軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1091 中身

シャルス王国からの侵略を退けたフランたちは、一旦バルボラへと戻ってきていた。

今は使者などを送って、シャルス王国の反応待ちである。回収した召喚具はすでに粉々に砕けていたが、ガムドが管理している。機会を見て国へと預けるのだろう。

その間、フランはバルボラの復興の手伝い中であった。

フランとしてはアレッサが気になっているようだが、バルボラも放ってはおけなかったのだ。また、アレッサの防衛が順調であるという情報も入ってきていた。元ランクA冒険者たちを招集して、かなり押し返したらしい。

無理にアレッサに向かわなくてもよくなったフランは、今はバルボラで炊き出しや瓦礫の撤去を行なっている。あとは、レイドス王国の間者の排除だな。

余程情報を手に入れたいのか、デリクの部下たちが数度に渡ってバルボラへと潜入してきたのだ。まあ、来ると警戒していれば、フランとウルシの目を欺くことは難しい。しかも、今はフェルムスとディアスもいるのだ。間者は即排除されている。

この時に活躍したのが、魔石兵から入手した『梟の目』と『聞き分け』というスキルだった。梟の目は、夜でもよく見えるというスキルだ。暗視よりも、動体視力に優れている感じだな。

聞き分けはその名の通り、周辺の物音がより聞き分けやすくなるというスキルだった。間者を捜すのに、非常に役立つのだ。

というか、あれだけ倒したのに、新スキルが3つしかなかったのである。まあ、ほとんどの魔石兵が、武術、武技、魔術系のスキルばっかだったから、仕方ないけどさ。

ほとんどが、もう持っているスキルだった。

残りの1つは、『金属軟化』というスキルだった。これも色々と使い道がありそうだ。今だと、歪んだ金属扉を直すのとかに重宝している。

そうしたフランたちの働きの甲斐もあって、最近のバルボラはなんとか落ち着きを取り戻していた。

何度かロッカースの様子を見に戻ったが、あちらも大きな侵略は受けていない。海軍が壊滅してしまっては、中々攻めてこれないってことだろう。

朝から晩まで動き回らずともよくなった俺たちは、あることに挑戦しようとしていた。

『じゃあ、試してみるぞ』

「ん」

ギルド内に与えられた、フランの部屋。天井に吊り下げられたランタンの灯りの下、フランはテーブルの上に置かれた複数の小袋を真剣に見つめている。

過去に様々な場所で手に入れた、アイテム袋たちである。ゴブリンから奪ったものもあれば、奴隷商人のアジトで手に入れた物もある。

呪法魔術を使えば、無理やり開けることができると聞いたことがあるので、今日はこれの中を検めてみるつもりであった。

まず、一番魔力の小さいものから試してみる。これは、どうやって手に入れた奴だったかな? 正直、どれがどこでゲットしたやつなのか、見た目じゃ分らん。

『ほっ! ぬぅぅぅ……』

「師匠、だいじょぶ?」

『ああ。奴隷の首輪を外すよりも、抵抗がかなり少ない。もうちょいで……』

一気に魔力を注ぎ込んでは、何が起きるか分からない。俺は慎重に、ゆっくりと魔力を高めていった。すると、アイテム袋が光を放ち、魔力が変質するのが分かる。

『これで開くかな?』

「どう?」

『おお! 開いたぞ!』

「なに入ってる?」

フランもワクワク顔だ。宝箱のような感覚なんだろう。ただ、すぐにその表情が微妙なものに変化してしまう。

『はずれだな』

「ん」

中には、鉄製のナイフと、少しのお金。それと携帯食料しか入っていなかったのだ。緊急事態に備えた、非常袋のような扱いだったのだろう。

その次に開けた袋から出てきたのは、大量の武器である。あまり品質が良い物ではないが、普通に使うことは可能だろう。山賊の武器庫代わりだったのかな?

『これも外れだったか』

「……ん」

そうして開けていくが、碌なものが出てこなかった。一番価値があったのが、なんの魔法的価値もない普通の銀の指輪だ。

出てきた物を全て売っても、30万ゴルドには届かないだろう。安くはないが、フランが求めるようなお宝には程遠い。

『これが最後だな』

「……ん」

フランの頷きが投げやり! だが、これはちょっと期待できるんじゃないかと思うのだ。何せ、込められた魔力がかなり強い。解呪も、一筋縄ではいかないだろう。

『はぁぁぁぁ!』

俺は魔力を大きく練り上げ、アイテム袋の制限を破壊していった。かなりの反発がある。もしかすると、セリメア王女たちの奴隷の首輪並みの強度があるかもしれない。

人の体だったら、全身から血が噴き出すような状態になっていてもおかしくはないだろう。まあ、俺なら問題ないけどな!

『よぉぉっし! 開いたぞ!』

「ん」

フランがちょっとだけ期待した感じで、アイテム袋を開いて中身を取り出す。すると、出てきた物を見て首を傾げた。

何枚もの書類が入っていたのだ。

「これ……! 奴隷の契約書!」

『しかも、こっちは顧客リストだぞ!』

どこから奴隷を連れてきたとか、どこに売るとか、様々な情報が書いてある。微かに呪法系の魔力が感じられるので、何らかの魔術がかけられているようだ。

契約書を見れば、最低限の権利などすら書かれていない。明らかに、闇奴隷の契約書だった。ただ、使われた形跡はない。

闇奴隷を作るために、あらかじめ準備していたものなんだろう。

『こっちのリスト……。貴族っぽい名前も多いが、どの国だ? もしかして、クランゼルなのか?』

「師匠、ここ」

『アシュトナーの名前があるな!』

それだけじゃない。アルサンドやオルメスと言った、アシュトナー配下の貴族の名前も載っていた。

やはり、クランゼル王国内の貴族も、顧客にいたのだろう。そいつらは単純に闇奴隷を買っているというだけではなく、レイドス王国と裏で繋がっている可能性があった。

アシュトナー侯爵家やその配下はすでに取り潰されているだろうが、それ以外にも残っている裏切り者がいるかもしれない。このリストは、そんなレイドスのスパイを炙り出すのに使えるだろう。

『変なところには預けられんな』

「ガムドたちは?」

『まあ、それが一番いいか』

エイワースはともかく、それ以外の3人にはそれぞれの伝があるだろう。まずは彼らに相談してみるべきだ。