軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑章二 海中ダンジョン 15

「牛肉の柔らかい食感とコリコリの漬物の食感が合わさって、何とも不思議な美味さをかもしだしているな!」

「ええ! ルーに溶け込んだ野菜類の甘みと漬物の酸味のコントラストも素晴らしいですな! さすが我が神の作った料理! まさに神の食べ物!」

全然静かじゃない静かなる海と、ずっとうるさいアヴェンジャーの食レポを聞きながら、手に入れたばかりのシーフードを迅速に処理していく。

魚の魔獣、貝の魔獣、海老の魔獣。数は多くないけど、1体が大きいので量は問題ないだろう。貝の魔獣とか、見た目は帆立だけど座布団くらいあるし。

取り出した魔石をつまみ食いしつつ、処理を続ける。新しいスキルは、殻硬質化とか、鱗再生とかかな? まあ、俺には使い道がないスキルばかりだ。

ああ、ボスクラゲの魔石は、しっかりと吸収しているよ? 本体はダンジョンに吸収させて魔力に変えたけど、魔石は報酬としていただいたのだ。

再生と魔力吸収、水魔術など、俺がすでに所持している6つのスキルしか持っていなかった。多分、ミドガルズオルムなんかと同じ、素のステータスを活かしたタイプだったんだろう。

因みに、俺はもう進化はしない。なんせ、神剣という到達点に達してしまったからだ。ただ、魔石値を貯めることで、それを消費してスキルをレベルアップさせる能力は残っている。

つまり、今後はスキルを増やして、成長させる方向がメインになるのだ。まあ、神剣となったおかげで俺の処理能力は大きく成長した。スキルを大量に所持しても、以前のように壊れるようなことはないだろう。

つまり、ガンガン魔石を食って、ドンドン成長しろってことだな!

『よーし、シーフードカレーできたぞー』

声をかけると、周囲でまったりしていたはずのフランたちが一瞬で俺の後ろにいた。シュバッていう音すら聞こえない、神速である。せ、戦闘の時よりも速くないか?

『ほ、ほれ』

「ん!」

「オンオン!」

俺がシーフードカレーを大盛りにした皿を渡してやると、フランが真剣な顔で受け取る。そして、カレーをこぼさないように細心の注意を払いながら、かつ流れるような動きで椅子へと腰かけた。

「いただきます。もぐもぐ……うまうま! これはいいカレー!」

「ガフガフ!」

「うまいぞ! いつも食べている海の幸が、このような味となるとは! カレーめ! なんというポテンシャルよ!」

「プリプリの海産物がよいですなぁ! 貝なんぞ生前でもなかなか食べたことありませんぞ! 贅沢カレー万歳!」

「ん!」

「オン!」

まあ、美味しそうでよかったよ。

本日二杯目のカレーを頬張りながら、静かなる海がダンジョンのことを色々教えてくれた。ダンジョンコアに関しては、静かなる海の仲間が今後は管理をしていくらしい。

産出されるもの次第では、地上との交易などに回されるそうだ。

『え? リヴァイアサンって、交易までしてんの?』

「我が主はほとんどノータッチだがな。我ら眷属の中には興味がある者もいるし、地上の物資を欲している者もいるからな」

『食料とか?』

「うむ。それが一番であろう」

静かなる海の食いしん坊っぷりを見れば、リヴァイアサンの眷属たちが食道楽なのは想像がつく。要は、嗜好品な物を求めており、そのための大きな手段が交易ってことらしい。

「それに、海中でしか入手できない貴重な素材というのも多い。鉱石、薬草、食材、魔獣素材など、地上の多くの者が求める品は無数にあるのだ。しかし、それらを我らが採ってきて、施してやるわけにもいかん。過剰な施しは容易に堕落を招くからな」

『あー、それはそうか』

利益云々よりも、地上人の堕落を気にするところは、神の関係者っぽいね。

そこで、交易という体裁で海中の素材を地上に渡してやっているようだ。地上の商人的にも海中の珍しい物が手に入るんだから、Win-Winの関係なんだろう。

人の姿になれる眷属が、商人ギルドに登録しているらしい。

リヴァイアサンの眷属たちの経済規模って、そこらの大商会ってレベルじゃないよな? 下手したら超有名な商会なのか?

「この度は、本当に助かった。また何かあれば、声をかけることもあるかもしれん。その時はよろしく頼む」

「ん! 任せて」

『まあ、できる仕事ならな』

「オン!」

少し休憩したのち、静かなる海さんにバルボラ近くまで送ってもらい、お別れの時だ。

「ウルシよ。また会う時までに、さらに精進して成長しておくのだぞ?」

「オン!」

「べ、別にお前がかっこよくなろうがどうでもよいわ! 神獣様の眷属として、無様な姿をさらすなと言っておるのだ!」

「キャイン!」

「ふん。まあ、近い内に様子を見に行くゆえ、気を抜くなよ」

「オン!」

「では、さらばだ! まだ食っておらぬカレーを用意しておけ! ではな!」

「ばいばい」

「オンオン!」

『またなー』

元のサイズに戻って海へと帰っていく静かなる海。なんか、夕日も相まってゴ○ラのラスト感がある画だな。

にしても静かなる海さん、また会いに来るってカレーの為だろ絶対。まあ、ウルシも喜ぶだろうから、いつでも来てもらってOKだけどね!

あと、リヴァイアサンの眷属が営んでいるという大商会への紹介状を貰ってしまった。紹介状って言うか、テカテカしたプレートに、静かなる海が肉球スタンプを押したものだけど。

鑑定すると静かなる海の友の証と出る。リヴァイアサンの眷属同士なら、これが何なのかちゃんと分かるらしい。

『これがあれば、シーフードは仕入れやすくなるかな?』

「しーふーど!」

「オン!」

どうやら二人ともシーフードにハマったらしい。目をキラキラさせて、肉球スタンプを見つめているのだ。

『とりあえず宿を探そうぜ? もう夕方だし』

「ん。夜ご飯」

『うん? さっきカレー食べたけど……』

「あれはおやつ」

『そっかー、おやつだったかー』

「ん。夜ご飯にカレー食べる。今度はチキンカレー」