軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑章 フランとクーネ 08

クーネの妙な拘りによって、強化魔法と強化系スキルのみで、10メートルオーバーの超巨大な魔魚と格闘するフランたち。

「ニャニャー!」

「うおー」

二人で力を合わせて、釣り竿を引く。魔道具化されている糸が倍近くに伸びているが、切れる様子はない。

それから1時間後。

「もうちょっとニャ!」

「ん!」

フランたちは竿を引き続け、時間をかけて魔魚を弱らせることに成功していた。特にフランは疲れた様子すら見せない。まさに底なしの体力だ。

それに対し、魚の抵抗が明らかに弱くなっている。岸から見える巨体の動きも、最初に比べて緩慢だ。

それはクーネも同じだが。

「これで終わりだニャァ!」

クーネが力を振り絞って、竿を思い切り引いた。魔魚にはそれに抵抗する力は残っておらず、その巨体が宙を飛び、岩場へと引き上げられる。

『デカいな!』

「おっきい」

「オンオン!」

鑑定すると、ラージマウスという名前だ。その名の通り、巨大な口で何でも食う魔魚だった。これでも、小さい方であるらしい。

見た目は、胸ビレがたくさんあるシーラカンスって感じだろうか? 身は柔らかく味は淡白なので、どんな料理にも使えるらしい。

「ニャハハ! これは食いでがありそうだニャ!」

『笑っとる場合か!』

ラージマウスはその無数のヒレを使い、地面の上を歩くように移動していた。呼吸困難に陥っている様子もなく、どうやら水陸両生の魔獣であるようだ。

「オオオオオオォォ!」

その巨体をくねらせながら突進をしてくる。どこのガノ〇トスだよ!

「ニャーの力を見せてやるニャ! フラン、ニャーに任せてほしいニャ」

「わかった」

「オン!」

「ニャハハハ! 親衛騎士クーネ、いざ参るニャ!」

そう叫んだクーネが腰の剣を引き抜いて走り出す。魔力を放出することで、ラージマウスの注意をあえて引いたようだ。

まあ、脅威度はDの魔獣だが、陸上では弱体化するだろう。クーネならば、負けることはないはずだ。

「どうせなら、派手にやってやるニャ! デカ魚! お前はニャーの実力を見せるためのやられ役に決定したニャ!」

「オオオオ!」

「ニャニャ? それは卑怯ニャ!」

ラージマウスの口から、大量の水が吐き出された。水は無数の粒に分かれ、散弾のようにクーネへと降り注ぐ。

間一髪攻撃を躱したクーネだったが、結構ヤバかったんじゃないか?

負けることはないと言ったが、訂正しよう。調子に乗らなければ、負けることはないと思う。

「よくもフランの前で恥かかせたニャ! お前はもう許さんニャ! リフレクションムーン!」

「オオォォ?」

『は?』

何が起きた? 一瞬強い魔力が発せられたかと思うと、ラージマウスの巨体が10メートル近く跳ね上げられた。

月光魔術を使ったようだが……。ああ、物理系の攻撃を反射する術を、罠のように地面に設置したのか。

それによって、ラージマウスの体が弾かれ、宙へと跳ばされたのだ。月光魔術をかなり使いこなせていなければ、あの巨体を高々と弾くようなレベルの盾は張れないだろう。

「ニャニャニャ! 月光一閃だニャ!」

そこへ、クーネが斬りかかる。俺たちですら追うのがやっとの速度で。

クーネは確かに強いが、これ程の動きが可能なのか? まだ進化すらしていないんだぞ? 今の速度は、明らかに強者の領域へと足を踏み込んでいたのだ。

クーネが残像が残るほどの速度で動いたかと思ったら、その姿がラージマウスの背後にあった。

刹那の後、巨大魚の首がズルリと落ちる。超高速で交錯しながら、首を正確に斬り裂いていたらしい。

「あれも、月光魔術?」

『確かに、月光属性は感じられたが……。いや、そうか』

ラージマウスにやったことと、基本は同じだ。物理反射能力を持った盾を、トランポリン代わりに利用したのである。

自分の足元に発生させた盾を蹴り、物理反射の力を加速に利用したというわけだ。

相当制御が難しいはずである。修練と才能、両方がなくては不可能だろう。

それに、もう1つ気になるのはクーネの魔術適性である。黒猫族は、火と風と雷鳴に秀でている種族だ。他の属性を使えないことはないようだが、適性は低いはずである。

それが、月光魔術をあれ程使いこなせるもんなのか?

「クーネ、月光魔術使えるの?」

「ニャ? そうニャ! ニャーは昔から得意なんニャ! 他の属性はサッパリニャ」

もしかしてメアみたいな特殊な存在なのか? ともかく、規格外な奴である。

「どうだったニャ! ニャーの実力は!」

「ん。速かった」

「ニャーッハッハッハ!」

分かりやすくドヤるクーネ。岩場に落ちているラージマウスの頭の上に登って、なんかポーズを決めている。

「おー」

「オンオン!」

「ニャーの雄姿を見るニャー!」

とりあえずそれ仕舞っちゃうから、どきなさい。