軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1章-14 災いの前兆

王様がククリ村に視察に来てから2年ほどが経ち、季節は春を迎えていた。

この2年で変わった事は、ハウスト辺境伯がククリ村の近くに駐屯地を作り、兵士や医者がやって来たことだ。

しかし、最初の内こそ、村人は歓迎していたのだが、兵士の大半は柄が悪く横柄で高圧的な態度をとる為、やがて村人と兵士たちは対立するようになった。

その理由の一つに森の立ち入り禁止区域を設置した事があった。

禁止区域には、村から近く良質な薬草が多く採れ、比較的安全な所が含まれていたために反対意見が多かったが、村人の意見を無視する形で派遣されてきた兵士たちの責任者の一存で決められた。

さらに、兵士の中には薬草を採取し、コッソリと隊の出入り業者に売り渡し小遣い稼ぎを行う者まで出て来た。

これにより村人達と兵士達の間には、はっきりとした溝が出来てしまった。

元冒険者が多く兵士達よりも魔物の扱いには慣れている者が多い村である為、兵士達のせいで収入原や薬の備蓄が減るだけでいい事など無いのだから当然だ。

「母さん、薬草が大量だよ!」

俺はここのところ、薬草採取に力を入れている。

理由は兵士達のせいで、村の薬の備蓄が減っている為である。

そこで飛空で遠くまで短時間で行ける俺が薬草採取を担当し、母さんとじいちゃんが調合、父さんが狩りを行うといった感じで分担している。

たまに自分でも教えて貰いながら調合を手伝っていた為、一通りの薬の知識が身に付いた。

「ご苦労様。こんなにとって来るのは大変だったでしょ?」

と母さんが聞いてくるが探索と鑑定が使えるため、実はそれほど大変ではなかったのだ。

曖昧(あいまい) に答える俺を特に気にせずに、母さんは薬草を受け取り作業に戻っていく。

父さんが帰ってくると調合を止め、夕食の準備に取り掛かる。

そういった日々を過ごしていたある日、母さんが体調を崩してしまった。

幸い、薬の備蓄があったので治まりはしたのだが、体力が戻らずに安静にする日が続いた。

滋養強壮によく消化に良い物をと思い、山芋を掘りに行こうと村を出る。

しかし、村から出た所でガラの悪い兵士達に絡まれてしまった。

「おい、ガキちょっと待てよ」

「お前薬草をかなりため込んでいるだろ?俺たちに寄越せ」

などと12歳(見かけのみ)に絡んでくる兵士達、めんど臭いので無視をして通り過ぎようとしたら肩を掴まれた。

「無視してんじゃねえぞ、このガキ…ぐうぉふっ」

俺は肩に置かれた手を取り、ひねり落とすようにして地面にたたきつけ意識を奪う。

「なにしやがる、このガキ!」

もう1人が激昂して殴りかかってくるが、俺は容赦せずに、

「秘技、息子殺し!」

と禁断の一撃を繰り出した。

俺は悶絶し崩れ落ちる兵士をしり目に、飛行を使い目的の場所へと飛んで行くのであった。

正直やり過ぎた感もあったのだが、兵士達には俺も良い感情を持っていなかったので正当防衛という事にしといた。

目的地で山芋を見つけるとさっそく作業へと取り掛かった。

まず、土魔法を使い芋の周りの土を砂へと変える。

次に、折れないように気を付けながら掘っていき取り出す。

最後に、水魔法で洗い、火魔法で芋のひげ根を焼きマジックバッグへと入れる。

以上

2時間ほどで1メートル程の山芋が5本採る事ができた。

前世ではこの内の1本を掘るだけで、2時間以上かかる事もあるというのに魔法は本当に便利だ。

この世界の山芋は、自然薯と長芋の中間位の粘りを持つものが多く、滋養強壮や消化に良い食べ物であるが、都市部ではあまり食べられてはいない。

食べ方も輪切りにして焼いたり、小さく切ってスープの具にするのが一般的である。

我が家では、すりおろして味付けしたのをご飯(主流では無いが栽培されている)にかけたり、出汁で薄くのばしたものをスープの様にして飲んだりしている。

もちろん俺の考案だ。

こちらの世界ではご飯にかける習慣が無かったが、今ではククリ村でひそかに広がっている。

ちなみに米はインディカ米のようなものが多いため、炊くよりも湯がく方が多い。

山芋のついでにウサギやマル鳥を狩り血抜きしてバッグにしまった。

村に帰ると入り口でまた兵士達に絡まれたが、雷魔法の『スタン』で気絶させた。

正当防衛だから仕方が無い。

夜は全長が2メートルにまで成長したシロウマルがいるから、襲撃に来たらすぐにわかるだろう。

夕食は俺が作った、メニューはウサギのスープにとろろ汁と湯がいたご飯にした。

父さん、母さん、じいちゃんに俺で囲む食卓、村に変化はあったが俺の家族にとっては些細なことで、昔から変わらない笑顔に囲まれて楽しい日々を過ごしていく、今もそしてこれからも幸せは続いて行くと思っていた。

その1か月後に災いが降りかかるまでは。