのだろう。

「じゃあ、その間は観光する」

「大通りを逸れんなよ? あと、治療院では騒ぎを起こすんじゃないぞ? いや、まじで」

「ん。わかってる」