軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

339話 リシュラ王国王宮、謁見

エルフの里で二日間の休暇を過ごし、リシュラ王国の王都、そのエルフ屋敷にやってきた。午前中は謁見の段取りの確認や、ミズホ攻略のための物資や兵員輸送、作戦の最終確認などで忙しく過ごした。午後から国王陛下との謁見である。そこでミズホ攻略を公表、正式な依頼を受けることになっている。

謁見が終わればそのまますぐに現地に飛び、明日になれば速攻で攻め入ることになる。国王の政敵が文句を言う暇も、ダークエルフに情報が伝わる時間も与えない。

エルフ屋敷から王宮へは歩いていける距離だ。王都に駐屯しているエルフの魔導部隊を先頭に大通りをゆるゆると王城へと向かい、それを見にくる見物人たちが道々に詰めかけていた。

勇者の帰還。そして子爵への叙任をすると事前に位告知をしてあったらしい。みんなも一緒だが俺は一人馬に乗って揺られながら勇者の正装だ。王国民へのお披露目も兼ねているのだろう。目立ってはいるが、ヘルムで顔を隠しているともうさほど気にもならない。

周囲の声に耳を傾けるに大歓迎という雰囲気でもない。勇者も王国ではまだ噂レベルのようで、好奇心から見物に来た者が大多数なようだ。

王宮の外門を抜けたところで馬を降り、俺とサティ、リリアと師匠だけになって王宮へと足を踏み入れる。

サティは護衛だが、王国では人気のあるエルフの王女であるリリアと、世界的にも有名で伝説でもある剣聖が謁見には同行する。王国でも名声が鳴り響いているらしい聖女様も連れて来たかったのだが、アンはできれば遠慮したいと断られた。まあアンが居て何かできる場面でもない。ウィルも候補に上がったが他国の領土に関する案件に帝国の王子がいるのは問題があるかもと同行を辞退した。

「剣はこちらで預かりましょう」

王宮の入り口で武装解除の要請があった。帝国では平気で帯剣のままだったけど、普通はそうだよなと、抵抗する理由もないので剣を外して預けておく。俺は魔法使いでもあるしアイテムボックスには相当数の武器があるからあんまり意味がないと思うのだが、さすがにアイテムボックスまで改められることはないし、剣を外しただけで身体検査もない。形式的なものなのだろう。

サティはここで待機をする。護衛の待機所があるらしい。

「お、お待ちをっ」

剣を腰に帯びたままするっと進もうとする師匠を警備が押し留めた。気配を殺していてもさすがに警備兵の眼の前を通れば気が付かれないわけもない。

「なんだ?」

「腰の剣をお預かりします」

「断る」

そう堂々と師匠が言うと警備の部隊が騒然とし、何人かが腰の剣へと手をかける。しかしすぐに待つのじゃとリリアが周囲を手で制した。

「こやつは剣聖バルナバーシュ・ヘイダ。国王の前での帯剣も許されておる」

その言葉に護衛の騎士が慌てて確認に走ったのを見ながらリリアに聞いた。

「そうなのか?」

「知らぬ。が、何度もこのまま顔を合わせておるしな? ダメなら剣聖殿もサティと共に待っておれば良いじゃろ」

それはそうだ。俺も国王陛下とは何度か会い、その場には普通に師匠が居るし、俺も師匠も武装解除などすることはない。王宮では違うのだと言われればそれまでだが、ここでの武装解除も今更感がある。

そう待つこともなく騎士が戻り、そのままどうぞということになった。

騎士に先導され、さほど歩くこともなく謁見の間へと到着する。王宮のサイズ感は帝都の半分以下。移動が楽でいい。そして扉を抜けてホールへと踏み入れると国歌の演奏が始まった。演奏はエルフの楽団。ホールの両側には貴族や官吏たちが並んで立っている。

広いホールの中をリリアと師匠を左右に従えゆっくりと進み、数段上の壇上に座る国王陛下の前で止まり、跪いた。

リリアは一緒に跪いたが師匠は立ったまま軽く頭を下げるのみだった。その態度に謁見の間に集まった貴族や官吏たちがざわめく。

「良い。この者は特別だ。二人も楽にせよ」

国王のその言葉に俺たちも立ち上がる。

「リリアーネ王女、よくぞ参られた。こうして我が王宮にエルフの王族を招くことができるのは、いつあっても嬉しいものだ」

「ここのところ忙しかったからのう。しかし最近転移を覚えてな? 今後は頻繁に交流を深めることになろう。エルフの里への訪問も歓迎しようぞ」

「なんと! 王女自らが転移魔法を習得したとな!」

茶番であるが、こうしてはっきり宣言するのも重要なことだ。

「うむ。それでじゃ。リシュラ王の要請あらば、エルフの里のみならず、帝国であろうと神国であろうと運んで進ぜよう」

「それは本当に有難い話だ。エルフの友誼とリリアーネ殿の厚遇に感謝しよう」

王国には転移術師はいるという話だが、人を運べる者は居ない。それを王であれば利用しても良いとしたのだ。転移で緊急に移動しなければならない用件などそうあるものでもないが、貴重な貴重な転移術師の確保は、次期帝王ですらエルフと敵対してでも欲したほどの力だ。それを王だけが利用できると宣言したのだ。この茶番も王権強化の一環である。転移を使いたければ王に願い出、エルフの王女に働いてもらう必要があるということだ。その貸しは高く付くことだろう。

「そして剣聖バルナバーシュ・ヘイダ殿。伝説をこの目にできるとは実に光栄だ。機会があればその剣技を披露してもらえぬだろうか?」

「弟子のマサルが世話になるのだ。その程度ならいつでも骨を折ろう」

「おお、それは素晴らしい。それにビエルスでは姪のフランチェスカが世話になったそうだな」

「フランチェスカは半年足らずの修行で奥義を習得してみせた。ワシのほうこそ良き剣士を育てる機会を与えてくれて感謝せねばなるまい」

そのフランチェスカは王の側で後方に控えている。後ほど出番があるのだ。

「そして勇者マサル・ヤマノス。ヒラギスでの活躍は伝え聞いておる」

「エルフ、そして仲間たちの助けもあり、勝利を得ることができました」

「戦場では勇者に相応しい力を示したというではないか?」

その言葉にはそうですねと頷くのみ。話すと長くなってしまうし、国王陛下には報告済みだ。

「しかし勇者と言うが、本物なのか?」

王の横に立ちそう発言したのは、事前に注意のあった人物。政敵で国王陛下の叔父でもあるワグナー公爵で間違いないだろう。六〇か七〇くらいの痩せぎすで眼光するどい人物だ。どことなく国王陛下とも似ている。

「周囲はそう言っておりますし、たぶんそうなのでしょう」

そう答えておく。自分でもそう名乗ったこともあるが、断言していいものかといまだに思う。公式の場で、何よりこの場には真偽官の姿も見えるとなると尚更だ。

「陛下。このような怪しげな輩を王国貴族にそれもいきなり子爵に列するなど、考え直したほうがよろしいのでは? 聞けば冒険者上がりというではないですか」

「ほう。ワグナーは勇者を我が国に迎えるのは反対か?」

「それがそもそも怪しいというのです」

ワグナー公爵は完全に情報の蚊帳の外に置かれているようだ。いや、情報のある程度あった帝都でも最初の頃は、帝王に近づく勇者を名乗るかなり怪しい人物と見られていたようだし、信用を得るにはそれなりの時間や実績が必要なのだろう。

「ヒラギスはマサルに侯爵位を、帝国は帝王の孫娘二人との婚姻を申し出たそうだぞ」

「それは……しかし」

「そして神国皇帝の妹君、神託の巫女もマサル殿の元にいるそうだ。帝国の大神殿と神国神殿で正式に勇者として認められているのだ。そうだな、マサルよ?」

「それについては誤解があるようです、陛下」

「やはり紛い物か! 真偽官を前にして勇者を名乗れないのであろう!」

どこか嬉しそうに俺を糾弾にかかるワグナー公爵だったが、それに当の真偽官が待ったをかけた。年配で小柄な人のいいおじさんという感じの人だ。

「そのことであるがワグナー公爵。真偽院はマサル様を本物の勇者だと認定している。使徒で神託を受けているのを三名の真偽官が確認済みだ」

真偽官の言葉、それも公式の場での言葉は重い。発せられた言葉は絶対的な真実だと告げられるに等しい。

「ということであるが?」

国王陛下に促されたので説明を続けることにした。

「俺は使徒です。勇者のほうは……周囲が勝手にそう呼ぶのですが、俺の力を見ればそれに関しては納得することでしょう」

見せるのが一番早いと、俺の始めた詠唱に警備の騎士が騒然となるが、国王陛下の待ての声がかかる。

「【ブレッシング】」

広範囲にかけたブレッシングでホールに光が満ちる。ブレッシングは体力と魔力の継続微回復の効果だが、疲れていると疲労回復効果もあって、効果が実感しやすいのだ。

「かつて勇者が使い、勇者以後誰一人として使えなかった光魔法。これが俺が勇者と呼ばれる理由です」

使徒で光魔法を使う。違うと言っても、勇者じゃないはもう通らないとみんなも言うのだ。

「マサル・ヤマノスを我が国の子爵として迎える。文句のある者はおるまいな?」

ワグナー公爵も目を見開き驚きの表情で声も出せない様子だし、当然他の者で異論を唱える者もいようはずもない。

「マサル・ヤマノスよ、ここへ」

呼びかけに壇上を登り、国王陛下のすぐ前に再び跪く。いよいよ俺も宮仕えか、そんなことを考えながら丁重に頭を下げる。果たして一国に所属していいものかと思わないでもないが、まあダメならダメで捨ててしまえばいいのだ。

「ここにマサル・ヤマノスを子爵に任ずる」

「はっ、ありがたく。我が剣、我が魔法。王国と陛下の御ため、力を尽くすと誓いましょう」

その言葉に偽りはない。王国にも発展してもらう必要がある。そして王には最低でも二〇年はがっちりと王国を統治してもらわなければならない。内戦などしている余地はないのだ。

「うむ。王国貴族の地位に恥じぬよう、努めるが良い」

「つきましてはお願いがあります」

「申してみよ」

「ゴルバスの地の開拓、このヤマノス子爵にお任せください」

因縁の地の名前にホールがざわめく。開拓に失敗し、魔物の逆襲でゴルバス砦があやうく陥落しそうになったのはほんの一年ほど前の話にすぎない。

「王国と陛下の負担とはなりません。我が手勢のみにて魔物を駆逐してみせましょう」

「陛下。やはりこの者は王国に害をなしますぞ。ゴルバスは危険な土地です。刺激してはなりませぬ」

この展開にまたワグナー公爵が文句を言いだした。まあ真っ当に考えればリスクが高すぎる話ではある。

「ヤマノス子爵は先だってのゴルバス砦の防衛にも参加したそうだな。かなり厳しい戦いだったと聞くが、それでも可能だと申すか?」

「あの時は光魔法も習得しておらず、剣聖への師事もいまだの未熟な身でしたが、今ならばすべての魔物をこの手で殲滅してみせましょう」

その言葉に陛下は満足げに頷く。

「ワグナー、ゴルバス砦はすでにエルフの手によって防衛力が強化されておる」

「……二度目の失敗はもはや庇い立てできませんぞ?」

前回の失策でこれ幸いと王の権力を削りにかかったくせに、まるで庇ったことがあるような言い草だ。

「再びゴルバス砦が魔物に攻め込まれ、陥落したならば余が責任を負おう。それで良いな?」

「王にそこまでの覚悟がお有りになるなら」

「ゴルバスの地は今後、ミズホと呼称する。マサル・ヤマノス子爵よ。ミズホの地を見事魔物から奪取してみせよ」

「お任せください。新たなる王国の土地を王に献上してみせましょう」

そう言って頭を下げた。それはそれとしていつまで跪いていればいいのかな? 後ろのほうでリリアも口を出す。

「我らエルフも当然マサルに全面的に協力する。剣聖殿の配下も多数参加するし、ヒラギス、帝国、神国からもマサルに協力すべく兵力の供出を約束してもらっておる」

「王国からは中央軍及び、ストリンガー公爵領軍が参加することになっている」

そう国王陛下も続けて言う。

「すべて計画済みというわけですか……」

「聞けば反対したであろう? それに頼めば兵か兵糧を出してくれたか?」

「王国はどこもかしこも疲弊しております。兵だけならともかく、兵糧などどこから用意するのですか? それにヒラギスや神国に帝国の兵を王国に入れるなどと、正気の沙汰とは思えませぬ」

ああっ!? もしかしてゴルバス砦の時、帝国の救援が結局は来なかったの、こいつが反対してたせいか!?

「兵糧は我らで十分な量を用意した。心配なら他国の兵は直接戦場に送ることにしよう。もちろん兵糧もな。そのための転移魔法じゃ」

ミズホの地は魔境だ。今は王国領でもなんでもない。理屈としては国境侵犯には当たらない。国王陛下もミズホ攻略に関して話を続ける。

「ヒラギスの王配はウィルフレッド殿で、フランチェスカの夫でもある。帝王と神国皇帝とも先日会談をして共に勇者へ協力することを確認しておる。転移魔法というのは実に便利なものだな」

ワグナー公爵すらそれには黙ったまま。他国とも完全に交渉が終わっていてはもはやどこからも反論のしようもない。

「王国軍の指揮はフランチェスカだ」

「お任せください、陛下。王国のため、この身は惜しみませぬ」

本当は全軍の指揮を任せたかった、ぶん投げてしまいたかったのだが、やはり俺が総大将でなければ収まりが悪いということになったのだ。まあ不具合でもなければ、事前に立ててある作戦通りに進行するだけだ。

「兵員、兵糧。攻略作戦。すべて準備が整っている。そうだな、子爵よ」

「準備は完全に終わっております、陛下」

「では命じる。出陣は明日だ」

明日と聞いて、さすがにホールがざわめいた。

「転移とは便利なものなのじゃぞ、公爵殿。皆の衆も聞け。明日の出陣にあたって観戦武官の希望を募ろう。勇者の戦いを最前線にて見たい者は本日中、日が落ちるまでに城に人を寄越すが良い。転移で戦場まで連れて行って進ぜよう。公爵殿も歓迎するぞ?」

目を泳がせるワグナー公爵。味方であれば遠慮することもないのだが、背中を刺しかねない政敵相手では戦場であることを差し引いても恐ろしいのだろう。

「では陛下。出陣の準備がありますのでこれにて失礼します」

ようやく立ち上がることができて王に一礼をする。

「吉報、期待しておるぞ」

「では戦況の報告は毎日することとしようかの」

リリアの言葉に陛下も頷き、それで謁見は終了となった。そうして陛下の前から退出し、サティを拾って王宮前で待っていたみんなと合流した。何かと引き止められるかと思ったが、さすがに明日出陣とあっては遠慮したのだろう。思ったよりも早く終わった。

「別に待ってなくても良かったのに」

「なにかあった時に近くに居たほうがいいでしょ」

そうエリーが言う。いくら俺でも毎回なにかあるわけでもないと思うが……

「王とも話が付いていたからの」

「政敵とやらもそんなにうるさくなかったし、真偽官の人が擁護してくれたから」

「うむ。それにワグナー公爵とやらも思ったよりも口先だけであったな」

完全に根回し済みのあの状況で、誰であってもどうにかできるとは思わないが。

「そもそもが本当に王位を狙うならいくらでも機会があったはず。それをあの歳まで実行しなかったのじゃ」

だから結局は口先だけとリリアは断じる。俺ならもっとうまく統治できるとうそぶきつつも、反乱を起こして現王家を廃する気概もないし、王に積極的に協力するつもりもない中途半端。その程度の人物なのだろうと。

「ああ、それから観戦武官の話は初耳なんだが」

そう言って観戦武官の話をみんなにもしておく。

「あれはその場の思いつきじゃな。まあ以前にもやったように我らが面倒を見れば良いじゃろ」

後は……特にないか? 作戦の確認は午前中に済ませたし、王宮での用事は思ったより早く終わった。すぐに戦場へ行くとは言っていたが、今から行っても特にすることもなく待機するだけとなる。

「とりあえずエルフの里に戻って休むか」

「そうね。始まってしまったらしばらくは忙しいだろうし」

そう言ってエリーも頷く。ミズホの攻略自体はそう長くはかからない予定であるが、そのあとの開拓もある。町を作ったことはあるが、領地全体となるとどれだけ時間がかかるかわからない。

エルフの里へと転移し、城の俺の部屋に腰を落ち着けた。戦いを前に体力を消耗するわけにはいかないので、みんなとのんびり雑談だな。

千年計画もさすがにこのタイミングで話を持ってくる者もおらず、クルックたちは魔力の習得が完了して、今は科学知識の学習と実際の魔法使用の訓練をしているはずだ。

「ミズホが終わって時間ができたら何をしようか?」

ふとその先の予定がないことに気がついて聞いてみる。

「マサルは剣の修行があるでしょ。私たちも春になればまた忙しくなるだろうし、そう暇にはならないと思うわよ?」

エリーがそう言う。春になれば収穫と徴税で領地が忙しくなるし統治に終わりはない。確かに予定と言ってもヒラギス陥落のようなことがなければ、俺たちが本格的に戦うこともないだろうし、対魔物と考えるなら千年計画を進めることが一番有効に思われる。

航空機や戦車なんかの兵器、移動や輸送手段もだが、いま一番ほしいのは通信手段だ。有線通信は電線を伸ばすことで今でも可能だが、それを世界中となると途方もない時間がかかる。無線技術の確立が急務なのだが、今のところ大きな進展が見られない。千年計画は研究開発範囲が多岐で広範囲に渡っており、部門ごとに割ける人員に限りもある。

「それもそうか」

そう頷いておく。何もなくても普段から忙しいのに、新しく予定を立てることもない。千年計画も始まってわずか二カ月ほどだ。一部で大きな成果が上がっているからとはいえ、焦ることもない。それに予定ならティリカの出産も近くなるし、アンも……

「やあやあ、暇な時間ができたんだって?」

ずかずかと家族の団らんに踏み込んできたのはデランダルさんである。剣の師匠だしエリーの領地では世話になっているし、千年計画でも重要な研究を任せている。その上ミズホの統治でも協力もしてもらう予定で、最近はほぼ仲間、家族に準じる遠慮のない立ち位置になっていて警備も素通りだ。

「どうしました? 無線のほうでなにか進展でもありました?」

「そっちはまだまだだね。ようやく必要な技術要素がわかってきたところで、チームを分けてそれぞれ開発にかかっているところだよ」

「つまり完成の目処が立ったと?」

「そうとも言うね。それより時間があるなら、新曲を頼むよ!」

それは吉報だ。無線があれば転移を使って世界中どこへでも即座に救援に赴ける。

しかし新曲かあ。まあ戦いを前に気持ちは落ち着かないし、こういうときに心を鎮めてくれるのが音楽だ。落ち着いた曲がいいだろうか。それとも戦場を前に勇壮な曲がいいだろうか。深夜までには時間はあるし、両方やろうか。どうせ仮眠も満足には取れないだろうし。

出撃は明日〇時。つまり日付が変わり次第となる。夜明けを迎える頃には砦二カ所の制圧は完了している予定である。

国王陛下には当然計画は知らせてあるが、朝一に砦二つをすでに構築したと報告すれば、王国の重鎮たちはさぞかし驚くことだろう。そして朝日とともに全軍を投入し、魔物たちが何か行動を起こす前にすべてを終わらせるのだ。