軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1232 男たちの正体と狙い

戦闘は、ほぼ一瞬で終了していた。

フランの雷鳴魔術とエイワースの氷雪魔術で、全員が即座に拘束されてしまったのだ。あと、麻痺毒もぶち込まれているかな?

エイワースが毒を使う瞬間がよく分らなかった。魔術なのか、薬なのかも不明である。やはり、この爺さんは油断ならないのだ。

「とりあえず、全員縛る」

「では、儂は尋問をするとしようか。この男を貰っていくぞ」

「わかった」

エイワースが老人とは思えぬ膂力で、下っ端の男を担ぎ上げた。

「くくく。尋問ついでに、新作の薬を試してみるとするか。まあ、死んでも代わりはいくらでもいるからなぁ」

エイワースが含み笑いをしながら、地面に倒れる男たちを舐め回すように見る。その視線を受けて、エイワースが自分たちをどういう目で見ているか伝わったんだろう。

男たちが怯えたように震えあがった。だが、まだ麻痺しているせいで、声を上げることもできない。麻痺が解けたとしても、足が凍り付いているので逃げることはできないが。

そんな中、村の奥で異変があった。隠れていた別動隊が一気に移動を開始したのだ。

こちらで異変があったことを察知して、強硬策に打って出たらしい。爆音とともに、何かが壊れる音がする。

村の壁を攻撃しやがったか!

村の中に雪崩込んで、人質でもとるつもりなのかな?

だが、多数の気配が村へと近づいた直後、その動きが急に止まっていた。

さらにドーンドーンという衝撃音が何度も響き渡り、別動隊の気配が弱まる。闇系統の魔力と邪気が感じ取れたし、ウルシとビスドラが先手を打って排除したようだった。

俺たちが現場へ向かうと、想像した通りの光景が広がっている。

「クオォォオォォ!」

「オンオン!」

「ぎゃあぁぁ!」

「よ、幼竜のくせに!」

崩れた壁の外では、ビスドラとウルシが倒れ伏す男たちを小突いている。

「ビスドラかっけー!」

「ウルシ最高!」

「しゅごーい!」

「キュオォォォ!」

「オンオーン!」

意識を失った男たちの上でポージングしながら、可愛い雄叫びを上げるビスドラ。ウルシは男たちを足で踏んづけて、勝利の遠吠えだ。

「とりあえず、あいつらも縛る」

『だな』

それにしても、どこからどう情報が洩れたのか、知りたいところだな。放置したら、またこんな奴らが現れるかもしれないのだ。

『遺憾ながら、エイワースに頑張ってもらうしかないか』

(ん。尋問のやり方、見学していい?)

『ダメだ!』

エイワースの尋問なんて、どうせ残虐拷問になるんだから! 宅のフランちゃんの教育に悪すぎザマス!

俺の想像していた通りエイワースの尋問は、対象が少し狂気的な大声を上げたり、ちょっと出ちゃいけない液体が出ちゃうような激しいものとなっていた。

最初は村の倉庫の中でやってたんだけど、すぐにシビュラから苦情が入ったのだ。音が遮断されているとはいえ、尋問が終わって連れ出される男たちの有様を見て、村人たちが怯えるって。そりゃそうですよねーとなり、尋問は村の外で行うことになった。

フランが土魔術で地下室を作り、そこに遮音結界を張れば尋問室の完成だ。

さらに数人の男たちに対してエイワースがねっとりじっくり尋問を行った結果、幾つか情報を得られていた。

「情報源が少し減ってしまったが、後始末は任せておけ」

このジジイ、実験用の死体が欲しくてわざと殺してないよな? まあ、情報が得られたならよかった。

「まずこやつらは、予想通りこの国の冒険者ではなかった」

「じゃあ、どこ?」

「南方の小国家群だ。盗賊狩りを主な仕事とする、傭兵団であったそうだ。まあ、自作自演であったようだがな」

「どゆこと?」

「盗賊も、こ奴らの仲間だったということだ。倒したという扱いにする盗賊の死体は適当にスラムあたりに行って用意し、残りは逃げたとでも報告すればいい」

なるほどね。盗賊も討伐側も同じ傭兵団の、マッチポンプ形式だったわけだ。追い払ったということにして、裏では合流していたのだろう。

全く盗賊に被害がなければ怪しまれるから、死体は別で用意して。

命が安いこの世界なら、奴隷でも、スラムの住人でも、買おうと思えば手に入ってしまうしな。

そんな悪徳外道傭兵団だが、本拠地として使っている宿で、ある人物の訪問を受けたという。

「ある人物?」

「うむ。ローブをすっぽりと被ったうえに、魔道具で声を変えていて性別も種族も分からんかったらしい」

怪しいことこの上ないな。傭兵たちも、話を聞く前に追い返そうとしたようだ。だが、ローブの人物は彼らの所業を知っており、依頼を断ればばらすと脅してきたそうだ。

力づくで黙らせようにも、このローブの人物に仲間がいれば意味がないだろう。結局、仕事を受けざるを得なかったらしい。

「依頼内容は、クランゼル王国にあるとある村へと赴き、ドラゴンを確保すること」

「む。ビスドラのことがバレてる」

「うむ。出入りが全くないわけではないからな。本当に隠し通したいのであれば、完全に隔離するか、立ち入った者の口を塞ぐかせねばならんよ」

でも、他国の傭兵団が関わっているとなると、情報が洩れたルートは商人かな? 冒険者たちが酒場で漏らした話が、短期間で他国に流れる可能性は低そうだし。

「ドラゴンは止めを刺せば、後は好きにしていいと言われていたらしい」

「ビスドラの素材が目的じゃない?」

「そのようだ。止めを刺すという部分を繰り返し強調されたらしいからな」

素材にしたり、実験台として確保するわけでもなく、殺すことが目的? 意味が分からん。

「しかも、狙いはあのチビ竜だけではないようだ」

「他?」

赤騎士たちか? この村がレイドス人たちの村だという情報も持っていたし、狙われるとなればシビュラたちくらいしか候補がいない。

しかし、傭兵たちのもう1つの狙いは、赤騎士ではなかった。

「お主を襲えと言われておったらしい」

「? 私?」