軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4 スキルと魔石と俺

うーむ。ゴブリンたちの死体が邪魔だな。台座の目の前に倒れていて、台座に刺さったらこいつらを見続けることになる。

俺は念動を使って、死体を引きずりながら、遺跡の外に運んだ。地面に血の跡が残ってしまったが、死体よりはましだ。

そして、死体を埋める穴を掘る。得たばかりの穴掘りスキルが仕事をしてくれるとよいのだが。

うん。掘れるね。細い刀身で、ザクザク掘れる。まるでシャベルでも使っているかのようだ。ただ、穴掘りのおかげなのか、念動が思ったよりも器用なのか、判断できなかった。多分、何かしらの効果があったと思いたいが。

まあ、俺にふさわしい装備者を待つ間の新たな目標として、スキルの収集ができたのは良いことだ。魔剣として、より強くなれるってことだしな。

ということで、俺は早速探索を開始した。念動を使い、遺跡の周りを飛ぶ。魔力が減ってきたら、着地して休む。

ここは平原なので、多少離れても、台座を見失うことがなくて安心だ。

最初に発見したのは、6本脚の小さな鼠だった。

『早速か。鑑定鑑定っと』

種族名:六脚鼠:動物 Lv1

HP:2 MP:0 腕力:1 体力:1 敏捷:10 知力:2 魔力:0 器用:3

スキル

なし

弱い。弱すぎるな。スキルもない。しかし、魔石を吸収できるだけでも良い。現在の魔石値は4/100。あと96集めたら、ランクがアップすると俺は予想していた。俺の成長のために、死んでくれ。

俺は鼠に急降下した。思いのほか簡単に、俺の攻撃は鼠にヒットする。鼠は真っ二つである。

しかし、俺の体は光らない。

『あれ? どうしてだ?』

もう一回、鼠の死骸に刃を突き立てた。だが、光らない。今の攻撃で魔石を吸収出来なかったのか?

俺は原因を探るため、鼠の死体を慎重に切り開いた。結構グロい光景だが、剣の体で助かった。気持ち悪くて吐いたりすることもないしね。少し可哀想かとは思うが、自分で殺しておいて、今更だろう。

その結果、鼠の体内からは、魔石の痕跡が発見できなかった。そして、気づく。この鼠のステータスを確認した時、種族に動物と表記されていた。もしかして、魔獣しか魔石を持っていないのではないだろうか。地球だって、動物にそんなものはないし。

俺はその説の検証のため、鼠殺しの魔剣と化して鼠たちに襲いかかった。結果、3匹倒して、魔石は発見できない。

次に、魔獣を狙う。実は、すでに1匹見つけてあったのだ。最初に殺した鼠の死体を食い漁る、50センチ程の大ムカデだ。

種族名:ジャイアント・センチピード:妖蟲:魔獣 Lv4

HP:18 MP:7 腕力:6 体力:10 敏捷:14 知力:1 魔力:6 器用:2

スキル

振動感知:Lv1、登攀:Lv1、毒の牙

種族は魔獣だ。俺はまず最初に、頭を刺し貫いた。だが、暴れる暴れる。口から黄色い液体を吐き出し、ビタンビタンとのたうち回っている。止めを刺すべく、今度は胴体を切り裂いた。前後に分かれた大ムカデは、それでも蟲特有の生命力を発揮して、蠢いていたが、ほどなくしてその動きを止めていた。

あー、気色悪い。

ただ、倒した甲斐はあった。動きを止めたムカデの心臓付近を再度貫くと、俺の刀身が光ったのだ。やはり、魔獣は魔石を持っているようだった。

ちなみに、得たスキルは振動感知:Lv1と登攀:Lv1、毒の牙だった。俺には牙なんてないが……。セットして使ってみると、魔力が5減り、刀身から微妙に液体が浮き出てきた。多分、毒液だろう。まあ、使用可能ならそれでいい。

次に、登攀をセットし、さらに振動感知をセットしようとしたが、できなかった。

(セットスキルの上限を超えます)

どうやら、得たスキルを全て使えるという訳ではなさそうだ。

ステータス項目の、自己進化〈ランク1・魔石値5/100・メモリ10〉という表記だが、メモリ10というのは、装備できるスキルの数の様だ。確かに、現在は

穴掘り:Lv1、解体:Lv1、警戒:Lv1、剣術:Lv1、棍棒術:Lv1、指揮:Lv1、生存術:Lv1、登攀:Lv1、毒耐性:Lv1、毒の牙

の10スキルがセットされている。試しに、棍棒術を外して、振動感知をセットしてみると、できた。まあ、棍棒術は、一番いらないし、新たなスキルを得るまではこのままでいこう。

明らかに俺に必要なさそうなのは、指揮、生存術、毒耐性、登攀だろう。これに変わるスキルを手に入れたいものだ。

という事で、探索再開です。

次に発見したのは、俺に背を見せて歩く、2つの影だった。蟹股で、二足歩行のチンパンジーのようなシルエットで、緑色の肌の、醜いあいつらだ。

『ゴブリンな。しかも、手になんか持ってるし』

種族名:ゴブリン:邪妖:魔獣 Lv2

HP:14 MP:2 腕力:6 体力:9 敏捷:10 知力:5 魔力:3 器用:6

スキル

棍棒術:Lv1、穴掘り:Lv1

種族名:ゴブリン:邪妖:魔獣 Lv3

HP:16 MP:3 腕力:7 体力:10 敏捷:10 知力:5 魔力:2 器用:7

スキル

投擲:Lv1、狩猟:Lv1

種族名:ポイズンファング・ラット:魔物:魔獣 Lv1

状態:死亡

HP:0 MP:3 腕力:4 体力:7 敏捷:14 知力:1 魔力:4 器用:4

スキル

警戒:Lv1

右のゴブリンの方がレベルが高いせいか、微妙にステータスがいいな。まあ、最初に倒した3匹よりは弱い。どうにかなるだろ。しかも、その手には、奴らの獲物であろう、大きな鼠が握られている。あれもいただきだ。

気づかれないよう、茂みの影を利用して近づく。距離はあと2メートル程。

まずは、レベルが高い方だ。

『ヒャッハー! 魔石よこせぇ!』

うん、本当に血に飢えてるわけじゃないんだよ? ただね、言ってみたくなるっていうか。

ドス

鈍い音と共に、俺がゴブリンの背後から突き刺さる。抵抗は全くない。

刀身が光るのに気付きつつ、俺は即座に体をゴブリンから引き抜く。そして、呆然とするもう1匹に襲い掛かった。

これで2匹。スキルも投擲と、狩猟を問題なく獲得できた。

そして、新しい魔獣だ。ただ、俺は、おかしな点に首を傾げた。いや、首はないけどね。どう考えてもおかしい。

『ポイズンファング・ラット? なのに、スキルは警戒しかないのか?』

どう考えても、スキルに毒の牙がなきゃおかしいだろ。名前とあってない。とりあえず、念動で鼠の死体の唇を捲ってみた。長い犬歯。そして、その先端から、黄色い液体がプチュと出てくる。毒液か?

ふむ。どうしてだ? ムカデには毒の牙っていうスキルがあって、名前にポイズンファングって付いている鼠には、ない?

悩んでみても、ヒントが少なすぎるな。もう少し魔獣を狩って、情報収集だ。早速、スキルが反応しているようだしな。

振動感知と、狩猟のお蔭だろう。俺は草むらの向こうで微妙に動く、何かの存在を感じ取れていた。あまり大きくはなさそうだ。

草むらの反対側に、ゆっくりと回り込む。

種族名:腐肉あさり:魔鳥:魔獣 Lv5

HP:13 MP:5 腕力:9 体力:11 敏捷:15 知力:6 魔力:3 器用:7

スキル

毒耐性:Lv1、消化強化

鳥か。感知能力が凄そうだよな。ここは慎重にいこう。

俺は地面すれすれを飛びつつ、音で感知されないよう、草むらを慎重に避けて、腐肉あさりに襲い掛かった。

腐肉あさりは飛び立つ間もなく、俺に首を斬り落とされ、地面に横たわる。

『ふぅ、飛ばれたら厄介だったから。その前に倒せて良かった』

俺は腐肉あさりの体を数度突き刺し、魔石を吸収する。

消化強化を覚えた。しかし、消化強化とか、最高にいらないな。なにせ、消化器官がないし。そもそも、このスキルをよく覚えられたな。自己進化さんの節操のなさに、感心するぞ。

さてさて、次の犠牲者はいらっしゃいますかね。できれば、持っていないスキルを所持してるやつがいい。

そうやって、獲物を探していると、俺は妙な影を捉えていた。

凧の様なものが、低空をふわふわと浮遊している。移動速度は速くないが、その動きは不規則で、奇妙だ。空を飛ぶ緑色のクラゲにも見える。

種族名:エア・フローター:魔植物:魔獣 Lv5

HP:14 MP:10 腕力:6 体力:11 敏捷:4 知力:2 魔力:11 器用:5

スキル

魔力吸収:Lv1、鷹の目、浮遊

近づいてみるが、何の反応もない。ただ、俺の10メートルほど前を、ふわふわと浮いているだけだ。

攻撃していいのか? 俺は取りあえず切りつけてみることにした。その目標は、キノコの笠の様にも、クラゲの頭にも見える、胴体部分の中心部分、目の様な模様が付いた場所だ。

俺は、何があっても反応できる様、ゆっくりと近づく。そして、2メートル程度の距離に近づいた途端だった。エア・フローターが、想像以上に俊敏な動きを見せた。

『うぇ、気持ち悪!』

10本ほどの触手が俺に向かって伸びてきたのだ。ウネウネと動く赤黒い触手は、ミミズや蛇を連想させる。めちゃくちゃ気色悪い。

しかも、そのおぞましさに一瞬動きを止めてしまった俺は、触手に絡みつかれてしまった。

『う、魔力が吸われてるのか?』

触手を通じて、魔力が吸い上げられていくのが分かった。気持ち悪い上に、やばい。

俺は無我夢中で脱出を図った。幸い、触手の強度は大したことがなく、少し動いただけであっさりと切り払うことができた。

『ふぃー。危なかったー』

ステータスを確認すると、魔力が10程吸われていた。あのまま捕まっていたら、どうなっていたことか。

こいつは危険だ。全力で仕留める。

俺はエア・フローターの頭上に回り込むと、最大速度で突撃した。やはり、触手の力や強度は大したことがない。再度伸ばされる触手を切り飛ばし、胴体を刺し貫く。

硬い物を貫く感触と共に、刀身が光った。急所である魔石を破壊した証拠だ。

力を失ったエア・フローターはドサッと地面に落下した。スキルの力で浮いていたため、死んだその体が浮力を失ったのだ。

そして、俺には浮遊と魔力吸収のスキルが追加される。両方便利そうなスキルだ。特に、浮遊を使ってみたところ、念動と非常に相性が良かった。

なにせ、何もしなくても浮いていられるスキルだ。勿論、魔力は消費するが、念動で無理に浮かぶよりも断然少なくて済む。念動と組み合わせると、今までの5倍以上浮いていられることが分かった。魔力吸収も組み合わせたら、もっと時間は伸びるだろう。

そうやって浮遊を検証している時、俺はあることに気が付いた。

『そう言えば、エア・フローターには浮遊っていうスキルがあったのに、腐肉あさりには飛行系のスキルはなかったな。鳥タイプの魔獣なのに』

ポイズンファング・ラットと同じだ。あるべきスキルがない。

何か共通点でもあるだろうか。毒の牙や、飛行がスキルにない理由。まあ、飛行は翼が無くては、使えないかもしれないから、得ることができるかどうかは分からんが。

うん? まてよ、翼が無きゃ飛行スキルが使えない? そもそも、飛行はスキルじゃないのか?

例えば、ゴブリンに歩行や呼吸っていうスキルはないよな。それと同じで、鳥が飛ぶのは当たり前だ。それは、スキルでも魔術でもなく、肉体の持つ当たり前の機能である。そこには、魔力や技能は関係していない。

そう考えると、ポイズンファング・ラットの毒の牙は純然たる肉体の機能で、毒腺や毒牙と言った、それ用の器官が無くては使えない体の仕組みの1つなのだろう。地球にもいた毒蛇などと同じだ。

逆に、大ムカデの『毒の牙』は、魔力で作り出した毒なんかを使った、ファンタジー的な特殊能力なのだろう。

『剣術とかは、鍛えて得た後天的な物だから、スキルとして吸収できるのかね?』

まだまだ分からないことが多いな、俺の体は。もっと検証が必要なようだ。

残った鷹の目スキルの効果もかなり良い物だった。このスキルは俯瞰で物を見れるようになるというスキルだ。おかげでほぼ全周囲を見ることができるようになった。今までは柄に固定されたカメラの様な視点だったのが、今はファン〇ルみたいなカメラを自由に動かして物を見ているような感覚だ。まあ、体から遠くへ離すことは出来ないけどね。

『よし、もっといろんな種類を狩るか!』