軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

302 レベルアップとポイント

『よし! 残りはクリムゾンウルフだけだ!』

悪魔とアダマス・ビートルを片づけた俺たちは、急いでウルシの援護へと向かった。

ただ、俺たちが援護するまでもなく、すでに決着目前だったが。

「グルルオオオオォ!」

「ガオオォオウゥゥ……」

単純な攻撃力や肉体の強さで負けるウルシは、距離を取りつつも死毒魔術でジワジワとクリムゾンウルフの体力を削っていたらしい。

クリムゾンウルフの瞳には紫の斑点がポツポツと浮かび、その全身の毛が抜け落ちていたる場所に円形の禿げができている。呼吸はヒューヒューと荒く、時おり咳をするように呼吸が乱れていた。短時間で体の内側から毒でボロボロにされたらしい。

ウルシも顔の右半分と背中が焼け爛れ、右目は完全に燃えて失われて眼窩が露わとなってしまっていた。それでも鋭い殺気をぶつけ合う2匹の姿をみているだけで、その戦いの激しさが伝わってくる。

どちらも満身創痍ではあるが、クリムゾンウルフの方がよりダメージは大きそうだった。パッと見は外傷のあるウルシの方が死にかけなんだが、吐血の止まらないクリムゾンウルフは手遅れのところまで来ている。

最後はウルシが、クリムゾンウルフの動きが鈍くなってきたところで闇魔術によって足を拘束し、一気に飛びかかってその喉笛に食らいついたのだった。

首を食いちぎられたクリムゾンウルフが擦れた様なか細い悲鳴を上げて、その場に崩れ落ちる。

「オオオオォォン!」

ウルシは横たわるクリムゾンウルフの体に足をかけ、勝利の遠吠えを上げた。だが、すぐにその場に崩れ落ちてしまう。

俺は大慌てでウルシに駆け寄り、回復魔術をかけるのだった。だが、目が治らない。ウルシは再生があるから時間をかければ治るはずだが、今は待っている時間がない。

俺は以前入手した上級ライフポーションを取り出して、ウルシの目に振りかけた。ゆっくりとだが確実に、10秒ほどかけて眼球が再生していく。以前に入手できていて本当に助かった。

『ウルシ、大丈夫か?』

「オゥン」

『よくやった!』

「えらい」

「オン!」

本当はウルシもフランも休ませてやりたいが、そんな時間の猶予はない。とりあえずフランにもポーションを1つ飲ませておいた。精神的な疲労以外はこれでなんとかなるはずだ。まあ、その精神的疲労が最も厄介なんだが。

『進んだ先頭を追うぞ! かなり時間をかけちまった!』

「ん!」

『あっと、その前に魔石を吸収しちゃおう。かまわないな? ウルシ』

「オン!」

一応、ウルシが仕留めた獲物だからね。ウルシに確認を取ってから、クリムゾンウルフ心臓付近へと刃を突き立てた。

ランクC魔獣であるこいつの魔石を吸収出来れば――。

〈自己進化の効果が発動しました――〉

『ひゃっほー!』

よし! 狙い通りだ! ここでランクアップできたぞ! 魔力も全快で、自己進化ポイントも手に入った! この後の戦いが楽になるだろう。

名称:師匠

装備者:フラン(固定)

種族:インテリジェンス・ウェポン

攻撃力:726 保有魔力:5500/5500 耐久値:5300/5300

魔力伝導率:A+

自己進化〈ランク14・魔石値9133/10500・メモリ138・ポイント70〉、

俺が久々の進化に歓喜していると、フランが声をかけてくる。おっと、少しはしゃぎ過ぎたな。

「師匠? どうした?」

『ランクアップした! 魔力も回復したし、自己進化ポイントも70手に入ったぞ』

「おお」

『それに、フランもウルシもレベルが3ずつ上がってるな』

あれだけ倒して3しかと言うべきか、3も上がったというべきか。ただ、普通の冒険者が30歳、40歳でも40に到達していない人間が多い事を考えれば、3も上がったと言っていいと思う。

しかもフランは新たな称号も得ていた。

『魔獣の殲滅者か』

魔獣の殲滅者:生涯において、100種類、1000匹以上の魔獣を倒した者に与えられる

効果:魔獣との戦闘時、相手の数、強さに応じてステータスが強化される

『ポイントを何に使おうか――いや、魔獣たちを追わないと。道中に考えよう』

「ん」

クリムゾンウルフの死体を収納し、フランが回復したウルシの背に飛び乗った。

『ウルシ、魔獣の軍勢を追ってくれ』

「オン!」

ウルシの背に乗って、かなり先行してしまった魔獣の群れを追う。その道すがら、俺たちは自己進化ポイントの使い道を相談していた。

『フランは何に使いたい?』

「魔力制御?」

『なるほど。有りだな』

以前、気力操作を気力制御にしたところ、スキルを使用するときに素晴らしい効果を発揮してくれた。発動も早くなり、威力も相当増しただろう。

なら魔力制御を得れば、魔術でも同様の効果を得られるのではないだろうか? 期待通りの効果があれば、今後の戦闘で役立ってくれるはずだ。

「師匠は?」

『俺は魔力吸収だ』

以前、自己進化ポイントが足らずにLv9のままになっているが、Lv10にすればさらに効果も高まるだろう。この後、魔獣たちと戦い続けるには必須と言える。

そこまで考えて、さらに気になるスキルがあった。それが、先程までの戦闘でいつの間にか手に入れていた生命吸収である。まあ、撃破優先とは言え、そこそこの数の魔石を食ったからな。生命吸収があれば、閃華迅雷も使いやすくなるだろう。魔力吸収と合わせて、かなり有用だと思われた。

『よし、考えている時間もないし、とりあえず今挙がったスキルは全部強化しちまおう』

「わかった」

この後の戦闘に使えるはずのスキルだからな。

まずは魔力操作を魔力制御に上げるのに5ポイント費やす。スキルが1つ上位に進化しただけなのに、その効果は絶大だった。

「すごい!」

『ああ』

フランにもこのスキルの凄さが分かったのだろう。目を見開いて驚いている。魔力を使うための能力だけではなく、魔力感知などの感度が桁違いに上昇していたのだ。まるで、急に視界が開けたかのような、耳栓を外した直後の様な、世界が拡張したかのような感覚だった。気力制御の時以上かもしれない。

『次は魔力吸収を1つ上げてレベルマックスに』

〈魔力吸収がLvMaxに達しました。魔力強奪がスキルに追加されます〉

新しいスキルが生えたな。まあ、これの使い心地は後だ。次は生命吸収を上げてしまおう。

〈生命吸収がLvMaxに達しました。生命強奪がスキルに追加されます〉

こっちもか。吸収率が上がるのかね?

この時点で、魔力制御に5。魔力吸収に2。生命吸収に18を費やし、合計25ポイント使用したので、自己進化ポイントの残りは45ポイントだ。

『他はどうするか……』

「魔獣を足止めできる魔術?」

『ふむ』

確かに、より魔獣の足を止められる術があると嬉しいんだが……。どの系統の魔術を伸ばせばいいかね?