軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

511 修行終了!

『じゃあ、いくぞ?』

「ん!」

「オン!」

『奴らの魔石を頂いて、修業の集大成にする!』

「わかった。閃華迅雷!」

そして、俺を握ったフランが、ウルシの背中から飛び出す。眼下に存在するのは白い煙。グレーター・ヴェノム・ガストだった。しかもそれだけではない。

「今度は逃がさんぞ小娘!」

「今日こそ滅ぼしてやる」

「無理じゃぁ!」

ワイト・キングもいた。実は、フランは何度もこのワイト・キングと戦っているらしい。だが、ワイト・キングとグレーター・ヴェノム・ガストは常に近くにおり、そのせいで討伐前に消耗し過ぎて、撤退するということを繰り返していたそうだ。

『ガストの魔石は確認できていないのか?』

「ん」

『ふーむ……。まずはワイトを仕留めるか』

「わかった」

『ウルシは配下共を相手にしてくれ!』

「ガル!」

以前であれば、これは中々無謀な指示だ。ウルシ単体で、4体のワイト・ハイウィザードと、2体のワイト・インペリアルガードたちを相手にするなど、無茶過ぎる。やれて2体を引き付けるまでだろう。

しかし、今のウルシなら無茶な話ではない。

「ガルル!」

「――!」

影転移からの次元牙で、早速ハイウィザードに大ダメージを与えていた。奴らは時空魔術を察知する能力はあるが、影転移は闇魔術と同系統のスキルである。この能力による奇襲を察知することはできないようだった。

その後は一撃離脱を繰り返し、ワイトたちを追い詰めていく。以前に比べて生命力、防御力、再生力全てが上昇したウルシは、多少の攻撃には小動もしなかった。

時おり体のサイズを変え、死毒魔術で煙などを生み出し、ワイトたちの間を飛び回って翻弄し続ける。

勿論、楽勝とはいかない。被弾もしているし、時おり強烈な反撃で大ダメージを受けることもある。だが、それだけだ。決して、俺たちが介入しなくてはならないようなピンチには陥らないし、不安を覚えることもない。その戦闘には安定感と余裕が感じられた。

「なんじゃあの狼はぁ……!」

「ウルシ」

「名前など聞いておらんわぁ! なぜこんな短期間にあんなぁ……!」

「修業したから」

「修業であんな強くなれるのなら、誰だって修業するわぁ!」

ワイト・キングが喚いているが、フランはその言葉には応えないで突進した。

「こ、小娘もかぁ! 速くなっておる!」

「ふ!」

「くぬ――ショート・ジャンプ!」

やはりワイト・キングは侮れない。術者タイプのクセに、フランの空気抜刀術を躱しやがった。しかも、転移術で距離を取り、直後には広範囲の氷雪魔術を放つ。

「ダイヤモンドダスト!」

広範囲を凍り付かせる術だった。これで牽制したつもりなのだろう。しかし、フランはその攻撃に突っ込んだ。火炎魔術と風魔術で、煌めく氷の霧をかき分け、最短距離でワイトに向かって突き進む。

「くかっか! それも予想通りよ! ぬおおおおおおお! ブラスト・アバランチ!」

ワイト・キングの魔術により、平原に雪崩が生み出される。広範囲を飲み込みながらフランに押し寄せるその術は、まさに雪の大津波だった。

多分、中規模の砦の城壁程度はこの術で破れるだろう。それ程の破壊力があるはずだ。さらに魔術による氷は、通常ではあり得ない程の冷気を纏っている。同規模の雪崩を大きく超える危険性があった。

だが、フランはその雪崩を見据えて、一言呟くだけであった。

「師匠」

『おう! 任せろ!』

俺がどうにかすると信じて――いや、分かっている。ならば、どうにかするのが俺の仕事である。

『はぁぁぁ!』

俺が放ったのは、巨大な光の奔流だった。魔力放出でも、火炎魔術でもない。ポイントを消費してレベルを上げた、光魔術である。

Lv6光魔術、ソーラ・レイ。光魔術と聞いて真っ先に想像する、レーザーとかビームの親玉的な術である。簡単に言えば、アニメのビーム砲だろう。魔術であるため単純な光線ではないが、見た目はビームにしか見えなかった。

ドラム缶並の太さの光の柱が真横に向かって照射され、白い津波を貫く。一点に集中された光が雪崩を溶かし、フランの通り道を作り出した。しかも俺は、インビジブル・デスから入手した光撹乱膜を利用することで、逆に集束率を上げて威力を上昇させている。

レベルは同程度の術なのだろうが、一点集中である分、こちらの方が有利であった。

「くがぁぁ! こ、これほどの術をぉ?」

自らの術を貫通して放たれた光魔術をもろに食らってしまい、ダメージを受けているワイト・キング。魔術耐性を持った相手を倒すことはできなかったようだ。だが、次の魔術を警戒するせいで、ワイト・キングの意識が前方に偏った。

「黒雷転動」

「ぬおぉ?」

フランはその隙を逃しはしない。俺の作り出した道を駆け抜け、黒雷転動で背後をとった。

「ふっ!」

「が――は……!」

転移直後にはすでに俺が振り下ろされ、刃がワイト・キングの体を両断している。

「黒骸兵団の精鋭たる、我がぁ……このような小娘に……!」

「はぁぁぁ!」

「ぎいぃぃあぁぁぁ!」

さすがのワイト・キングも、警戒が疎かだった背後からの攻撃を躱すことはできなかったらしい。相変わらず魔石の場所は分からなかったが、頭頂部から真っ二つにされた後、コマ切れにされれば助かるはずもない。

「やっぱ、魔石ない?」

『うーん、もしかして死霊魔術で呼び出されたのか? いや、こんな高レベルのアンデッドを呼び出せる術者なんか――』

「師匠!」

『おっと、今は戦闘中だったな!』

グレーター・ヴェノム・ガストの煙が一気に集まってきた。

『残りは煙野郎だけだが……。魔石をどうやって発見するか』

「また地面を攻撃する?」

ワイト・キングもだったが、ガストの魔石も相変わらず発見できない。いや、なんとなく魔力の偏りみたいなものがあるような気もするんだが、その大元までは辿ることができなかった。

ただ、この偏りが感じられるってことは、近くに魔石があることは確実だろう。だったら、周辺全てを巻き込むような広範囲魔術を連発するというのは1つの手だ。

俺とフランが悩んでいると、ウルシが何やらアピールしている。

「オンオン!」

『もしかして、魔石の位置が分かるのか?』

「オン!」

『だったらやっちまえ!』

「オオーン!」

ドヤ顔で一咆えしたウルシが、宙に向かって駆け出した。そのままの勢いで、前方の空間に噛みつく。その瞬間だった。

「ウウウアアアアウウアアアアア!」

不気味な悲鳴がその空間から上がると、一気に煙が晴れる。俺たちは魔石が地中にあるものだと思っていたが、煙の中に隠していたようだ。もしかしたら、時空魔術のような能力で収納しているのかもしれない。だが、進化したウルシの感覚は魔石の魔力を逃さなかった。次元牙があれば、その空間ごと攻撃できたのだろう。

まあ、魔石は手に入らなかったが、厄介な相手を倒せたんだ。素直に褒めてやるか。

『よくやったぞ!』

「オン!」

「ウルシ、えらい」

「オンオン!」

中型犬サイズになったウルシは、フランにワシャワシャと撫でられてご満悦だ。

それにしても俺たちは大分強くなったな。以前は苦戦した相手に、多少の消耗をしただけで勝ててしまった。脅威度Bの魔獣を2体相手取り、完勝だ。

「フランちゃん、師匠、ウルシ。見届けたわ。本当に強くなったわね!」

「ありがと」

アマンダのお墨付きだ。彼女に褒められると、本当に実感が湧いて来る。

『よし、これにて修業は完了だ!』

「ん!」

「オン!」