軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

183 ディメンジョン・ゲート

剣聖術をカンストさせた後、他に上げたいスキルはないかとフランに聞いたら、どうやら次元魔術に興味があるらしい。

実は俺もそうなのだが、フランから次元魔術を上げたいと言われるとは思わなかった。

『いいのか? 剣聖技とか上げなくて』

「それよりも、次元魔術が気になる」

『なんでだ?』

「獣王の護衛が使ってた扉」

『なるほど、考えることは一緒か』

ロイスが使っていた次元門だ。名前からして、次元魔術を上げれば覚えられそうな気がしているのである。そして、次元門があれば気軽にルミナに会いに行ける可能性があった。

ロング・ジャンプではダメだ。

空間跳躍では一緒に跳べる質量が限られている上、使用者が触れている物しか一緒に運べない。つまり、俺がフランやウルシに触れていなければ一緒に空間跳躍できないし、大型時のウルシはデカすぎて一緒に運べなかった。しかも、一緒に転移する質量が多ければ多い程、飛距離は削られてしまうのだ。

俺とフランだけだったとしても、ルミナの部屋に直接転移するような真似はできなかった。せいぜい、5層か6層の途中までだろう。

だが、次元門なら扉さえ繋いでしまえば、質量などは関係なさそうに見えた。戦闘時に使う暇はないかもしれないが、普通に移動をする分には次元門の方が優れているのではないだろうか。狙う価値は十分にあった。

『じゃあ、次元魔術をレベルアップさせちゃうか』

現在の自己進化ポイントは20。とりあえずレベルを1つ上げる。

「Lv2で覚えたのは……なんだこの術?」

まずLv2で覚えた1つ目の術は、ターン・シールドと言う術だった。空間を捻じ曲げることで、弓などの遠距離攻撃を逸らしたり、敵の体勢を崩したりするのに使えそうだ。大きく曲げようとすればするほど魔力の消費が大きい。自分の周辺全部を覆おうとしたら、一瞬でも魔力が2000近くかかった。まあ、使い方によっては面白そうだ。

Lv2で覚えたもう一つの術がビーコンという魔術だった。この術をかけた場所や物の場所を、遠くにいても感じ取れると言う術である。便利そうではあるが、次元魔術で覚える様な術か? 最初はそう思ったが、実はこれは合わせ技で効果を発揮する魔術だったのだ。Lv3で覚えたアポーツの術で理解した。

アポーツは、視界内の物品を手元に引き寄せると言う術だった。一見地味だが、自分から離れた物体に跳躍の術を施すと言うだけでもかなりの進化なのだ。

だがビーコンと組み合わせることで、その性能がさらに上昇するのである。アポーツはビーコンの掛けられた物品であれば、その気配を頼りにすることで視界の外からでも引き寄せることが可能になった。

ビーコンがあれば、ロング・ジャンプの飛距離も延ばせそうだし、地味に使えそうな術だな。

Lv3で覚えたもう1つの術は、オーバー・ヘイスト。まあ、同時に複数の人間にかけられるヘイストだな。

そして、次元魔術をLv4に上げた時、念願の術をついに覚えた。

『ディメンジョン・ゲート。これだな』

ディメンジョン・ゲートは自分のいる場所と、記憶にある場所の間にゲートを繋げるという術である。ゲートを潜り抜けられるサイズの者であれば誰でも利用が可能だ。魔力を最大限込めれば、大型サイズのウルシが通れるほどのゲートも作れた。

俺たちが欲していた、獣王の護衛ロイスの使っていた次元門に近い術と言えよう。こっちは単に穴を繋げるだけなので、全く同じではないけどね。

この術もビーコンと組み合わせると、かなり性能を向上させることが出来た。

石にビーコンをかけてそれをウルシに適当な場所に運んでもらい、ビーコンを頼りにゲートを開く実験をしてみたが、全く行った事のない場所でもゲートを開くことが出来たのだ。

予め拠点や、重要な場所、逃走経路などにビーコンの術をかけておけば、かなり利便性が高いだろう。

ビーコンは何もしなければ数日で消えてしまうが、掛ける際に魔力を多く込めれば有効期限を延ばすことが出来る。俺が最大限魔力を込めれば、年単位でビーコンを設置できると思う。

とりあえずルミナの部屋にビーコンを設置させてもらおうと思っている。ディメンジョンゲートはそこまで長い距離は繋げないが、ビーコンがあればここまで届くだろう。そうすればいつでも会いに行けるからな。ゲートを繋ぐ距離が長くなるほど、ゲートの大きさは小さくなるが、俺たちが通り抜ける程度のサイズは問題なく作れるだろう。

因みにLv4でもう1つ覚えたのは、スロウ・マイン。設置型のスロウだ。地面だけではなく空中にも仕掛けられる上、隠蔽性が高く、複数設置が可能なため、搦め手に使えるだろう。

『さて、目的の術も手に入れたが、どうする?』

次元魔術はレベルを1つ上げるのに自己進化ポイントが3かかるので、Lv4に上げるのに9必要だった。残っている自己進化ポイントは11である。

このまま次元魔術のレベルを上げるか、それとも他のスキルに費やすか。

「……気力制御?」

『ふむ。何でだ?』

「獣王が持ってたから? 進化に関係あるかも?」

なるほど。金火獅に進化していた獣王のスキルを真似てみるってことか。たぶん気力操作をレベルアップさせれば取得できるだろう。奴が持っていて、俺たちが持っていなかったスキルで今すぐ狙えそうなのが気力制御だし、試してみるのも悪くはないか。

『じゃあ、やっちゃうぞ?』

「ん」

予想通り、気力操作に5ポイントつぎ込んで進化させたら、気力制御をゲットできた。

『どうだ?』

「……?」

進化の鍵ではなかったらしい。ただ、このスキルを取得した瞬間から、明らかに俺の中で何かが変わった。気力制御によって内部の魔力循環が滑らかになったおかげか、より察知系のスキルの感度が上がっている。

それだけじゃない。

『今なら――』

俺は形態変形を発動させた。刀身の一部を紐状に変形させ、空中に幾何学模様を描いてみる。その後、さらに刀身を10本に細分化し、糸状にして操ってみた。イメージはレジェンダリー・スケルトン戦でアナウンスさんがやっていた、強靭な糸で相手を刺し貫く攻撃方法だ。

刀身が思った通りに姿を変え、思いのままに動かせる。今まで以上に細かい変形が可能だ。しかも、魔力の無駄が抑えられ、消費が減っているな。

気力制御。地味だが有用なスキルだった。

『残った6ポイントは溜めておくか』

「ん。それでいい」