軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1263 強化ネームレス

ラランフルーラとネームレスに向かって、俺たちと英雄ゾンビが襲い掛かった。

不意を突かれたネームレスが、ベガレスの火炎を受けて吹き飛ばされる。

「な……? なにをしている!」

「はははは! 悪いな元主! 今や俺たちはお前の敵だ! 有難いことになぁ!」

「そういうことだね!」

ベガレスとオルドナが、手数重視で遠距離攻撃の弾幕を張る。そこに、ウルシとユヴェルが突っ込んだ。

「ガルル!」

「潰れろ」

強者たちによる同時攻撃だ。いかなネームレスとは言え、これは防げまい。だが、ネームレスの動きは、想像以上であった。

最小限の動きでユヴェルの斬撃を躱し、ウルシの前足を蹴りで弾いたのである。そこから影転移を使って一瞬でフランの背後に回ると、手刀で攻撃をしてきた。

守護神の盾で防いだが、普通の障壁なら貫かれていたかもしれない。

攻めも守りも数段強くなっていた。

「死霊ども! なんのつもりだぁ! 小娘を殺せ!」

「てめぇが死ね! もう死んでるけどなぁ!」

叫ぶネームレスに対し攻撃を返したのは、良い笑顔のベガレスだ。ネームレスやラランフルーラに対し、妙に敵意が強い。それは、どの赤騎士たちも同じだ。

民を犠牲にした東征公や黒骸兵団を、許すことができないのだろう。

高い戦意のままにネームレスへと襲い掛かり、互角に戦っていた。

ラランフルーラはどうしているかと見ると、こちらもまた激しい戦いになっている。英雄ゾンビたちに加え、フォールンドも攻撃に加わっているのだ。

それで互角なのは、驚きでしかない。

ジャンとアマンダはペルソナの横に立ち、マレフィセントを注視してくれているようだ。未だに固まっているが、いつどう動くか分からないからな。

今がチャンスだ。

『フラン! やるぞ!』

(ん!)

そして、俺たちは再び聖母へと斬りかかった。英雄ゾンビたちの支配権は俺に紐づいている。儀式が止まっても、すぐに消えたりはしないはずだ。

ならば、まずはラランフルーラたちに魔力を供給する儀式を止める方が先決である。

フランが放つのは、邪神気を使った天断だ! どれだけ硬くても、これなら――。

「はぁぁぁ!」

しかし、渾身の一撃は障壁に防がれ、聖母には届かなかった。やはり、魔石と同種の障壁か! 超魔力が尽きるまで、障壁が張られ続ける仕組みも同じらしい。

ネームレスが余裕で見ていたのは、障壁に自信があるからだろう。この障壁を破って、聖母を倒すのは難しそうだ。

「聖母! 何をしている! こいつらの支配権を奪い返せ!」

「……」

「くそっ! 聖母までも操りおったのか?」

ネームレスが憎々し気にジャンを睨みつけた。どうやら、ジャンの死霊魔術で英雄ゾンビや聖母の支配権を奪われたと思ったらしい。俺たちが攻撃したことにより、聖母の裏切りは誤魔化せたようだ。

その隙をついたフランが、今度はネームレスに斬りかかった。

死角から一気に駆け寄り、俺を振り下ろす。これも拳で普通に受け止めやがった! だが、これで終わりじゃないんだよ!

「ふははは! 無駄だ! 滅びろ!」

「そちらがなぁ!」

アヴェンジャーを相手の真後ろに召喚して奇襲をさせたんだが、簡単に躱されたな。それどころか、カウンターの肘でアヴェンジャーが吹っ飛ばされた。

奇襲の時にあんだけ叫んでたら、そりゃ回避されるだろうよ!

しかし、アヴェンジャーは無傷だな? 今のネームレスの肘を食らったら、俺たちだって大ダメージなのだ。

強いとはいえ、アヴェンジャーくらいの防御力では、半身が砕け散っていたっておかしくはないと思うのだが……。

「ふはは! 我が女神よ! 有難き幸せ!」

え? 俺何もしてないけど……。いや、女神ってことは、邪神の欠片か? どうも、邪気を貸してやったらしい。

邪気でネームレスの魔力を打ち消すことで、その威力を弱めたんだろう。

(師匠! 私たちも邪気!)

『そうだな』

フランの攻撃に、邪気を乗せる。すると、ネームレスが不快気に呻き始めた。

「ぬうぅぅ! この邪気はなんだ! くそがぁぁぁ!」

ネームレスが纏うのは、かなり分厚い魔力障壁だ。これを乱して無効化するには、こちらの邪気も相当な量が必要だろう。

だが、生憎俺たちには邪神の欠片が付いている。邪神の信頼を使って邪気を引き出そうとしたら、大喜びで必要以上に押しつけてくるような相手だ。

フランの斬撃はネームレスの障壁を豆腐のように切り裂き、その肉体を斬り裂いていた。すぐに再生してしまうが、その速度が少し遅かったのを見逃さないぜ?

やはり、邪気での攻撃が有効だ。

『じゃあ、こっちはどうだ?』

「ぐがっ! 聖浄魔術まで使うか! 小癪な!」

俺が放ったLv6聖浄魔術、ホーリーストライクをネームレスの裏拳が弾く。しかし、ネームレスの腕の障壁が一瞬だけだが薄くなるのが分かった。

『聖浄魔術も有効だ』

(じゃあ、両方使う)

『おう!』

そこからは、俺とフランは聖浄魔術と邪気を使った攻撃を繰り出し、英雄ゾンビは邪気を纏ってネームレスを攻め立てた。

メインの攻撃に加わっていないが、ウルシが実は一番えげつない。影転移で足元を攻撃することでその動きを阻害し、仲間の攻撃が当たる様に援護し続けてくれているのだ。

次々とこちらの攻撃が直撃し、魔力を削られていくネームレス。ただ、こちらも被害なしとはいかない。

守護神の盾があるフランはともかく、他の者たちはカウンターで幾度もダメージを食らっていた。特に酷いのはユヴェルだろうか?

他者を庇うせいで、被弾が一番多かった。回復魔術も使えないので、傷は本人の再生力に任せるしかないのも痛い。

ユヴェル以外の英雄ゾンビたちも、かなり消耗し始めているだろう。ラランフルーラと戦っている皆も、同じような状態だ。

このまま削り合っていては、英雄ゾンビが何体か消滅するかもしれない。フランもそれを感じたらしい。

「はぁぁぁ!」

『フラン? 急にどうした?』

属性剣で聖浄魔力を俺に纏わせ始めたのだ。だが、邪気と打ち消し合ってしまう。結果、俺の刀身を覆うのは、覚醒状態のフランから自然と伝わってくる黒雷だけとなっていた。

(ただの聖浄魔術でも、ただの邪気でもだめ。神気も、あまり効かない。だったら、全部混ぜればいい)

『ぜ、全部って……』

そんな、美味しいもの全部混ぜたら超美味しくなる理論みたいなこと……。

(だいじょぶ。私と師匠ならできる)

フランが確信を持ったような声で、言い切る。

(だから、師匠は邪気と神気をお願い)

フランがそう言って、俺を見た。失敗するなんて、全く考えていない目だ。

そんな目で見られたら、やらないわけにはいかないじゃないか!

『分かったよ! フランは、聖浄魔術と黒雷を、頼むぞ』

「ん!」

全部混ぜたら最強理論! 証明してやろうじゃないか! フランのために!