軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

289 ゴブリンの群れ

ゴブリン退治を引き受けたフランは、気配を消しながら目撃地点へと走っていた。

(師匠、巣をどうやって探す?)

『気配を探すか、ゴブリンのあとをつけるかだな』

(なるほど)

『とりあえずウルシは別行動で、この辺に巣がないか探してくれ』

(オン!)

ウルシの鼻なら、臭いで巣を発見できるかもしれん。

『俺たちは、ゴブリンを叩くぞ』

(ん)

『で、何匹かわざと逃がして、巣に案内させるんだ』

(わかった)

ゴブリンたちがたむろしている場所にはすぐにたどり着いた。前回、ゴブリンたちを倒した岩場だ。

(あれ、何してる?)

『ふむ……』

(休憩?)

『いや、それにしては何か変だ』

しきりに岩場を調べている様に見える。ゴブリンが何をやっているんだ?

それと、もう一点おかしなことがある。このゴブリンたちも、前回倒したゴブリンと同じ様に武装をしていたのだ。いや、同じ様にと言うか、全く同じ装備だ。

前回の奴らと同じ群れであることは確かだろう。しかし、鑑定してみると、前回のゴブリンたちよりも弱い。数も少ないし、下っ端であるようだった。だが、群れの末端にいたるまで、これだけ綺麗な装備で身を固めるなんて、あるのか? ゴブリンが?

近寄って観察してみる。やはりゴブリンたちは岩場を調べている様だ。岩をひっくり返したり、血痕を調べたりしている。しかも妙に統制がとれている気がした。

『やはり上位者がいるかもな』

(ん)

これは絶対に巣を突き止めたい。俺たちはまずリーダー格を倒すことにした。そうして統制を失わせ、巣まで逃げ帰らせるのだ。

『リーダー含めて、7匹は倒す。逃がすのは3匹だ』

(おっけー)

『よし、行くぞ!』

「ん!」

俺は転移を発動した。そして、フランはリーダーを背後から切り捨て、返す刀で左右のゴブリンたちも瞬殺した。

「ギャオォ?」

「ギャギャ!」

「遅い」

騒ぎ出したゴブリンたちに突っ込んでさらに2匹。俺の火炎魔術でさらに3匹を倒す。

残ったゴブリンたちは血飛沫を上げて倒れる仲間を見てから、灰に変わった仲間をみる。それを数度繰り返し、ようやく自分たちしか残っていないことに気づいたのだろう。

「ギャヒィィ!」

「ギョエヘェェ!」

「ヒャホヒィィ!」

いまいち分かりにくいが、悲鳴を上げたらしい。そのまま背を見せて逃げ出した。隙だらけなんだが、攻撃はしない。

俺たちは気配を断って、奴らの追跡を開始した。

しばらくは後ろも振り返らずに、全力疾走を続ける。恐怖のあまりなのだろうが、尿も走ったまま垂れ流しである。

(ばっちい)

フランに汚い光景を見せやがって! 後で絶対に! 汚物は絶対に消毒してやるからな!

ただ、しばらくするとフランが追ってきていないと判断したんだろう。奴らにこっちの気配は感じ取れないからな。

駆け足から早歩きくらいに歩調を緩めた。それでも仲間が殺された恐怖を覚えているのか、決して足を止めようとはしない。

キチンと周囲を警戒しながら、必死に歩を進めている。仲間同士で水袋を回し飲みしたり、仕草が妙に人間ぽかった。

やっぱり違和感があるな。まだフランと出会う前、魔狼の平原でゴブリンどもを追跡したことがあるが、あの時のゴブリンはもっと馬鹿だった。途中で遊び始めたり、昼寝をしたり、酷かったのだ。

少なくともこいつら程、知能が高くはなかった。

(師匠、あそこ)

『あれが本隊か? なるほど、上位種族もいるな』

ゴブリンを追っていった俺たちが発見したのは、100匹ほどのゴブリンの群れであった。ゴブリン・ファイターや、ゴブリン・シーフなどの姿も見える。

群れを観察していると、フランがある一点を指差した。

(あれ)

『ゴブリンキングか! やっぱいたな』

巣穴から出て来た様だ。好都合である。

『それにしても、あいつら全部同じ装備してやがるな』

さすがに傭兵団を襲ったとかいう理由じゃ説明できないんじゃないか? でも、理由がわからん。

(殲滅しちゃえば一緒)

『まあ、そうか?』

だが、一理ある。謎は残るが、ゴブリンキングを仕留めてしまえば、残りは所詮ゴブリンだ。

泳がせていた3匹が「ギャッギャッ」とキングに報告をしている。ゴブリン語は分からないが、きっとフランに仲間が殺されたことを報告しているんだろう。

『お、上手い具合に固まったな』

報告を聞き終わったキングが、周辺のゴブリンたちを自分の前に呼び寄せたのだ。群れを率いて現場に向かうつもりなんだろう。

『まずは逃げられない様に檻で囲むか』

(ん。分かった)

『サンダー・ウォール! サンダー・ウォール! サンダー・ウォール!』

「サンダー・ウォール! サンダー・ウォール!」

Lv2雷鳴魔術、サンダー・ウォールだ。触れただけで電撃に焼かれる、敵を追い込むことにも使える壁魔術である。

しかも俺たちは、魔力をより込めることで、壁の幅を広げて発動していた。生み出された5枚の電撃壁が5角形の檻を形作り、グルリとゴブリンの群れを囲んでしまう。

「ゴゴギャオオオォ?」

「アギャガ!」

ほほう。キングは冷静だな。部下に命じて壁に攻撃を仕掛けさせた。だが、斧で壁に斬り掛かったゴブリン・ソルジャーが、感電してその場に倒れ込む。死んではいないが、しばらく動くことはできないだろう。

あとは檻の中にいるゴブリンたちに上空から雷鳴魔術を叩き込み続ければ終了だ。サンダー・ウォールが解けた後、そこにはゴブリンが死屍累々と横たわっている。

『終わりだな。とりあえずこの場で魔石だけ吸収しちゃうか』

「ん」

『武具は雷鳴魔術のせいで結構破損しちまったが、使える物もあるだろ』

「じゃあ、収納しておく」

『村に持って帰ろう』

ゴブリンでも、キングも含めて100匹殺せば結構な経験値が入ったらしい。フランのレベルが上がっていた。

『46レベルだ。やったな』

「ん!」

進化によって上限は解放されていたが、こうやって元の上限を超えると感慨深い。この調子でドンドンレベルを上げていきたいところだな。そして、いつか獣王クラスにも負けないくらい強くなってほしいぜ。