軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1206 赤剣騎士団の戦い方

戦場に現れた赤騎士たちが、何故か超人兵たちへと突撃を開始していた。赤騎士の先頭にいるのは、見覚えのある赤髪の女性だ。

(シビュラ)

『ああ。相変わらず強いな』

シビュラが巨大な剣を振り回すたびに、異形の超人兵が複数体弾け飛ぶ。すぐに再生されようが、気にせずに何度も剣を叩き込み続けていた。

うわ、首に噛みついて、引き千切ったぞ! やはり、シビュラの戦い方は怖いな。

ただ、装備は以前とは違う。赤地に金の装飾が施された、派手な鎧を着こんでいた。ビキニアーマーとドレスアーマーの中間くらいの露出度で、防御力が高そうには見えない。

シビュラの場合は本人の防御力が異常に高いタイプなので、動きを阻害しないタイプの鎧がいいんだろう。どうやら、ステータスを上昇させる魔道具でもあるようだ。

「はははははは! 雑魚のくせに再生力だけは高いな! なんだ? あたし専用のサンドバッグなのか? おい!」

高らかに笑い声を上げながら、超人兵を葬っていくシビュラ。彼女のテンションに呼応するかのように、手に持つ赤い剣が輝きを増していった。

ただ光るだけではない。明らかに、超人兵の再生が阻害されている。

(あれ……)

『ああ。間違いなく、神属性だ』

微弱ではあるが、赤剣を神気が覆っていた。そのため、赤剣で斬り捨てられた超人兵は、その傷を再生できずにいる。

『なんか、あの剣……』

妙に気になるっていうか、目が離せない。他の赤騎士団長も宝具を持っていたが、あの赤い剣ほど存在感はなかっただろう。

より特別な宝具なのか?

シビュラの存在感が際立っているので赤剣騎士団ばかりが目に入るが、戦場に介入し始めたのは彼らだけではなかった。

赤い矢が無数に降り注いだかと思うと、フランの周囲の超人兵が粉々に砕かれたのだ。しかも、一度だけではない。矢の雨が数度に渡って降り注ぎ、フランを囲んでいた100以上の超人兵が一掃されていた。

「!」

『この矢は……』

撃ち出された元を見ると、やや離れた場所にある丘だった。そこには、1人の青年が立っている。2メートルはありそうな赤く巨大な弓を構えた、黒髪痩身の青年だ。

顔は、フライトゴーグルのようなものを被っているため、よく分からない。ただ、女顔なのはわかる。髪も長いし女性かなーとも思ったが、体つきは完全に男性なんだよな。

ただ、青年よりも、気になる存在があった。それは、彼の持つ深紅の弓だ。

シビュラの持つ赤剣ほどではないが、妙に引っかかる。見てしまうというか、存在感を無視できなかった。

他の宝具は、ここまでの圧力は感じなかった。赤い剣と弓が、特別強力な宝具ってことなのだろうかね?

青年はここからでも分かるほどの殺気を隠そうともせずにフランを睨んでいたが、すぐに視線を外すと、他の超人兵たちへ向かって矢の雨を降らせ始めていた。

あの青年が茜雨の団長で間違いないだろう。まさか、あれほど若いとは思わなかった。下手したら10代じゃなかろうか?

だが、宝具をしっかりと操っていることは間違いなかった。なんせ、この距離で百発百中なのだ。

フランを敵視しているようだが、大丈夫か? まあ、警戒は必要だろう。しかし、超人兵を殲滅する能力が高く、その能力が敵に向いている限りは頼もしいのだ。

そうした赤騎士たちの援護もあり、フランがホッと息を吐いた。

援軍が来てくれた心強さだけではない。超人兵の注目があちらへと向いたことで、俺たちが無限と思えた全力戦闘から解放されたのだ。

それどころか、速度を落としてポーションを飲む余裕さえあった。

どうやら、統率している風狼たちが混乱したことで、超人兵にまで影響が出ているようだ。半数ほどが赤騎士たちへと向かっていく。

(楽になった!)

『おう! そうだな!』

範囲殲滅魔術は使えなくなったが、圧力が半減したからな。多少の余裕をもって戦えている。いや、これでも十分激戦だが、さっきまでと比べるとね?

しかも、周囲の超人兵がドンドンと減っていく。どうやらフランを無視して、赤騎士たちへと戦力を集中させることにしたらしい。

さすがの赤騎士であっても、周囲を超人兵に囲まれては、被害は免れないだろう。

『どうする?』

(今度は、私が助ける番!)

俺としては、今の内に少しでも休憩した方がいんじゃないかと思うんだが、赤騎士たちを囮にして自分だけが楽するような真似はしたくないらしい。

この後、赤騎士たちがどう動くつもりなのか分からないんだよな……。まあ、敵対した場合は、逃げればいいか。

『じゃあ、シビュラの援護に向かうぞ!』

(ん!)

俺たちは転移で一気に移動すると、赤剣騎士団と戦っている超人兵たちに背後から襲い掛かった。シビュラたちに集中しているため、こちらは攻撃し放題だ。

シビュラはフランをちらりと見て、そのままニヤリと笑うだけだった。敵意はない。少なくとも、今は共闘しようと思ってくれているらしい。

また、シビュラの意向が最優先されるのか、他の赤騎士たちもフランに攻撃してくる者はいなかった。敵意はある。むしろ、敵意が全くないシビュラがおかしいのだろう。

それでも、彼女の意向に背く者はいなかった。凄まじい統率力だ。

シビュラへの信頼が、赤騎士たちにしっかりと浸透しているようだ。

そもそも、ここにいる赤騎士は、全員がかなり強い。紅旗や血死、朱炎の騎士たちと戦った俺たちから見ても、さらに精鋭揃いだった。上手く連携しているってわけじゃない。

連携力なら他の赤騎士団の方が上に見えた。しかし、赤剣騎士団は個人主義に見えて、穴がない。彼らが戦う姿は、冒険者の戦い方に近いだろう。

実力者揃いの高位パーティが幾つも並び、パーティ間で連携しているような状態である。

それをシビュラが率いているのだから、そりゃあ強い。超人兵に囲まれて大怪我をした者はいても、未だに死者がいないのだ。

特に強いのは、シビュラの横で戦う、重装備の戦士である。攻撃をどれだけ受けても怯まず前進して、メイスで超人兵を叩き潰していた。

戦い方も派手だが、その鎧も派手だ。青地に白い装飾が施され、まるで正義の味方チックな見た目である。

顔は見えないが、戦い方に見覚えはあった。ウルムットでもシビュラの横にいたのだ。重戦士のビスコットであろう。

『相変わらず、強いな』

(ん。前に見たときより、強くなってる)

『確かに』