軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

9 激闘!エリア5の脅威

魔術を身に付けてから10日。

俺は日々変わらず、殺戮の魔剣として、魔獣に恐れられたり、襲われたりして過ごしていた。魔石の吸収も進み、自己進化のランクは5に達している。

スキルも大量に手に入れた。それに、熟練度も。オークの亜種であるグルメオークの巣は特に美味しかったね。戦技や魔術も複数手に入れたし。

種族の特性なのか、ほとんどの個体が料理や解体を高レベルで持っており、共にLv5まで上がっている。剣術の次に高いスキルが、全く使用機会のないスキルだっていうのは、笑えるな。

平原の8割程度は制覇し、今や俺の庭みたいなものだ。

『よし、行くか』

これから向かうのは、平原の外縁部。俺が勝手に、エリア5と名付けた場所だ。

このエリア分けは、出現する魔獣の強さで、なんとなく分けている。平原では、台座の結界の効果で、台座から離れる程、魔獣が強くなる。台座周辺の、ゴブリンなどの雑魚しか出現しない場所をエリア1とし、数字が増えれば増える程、魔獣が強くなっていくという考え方だ。

そして、これから向かうエリア5は、一応の最大値という設定だった。

エリア5のさらに外側になると、未知の領域だ。ただ、目視では平原が途切れ、急に森林地帯となってしまっている。時折、木々の合間に見え隠れする魔獣は、エリア1や2で出現する雑魚ばかりで、エリア5よりも強い魔獣がいる様には思えなかった。

まあ、何故エリア5の魔獣が、そちらへ進出して行かないのかという疑問はあるが。それも、到達してみれば、分かるかもしれない。

『雑魚の姿はないな』

平原では、エリアが進むにつれて、魔獣の数は減っていく傾向があった。その代わり、広いテリトリーを持つ、大型の魔獣が増える。昨日まで主戦場にしていたエリア4では、日に20匹ほどしか狩ることができなかった。その分、平均魔石値が15を超えるので、ゴブリンを100匹狩るよりも圧倒的に多く魔石値を得られるのだが。

因みに、現在のステータスはこんな感じだ。

名称:不明

種族:インテリジェンス・ウェポン

攻撃力:314 保有魔力:1000/1000 耐久値:800/800

スキル

鑑定:Lv6、高速自己修復、自己進化〈ランク5・魔石値1366/1500・メモリ34・ポイント23〉、自己改変、念動、念動小上昇、念話、攻撃力小上昇、装備者ステータス小上昇、装備者回復小上昇、保有魔力小上昇、メモリ小増加、魔獣知識、スキル共有、魔法使い

スキルに関しては、その都度入れ替えているし、正直全部は把握し切れていない。中には、使用できないスキルも多いし。

特に使うのが、剣術、剣技だろう、これはスキルLvアップボーナスで、レベルも上げている。

剣術は、最初はあまり効果を実感できなかったが、Lvが3を超えると、その圧倒的な効果を理解することができた。思う通りに剣、つまり自分を操れる感覚というか。相手の急所を点で正確に攻撃できるようになった。

また、巨大な魔獣の攻撃を受け流したり、いなしたりすることも可能となり、剣の体を持つ俺にとっては、攻防一体のスキルと言っても過言ではなかった。

『お、魔獣発見!』

種族名:ゴブリン:邪妖:魔獣 Lv3

HP:10 MP:2 腕力:7 体力:9 敏捷:8 知力:4 魔力:2 器用:7

スキル

料理:Lv1、警戒:Lv1、毒耐性:Lv1

説明:10万年前に滅ぼされた、邪神の欠片より生まれた邪人の1種。邪人以外に対する強い悪意と憎悪を持ち、相容れることは不可能。敏捷性と器用さに優れている。性格は粗暴で残忍。邪悪な存在であり、発見次第、駆除することが推奨されている。脅威度G。魔石位置:胴体中央部。いわゆる鳩尾。

エリア2も終わろうかという場所で、1匹で歩くゴブリンを発見する。巣を潰したと言っても、絶滅させたわけでもなく、時折その姿を見ることができた。

ステータスの後ろについている説明文は、ボーナスポイントで取得した、魔獣知識の効果だ。鑑定と同時に使用が可能なのである。

これのおかげで、戦闘が大分楽になった。弱点と、魔石の場所が明らかになっているので、初見の魔物でも一撃必殺が可能になったからだ。

『見つけ次第駆除って……まじでゴキブリ扱いだな』

魔獣知識を得てから、初めてゴブリンに遭遇したが、俺が思っていた以上に邪悪な感じだ。まあ、人間からしたらってことなんだろうが。俺ってば元人間だし、一応人間側のつもりだし。これからも経験値にさせてもらいましょう。

そうやって、説明文を見ながら魔獣を狩りつつ、移動する。

『ヒャッホーイ!』

先日、俺は素晴らしい移動方法を思いついていた。

1・念動を最大火力で使用し、バビュンと飛び出す。

2・自由落下に任せて落ちる。

3・これを繰り返す。

念動カタパルトアタックを使用している時に思いついた。名付けて、念動カタパルト移動法。利点は、最初に使うだけで済むので、魔力を節約できるということだ。

念動カタパルト移動法を繰り返し、昼前にはエリア4に到着していた。やはり、エリア4にもなってくると、魔獣は手強い。1発で倒せることも減り、向こうからの攻撃では耐久値が結構削られる。ゴブリンの攻撃では耐久値が全く減らず、無傷なのに比べて、この辺の魔獣の攻撃だと、直撃すれば100以上減ることもあった。

そして、道々に魔獣を狩りつつ、ついにエリア5に到達する。

『さて、エリア5の魔獣はどんな奴らかね?』

探査系スキルを複数使用して、魔獣を探す。先に相手の姿を見つけ、先制攻撃を加えるのは、狩りにおいて非常に重要なことだ。場合によっては、ノーダメージで倒せることもあるしね。

『しっかし、魔獣が全然いないな』

1時間探して、まったく魔獣を発見できなかった。

もしかして、魔獣はいないのか? エリア5なんて名付けたけど、実際はエリア4が最大なのか?

とか思ってちょっと焦ってたら、エリアの端で発見できました。大きな魔力反応。間違いなく魔獣。しかも、かつてない強さだ。

『うひょー! めちゃ強い魔力反応!』

今まで一番魔力が強かったのは、エリア4にいたフレア・レオパルドという、体長7~8メートル程度の炎系魔獣だった。火魔術を使いこなす、魔石値にして47の凶悪な獣だ。

この反応は、それを上回る。

『少し高度を上げよう』

地上から発見されない様に、飛行高度を上昇させる。スキルのお蔭で、俺は魔力を隠蔽できている。スキルごとのレベルは低いが、複数のスキルを併用することで、その効果を上げているのだ。よほど知覚系のスキルが強くなければ、俺を発見することは難しいだろう。

『見つけた! でも、あれ何だ? 水たまり?』

平原に、ポツンと水たまり? に見える何かがあった。直径5メートルくらいか?

ただ、その水たまりから、強い魔力が感じ取れる。うーん。あの中に、いるってことか?

近寄るべきか、どうするか。

一見すると、水たまりの中に、生物らしき姿は見えない。

『もう少し近寄って、鑑定してみようかな』

さすがに、今の高さからだと鑑定が働かない。20メートルくらいには近づかないと。

そうして、水たまりに近づいた時だった。

ブルルン

水面が揺れた。

風? いや、そんな揺れ方じゃなかった。もっとこう、寒天的な?

ブルブルブルブルルルン

水たまりがさらに震える。そして、爆発したのかと錯覚するほど、噴水の様に勢いよくあふれ出した。良く見ると、それは水なんかじゃない。

『うげぇ! 巨大スライムだ!』

水たまりだと思っていたのは、ギュッと固まったスライムだった。そして、俺の反応を感じ取り、戦闘態勢を取ったのだろう。

その全長は15メートルを超えている。外側は青で、内部に行くにつれて、金色が混じる。その姿はまるで、巨大な水饅頭が鎮座している様であった。

それにしても、これほど大きなスライムは初めて見た。普通のスライムは、精々1メートルくらいだ。上位種でも、2メートルは超えない。

それが、15メートルを超える巨体に、超絶魔力。ちょっと圧倒されてしまう。

『と、とりあえず鑑定しとこう』

種族名:グラトニー・スライムロード:粘精:魔獣 Lv58

HP:620 MP:822 腕力:539 体力:727 敏捷:308 知力:54 魔力:668 器用:266

スキル

回避:Lv3、回避上昇:Lv4、火炎耐性:Lv6、擬態:Lv6、吸収:Lv8、硬化:Lv8、瞬間再生:Lv7、状態異常耐性:Lv7、跳躍:Lv5、軟化:Lv8、粘体技:Lv7、粘体術:Lv8、物理攻撃耐性:Lv7、捕食:Lv9、魔力感知:Lv7、次元収納、気力操作、吸収強化、強酸粘体、消化強化、魔力操作

説明:グラトニースライムの最上位種。周辺の魔獣を捕食し、無限に成長を続ける。時空魔術に近い能力を持ち、倒した敵を次元収納に仕舞い、長期間保存して食べ続ける。最低脅威度はCだが、餌が多い環境では、脅威度Aに到達した個体も報告されており、その個体は竜種でさえ捕食した記録がある。発見され次第、国による討伐隊が派遣される。

魔石位置:本体中央部

うわー。かなりヤバい魔獣じゃないか。無限に成長って……。目の前のこいつは、説明文ほどヤバい個体じゃなさそうだが、危険な相手に変わりはない。

物理攻撃耐性に、強酸粘体か。下手に突撃したら、捕まって、溶かされるってことね。

あと、粘体技も、結構嫌な技能だ。粘液の体を使った攻撃の総称なのだが、他のスライムはLv4程度だった。それでも、体を鞭状にした攻撃なんかには結構ヒヤヒヤさせられたのに、こいつはLv7だ。

『直撃は死亡フラグな気がする』

さて、どうしようか。魔術がいいか? でも、1番効きそうな火魔術は、火炎耐性があるからダメ。他の魔術で、有効そうな魔術が思い浮かばない。

スライムロードが体を伸ばしてくるが、さすがに高度を上げた俺には届かない。ただ、魔力感知が高いので、俺をハッキリ餌だと認識しているようだった。

スキルでごり押しか? ちまちま削っていても、瞬間再生がある限りジリ貧だろうし。他のスライムとの戦闘経験で分かっているが、奴らに攻撃すると、酸の体によって、剣である俺も微妙にダメージを受ける。こいつは強酸粘体を持っているし、何度も無駄に攻撃をしたくはなかった。

『って、うお!』

スライムロードの体がゆっくりとたわみ、体表面が揺れる。そして、散弾の様に、自らの体を弾丸の様に飛ばしてきた。高速で飛来する、強酸の弾丸だ。

『あっぶねー!』

空間把握と、回避のスキルで、何とか躱す。だが、今の攻撃は様子見だろう。さらに激しい攻撃を、躱しきれる自信はない。

『いいぜ、短期決戦上等だ。必殺の一撃をお見舞いしてやるよ』

高速機動系のスキルによる超速と、攻撃系スキルによる破壊力。そして、念動カタパルトを組み合わせた、現在の俺が放つことができる最強の一撃をぶち込む。

しかも、それだけじゃない。

『お前らの習性は分かってるんだぜ?』

俺は、幻影体というスキルを使い、自分そっくりな幻影を生み出す。こいつの凄いところは、本体に似た魔力を放ち、幻影看破などでも見破るのが難しいという点だ。しかも、物理的に衝撃が加わると、内部の魔力が弾けて、軽い衝撃波を発生させる。大人が思い切り殴る方がマシ程度の威力だが、相手を驚かせるには有効だった。

これでスタンバイ完了だ。

『幻影体、突撃!』

音もなく、俺の幻影がスライムに向かって突き進む。スライムロードは、それに反応して、触手を伸ばした。あっさりと撃墜される幻影。だが、それでいい。

幻影が最後に放った衝撃を、確かに感じたのだろう。スライムロードは、前方に触手を伸ばし、迎撃態勢を取る。この時に重要なのが、魔石を敵とは反対側、つまり背中側に移動させるという事だ。粘体であり、体内で魔石を移動させることができるスライムならではの行動だろう。

だが、俺はそれを狙っていた。なにせ、背中側から攻撃すれば、粘体部が薄いってことだからな。

『進化しても、習性は変わらないな!』

魔力をジェット噴射の様に吹き出し、突進する。

言ってしまえば、単なる突進。ただ、俺の全霊をかけた突進だ。

『この攻撃だけには、唯一名前を付けようと思っています。名付けて瞬天殺法!』

今はハイテンションだから、思い付きのままに叫んだが、冷静になったら、却下されるだろう。たぶん。

音が一瞬消えた。音速を越えている証拠だ。

ズドオオォォォォォォォォォッ!!

平原に響き渡る轟音。俺が剣じゃなかったら、耳がキーンとなって悶絶していただろう。

スライムロードは反応することもできず、その巨体に大穴を空けられていた。もちろん、魔石もきっちり消滅させている。

ブルブルブルブ――。

そして、スライムロードは動きを止め、デローッと地面に広がっていった。謎の粘液が地面に撒かれているような、ちょっと怪しげな光景だ。

『ふう、勝ったか……。しかし、結構ヤバかったな』

僅かな交錯で、刀身を半分近く溶かされた。奴に取り込まれていたら、一瞬で消滅させられていただろう。結果的に、一撃必殺で片づけたのは正解だったという事か。

〈自己進化の効果が発動しました。自己進化ポイント30獲得〉

なんと、魔石値が150も獲得できていた。さすが上級魔獣なだけあるな。

名称:不明

種族:インテリジェンス・ウェポン

攻撃力:352 保有魔力:1300/1300 耐久値:1100/1100

スキル

鑑定:Lv6、高速自己修復、自己進化〈ランク6・魔石値1516/2100・メモリ40・ポイント53〉、自己改変、念動、念動小上昇、念話、攻撃力小上昇、装備者ステータス小上昇、装備者回復小上昇、保有魔力小上昇、メモリ小増加、魔獣知識、スキル共有、魔法使い

さて、手に入れたスキルの検証もここでやっちゃうかな。かなり有用そうなスキルがあるし。

まずはジャブ。メインはあと回しにして、面白そうな軟化スキルから使ってみよう。

『おおう。軟らかくなってるよ』

レベルが低いから余り強くはないみたいだけど、確かに刀身が柔らかくなってる。体を揺すってみると、刀身がミョンミョンと振動していた。面白い。

擬態、硬化に関しては、あまり効果を実感できない。瞬間再生も、高速自己修復があるので、効いているのかどうか。

まあ、これから試すスキルの前では、前菜扱いだがな。

『次元収納、発動』

いわゆるアイテムボックス能力だった。

目の前にあった石ころが、消え失せる。再発動して、今度は出すようにイメージすると、小石が虚空から湧き出た。

草や石を複数仕舞ってみると、脳内に収納物の一覧が表示される。便利だ。

『あとは容量だな』

少ないと、正直がっかりなんだけど。まずは色々入れてみて、限界を探ってみよう。

『手始めに、こいつだな』

放置されていたグラトニー・スライムロードの死骸を収納してみる。その質量はかなりのもので、25メートルプール半分くらいの量はあると思う。

しかし、それも一瞬で収納できてしまった。それでいて、容量にはまだ余裕がありそうだ。

『さすが、上級魔獣のスキルだぜ』

俺にはそこまで意味はないけど、装備者には有用なスキルになると思う。食料の運搬とかね。

ちなみに、自己進化がランクアップすると、魔力や耐久値が全快する。そのおかげで、今の俺は完全無傷だ。ただ、精神的な疲労までは軽減してくれない。

『疲れたし、とりあえず今日は低エリアで狩りをしよっと』