軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1141 ロアネス

「死ねっ!」

色々知りたいことがあるんだが、尋ねられるはずもない。朱炎騎士団長ロアネスは、その銃口をこちらに向けると、問答無用で攻撃してきていた。

火炎魔術だと思っていたあの光線のような狙撃は、カーマイン・フレイムの砲撃であったらしい。だが、その攻撃は、マレフィセントとペルソナによって防がれていた。

「せっかちな男は嫌われますよ?」

「……」

「……くそがっ!」

おっと、美青年なのに口悪いな!

「何なんだよてめぇらはよぉ! 死ね死ね死ね死ねっ!」

『今度は連射か!』

ショットガンのように、火球がばら撒かれる。1発1発が、相当な威力を秘めているだろう。だが、俺とフラン、マレフィセントとペルソナが協力して張る障壁は破れなかった。

『まずは、奴を無力化する! ウルシ!』

「ガルル!」

「わかってるんだよぉぉ!」

「ガウッ!」

ウルシが影から飛び出すタイミングを、完璧に分かっていたようだった。察知能力はさほど高くはないはずなんだが……。宝具で強化されているのか?

砲撃を右足で相殺したウルシは、影を渡って戻ってくる。咄嗟に、準備していたダーク・エンブレイスを足に纏わせたようだが、それでも防ぎきれなかったらしい。ウルシの右前足の毛は大きく焦げ、酷く焼け爛れている。

砲撃の一撃が、高位の魔術に匹敵する威力を持っているという証拠だろう。

だが、数で勝るこちらが有利であることに変わりはない。ウルシを攻撃したことで一瞬のスキができたロアネスへ、フランが斬りかかっていた。

「寄るんじゃねぇ! クソガキが!」

「たぁぁ!」

「はしゃぐな!」

フランの攻撃を宝具で受け止めても、傷ひとつ付かない。さすが宝具、硬いな! 神気こそ纏ってはいないが、フランは本気なんだぞ!

しかも、体の一部だけを火炎化し、連撃を完璧に回避しやがった。レイドス王国の切り札は伊達じゃないってことか!

だが、向こうが不利なことに変わりはない。こちらが想定以上に強いと悟ったのか、ロアネスの顔が憤怒に歪んだ。

「くそ! くそくそくそがっ! てめーらだけは、絶対に殺すっ!」

「むっ」

宝具が変形した! ガシャンという音を立ててスリットのようなものが開いたかと思うと、そこから何本もの金属製のコードが飛び出してきたのだ。細いコードは触手のように蠢くと、そのままロアネスの腕に巻き付く。

コードを通してロアネスの魔力が宝具へと流れ込むのが分かった。砲身が、赤く輝く。

だが、この変形のせいで、ロアネスは隙だらけだ。フランは見逃さず、攻撃を仕掛けた。

「はああぁぁぁ!」

『喰らえ!』

微かに、俺の刀身が神属性の魔力に包まれているのが分かる。獣蟲の神の加護を使いこなせるようになってきたな。

神気を帯びた神速の抜刀術。

剣神化や潜在能力解放を使わずとも放つことが可能な、それでいて強者相手にも通用するフラン渾身の一撃だった。

「なめんじゃねーぞ! ガキィッ!」

ロアネスは、神気をしっかり感じ取ったらしい。火炎化ですり抜けようとはせず、空いている左腕を突き出していた。

魔力を纏ったロアネスの腕とぶつかり合い、俺の軌道が僅かに逸れる。最初から受け止めるつもりはなく、受け流して致命傷を避けるつもりだったのだろう。

首を刎ね飛ばすつもりだった斬撃は、左の肘から先を斬り飛ばし、首を半分ほど斬り裂くにとどまっていた。いや、これも十分なダメージだ。

神属性による傷は、再生が鈍い。ただ、ロアネスはそれも覚悟の上だったのだろう。全くその動きを止めることなく、フランを睨みつけたままカーマイン・フレイムを突き出した。

「じねっ!」

口から血の泡を飛ばしながら、殺意に満ちた言葉を叫ぶ。

『やばい! フラン! 全力で防げぇぇ!』

「!」

さっきは見えていなかったカーマインフレイムの能力。■■■■の部分が、見えるようになっていた。そこには『神炎励起』とある。

あれは隠されていたのではなく、通常時には使用できなくなっているようだった。使用者の魔力を――いや、それだけではないだろう。魔力や生命力、下手すれば寿命なども吸って、ようやく使用可能となるらしい。

神炎。つまり、イザリオ並の攻撃かもしれない。侮っていいわけがなかった。

俺は牽制のつもりで雷鳴魔術を放つが、全てロアネスの体をすり抜けていった。また火炎化かよ! 首の傷は致命傷のはずなのに、判断力は鈍っていないようだ。

「ぶっどべぇぇ!」

狙いはフランじゃない?

ロアネスは銃口を空に向けると、真っ赤な弾を天高く撃ち出した。いや、この場にいる全員が狙いか!

神炎の弾丸は花火のように弾けると、そのまま砦の屋上目がけて襲い掛かってきたのだ。数百の神炎が、雨のように降り注ぐ。

『マレフィセント! ペルソナ! フランの側に集まれ! 全員で防げぇ!』

「ペルソナ行きますよっ!」

「……」

俺がなりふり構わずマレフィセントたちに声をかけたのは、奴らを守ろうとしたわけじゃない。そうではなくて、全員で力を合わせなくては、この神炎の雨から生き延びることができないと理解したからだ。

少なくとも、俺とフランだけで絶対に乗り越えられるとは言い切れなかった。

マレフィセントとペルソナも、そう判断したんだろう。疑問を口にすることなく、即座に動き出していた。

『ウルシとアヴェンジャーも、全力で障壁を張るんだ!』

「オン!」

「分かりました! 我が神よ!」

神じゃねぇ!