軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25話 マヨネーズを作ろう

お風呂からあがり、気持ちを落ち着かせる儀式を終えると賢者タイムが発動していた。サティは言われたとおりゆっくり洗ってきたんだろう。少し時間がたってからお風呂からあがってきた。

目が合うと、サティの顔が赤くなった。さすがに恥ずかしかったのだろう。

「あ、あの、がんばりますのでよろしくお願いします」と、頭を下げる。

「ああ、うん。こちらこそ……」

しばらく2人で無言でたたずむ。なんでこんな展開になっちゃったんだろう。買った次の日に手を出すとか、クルックとシルバーに顔向けできない。予定では時間をかけて恋を育んでいくはずだったのに。考えてると突然サティに声をかけられた。

「あ、あの!」

「は、はい!」

「今から何をしましょうか?」

えっと、なんだっけ。そうだ!ティリカちゃんが来るんだった。準備しないと。それと布団はやっぱり買っておこう。あとはマヨネーズ、時間かかるかもしれないから先に作っておくか。とりあえず後のことは後に考えることにして、目先のことに集中することにする。

「今からお昼ご飯の準備をします」

卵と酢と油を用意する。卵は何の卵かわからないが、鶏卵くらいのがあったから、割って黄身と白身を分離した。酢も何の酢かわからないが、ちゃんと酢の味がしたし、油もなんの油かわからないが、油は油だろう。まずは卵1個だけで試作だ。

サティに説明しながら混ぜ合わせていく。まずは酢と黄身。そこに油を少しずつ加えていく。混ぜるのは途中からサティに代わってもらった。

指でとって味見をする。うん。マヨネーズだ。サティにも味見をさせると、おいしいと喜んでいた。でもなんか違う。なにか足りない。ああ、調味料か。塩と砂糖、あとはスパイス。レモン汁?レモンはないしまあいいか。調味料を少しずつ入れ、サティが混ぜ合わせる。味見をする。うん、マヨネーズだ。間違いない。

合いそうな野菜を選んでマヨネーズをつけて食べてみる。うん、美味しい。一口食べて、サティに残りを全部あげた。

「美味しいです!こんなの食べたことがありません」

「これはマヨネーズという調味料だよ」

「まよねーず……」

サティはマヨネーズを野菜で綺麗にぬぐって食べていた。

よし、じゃあ量産するか。分量とかメモするのに、紙とペンが欲しいな。布団のついでに買いに行っとくか。ふと気がついて訊いてみる。

「サティ、読み書きはできる?」

ふるふると首を振るサティ。これはそのうち教えないとだめだな。今日のところは日誌を取り出し、マヨネーズのレシピを書き込んでいく。大匙小さじでかなり目分量だ。重さを量るやつどっかに売ってなかったかな。レシピを確認する。こんなものかな。あとはやりながら調節するしかない。

卵を割って黄身と白身に分離していく。白身はあとでスープにでも入れよう。サティにも卵を割らせる。2個失敗して涙目になっていたが、これも回収してあとで卵焼きだな。ああ、ゴミ箱がない……。卵の殻はとりあえず流しにおいておけばいいか。

「サティ、昨日の弁当の入れ物とかどうした?」

「かまどで燃やしました」

なるほど。

「ゴミってどうやって処分する?」

「えっと、埋めるか燃やすかだと思います」

ゴミってあんまりでないしそれでいいのかなあ。まあとりあえずはマヨネーズだ。

サティに指示を出しながら、材料を加えていく。そして最後の攪拌作業。油を加える行程はひたすら混ぜる。ハンドミキサーがあれば楽なんだけど、人力でやるとなるとかなり重労働だ。

「サティ、味見はしてもいいけど、ちょっとだけだぞ。昼にたっぷり食べさせてあげるから。じゃあがんばってくれ。おれは買い物に行ってくる」

「はい。行ってらっしゃいませ」

まずは家具店へ行って布団を購入。2部屋の分と、予備で3組。手頃な値段のを買っておく。紙を売ってる店があったので、ノートになってるものをペンとインクとセットで2組買った。サティとおれの分だ。ついでに隣の店に本屋があったのでのぞいてみた。

奥にしわくちゃのお婆さんが座っていて、本を手に取ろうとすると、「立ち読みはお断りだよ!」と怒られた。

「子供に字を教えるときに使うような本はないですかね」

「そうだね。これなんかどうだい。安くしておくよ」

絵本のようでだいぶ擦り切れていたが、中を見る分には問題がなさそうだったので買うことにした。中は手書きっぽかった。絵も文字も全部手書きか?印刷技術はないんだろうか。

「あと勇者の話ってありませんか?」

「それならこいつだね」

勇者の物語、全10巻。超大作だな。こっちも中古で装丁がかなりぼろくなっていて、補修のあとも見られる。だが、ちゃんと全部読めるとお婆さんが保証するので買った。2つで600も取られた。中古なのに本って高いな。全部手書きならそれくらいはするのか?もっとゆっくり見ていきたかったが、サティが待ってるのでまた今度来よう。

市場もついでに見て回ると、馬乳を発見した。あまり飲む人もいないそうで、チーズはないかと聞いたら、馬乳を仕入れたところならあるかもしれないと。これは是非買いにいかねば。トマトは購入済みなのでこれでピザが作れるぞ!

雑貨屋で重さを量る天秤を見つけたが、高いうえに料理には向かなさそうだったので諦めてゴミ箱と、何点か雑貨を購入して帰宅した。サティはマヨネーズを完成させてぐったりと机につっぷしていた。

「ご苦労さん。疲れただろう。どれどれ……」

味見をしてみると、なかなかいい出来だ。これなら店でも出せるだろう。

「うん、美味しくできてる。えらいぞ、サティ」

きちんと褒めて、頭をなでなでする。サティはえへへへと喜んでいた。

一旦冷蔵庫にいれておこうとして、ラップがないのに気がついた。ラップとかアルミホイルとかないと不便だなあ。とりあえずそのままいれておく。

まずはゆで卵。ゆで卵とたまねぎを刻んでマヨネーズをあえて、調味料で味をととのえると、タルタルソースが完成。サティに味見をさせたらすごく気にいったようだ。もっと欲しそうにしていたが、冷蔵庫に仕舞う。

サティにはスープの準備をしてもらう。ドラゴン肉と野菜のスープ。調味料は塩とスパイスを少し。その間に、から揚げの仕込をする。肉を一口大に切って、調味料をもみこみしばらく放置。あとは小麦粉をつけてあげるだけ。パンを半分くらい切り取って、細かく刻んで生パン粉を作る。カツ用の肉も切って、スパイスで下味をつける。これもあとは衣をつけてあげれば完成と。

サラダにパン、スープ、から揚げのタルタルソース和え。ドラゴンカツ。うん、なかなかに豪華だ。こちらの料理、ソースやスパイスが揃ってるから悪くないんだが、日本ほど料理のバリエーションはない。そのうちラーメンやカレーも再現してみたいな。

デザートも作っとくか。馬乳が手に入ったから、プリンが作れる。馬乳と卵、砂糖を混ぜてコップにいれて、お湯で10分ほどゆでる。カラメルは今日はめんどうなのでなし。できたら冷蔵庫に冷やしておく。アイスも作れるかね。作ったことはないけど、今度試してみよう。

まだお昼までは時間があったのでサティに卵焼きを作らせてみた。さきほど割るのを失敗した卵に塩とスパイス、砂糖と馬乳を加える。フライパンに油をひいて、焼く。最初はスクランブルエッグでいいか。完成したのを2人で仲良く試食する。

「おいひいです」と、はふはふ食べるサティ。砂糖が甘くていい感じだな。卵焼きにはケチャップが欲しいから、今度作ってみるか。なんか、色々やってると足りないものばかり増えてくるな。

「マサル様はすごいです!こんなに色々料理ができて!」

ニート時代は暇に飽かせて色々作ってたから料理はそこそこ得意だ。うちの母親、和食専門で、から揚げとかの洋食は食べたければ自分で作るしかなかったんだよな。外食?お金使いたくなかったし。

「サティもだいぶ料理ができるようになってきたじゃないか。もうスープなら作れるし、卵焼きもできるだろ」

「マサル様が教えてくれたおか……」

サティが急に言葉をとめて、扉のほうへ顔を向けた。

「扉のところに、誰か来ました。2人です」

すぐに、どんどんと扉が叩かれた。聴覚探知Lv3か。すごい地獄耳だな。

「おーい、マサルー!いるかー」と、この声は副ギルド長だ。

出ようとするサティを引き止めて「はーい、今行きますよ」と扉を開ける。

副ギルド長に隠れるようにしてティリカちゃんが立っていた。

「おう。今日はティリカを招待してくれて、ありがとうよ」と、禿がにっかり笑う。

「早いですね。昼にはまだ少しあるのに」

「ティリカがずいぶん楽しみにしててなあ。せっつくんで早めにきちまったよ」

「あ、中へどうぞ」

「ほら、ティリカ」

「おじゃまします」と、小さい声でつぶやいて中に入る。

「あー、副ギルド長もどうです?料理は多めに用意してありますよ」

ごつい禿を家に招くのはちょっと嫌だったが、社交辞令的に誘ってみる。

「いやいや、邪魔しちゃ悪いからな。それに仕事もあるし、あまり長時間はあけられん」

この人、ぶらぶらしてるだけであんまり仕事してるの見たことないけど、まじめに仕事してたのか。

「そんなことよりティリカをよろしく頼むぞ」と、顔を近づけ小声になって言う。

「あいつ、友達が少なくてな。今日だってすごく喜んでたんだ。あと、帰るときはおまえがきちんとギルドまで送ってきてくれ。なんなら今日は泊まっていかせてもいいぞ」と、ニヤニヤ。何考えてんだこのおっさん。

「それとこれ、お土産だ」と、お酒を渡された。20年物の上等な品らしい。

「お酒ありがとうございます。泊まりはともかく、ちゃんと送っていきます」

「よしよし。じゃあな、ティリカ、楽しんでこいよ!」

そういうと、副ギルド長は帰っていった。

ティリカちゃんは食堂の椅子に座り、サティにお茶を出してもらってこくこくと飲んでいた。

「もうちょっと待っててね。そろそろ作り始めるから」

「今日は。ありがとう」と、ティリカちゃん。

「うん。口に合うかどうかわからないけど、楽しんでいってね」

「ん。楽しみ」

油をいれた鍋を火にかけ、スープももう一つのほうにかけ、薪を追加する。サティにから揚げに小麦粉をつける作業を任せて、カツの衣を作る。小麦粉をまぶし、溶き卵につけて、最後にパン粉をつける。から揚げもカツも多めに用意してある。余ったらアイテムボックスに保存しておけばいいし。

手をべとべとにしながら作業をしていると、またサティが「誰か来ました」と言ってきた。エリザベスかな?そろそろ来てもおかしくないし、アンジェラにもいつでも遊びに来てねと言ってある。

手が小麦粉とかでべとべとなので洗っていると、サティが、2人が扉の前で何かしゃべっていますと言う。エリザベスとナーニアさんだな、きっと。クルックとシルバーにはまだ教えてないし。

手をきれいにして、扉に向かう。扉をあけると、アンジェラとエリザベスが立っていた。

「「マサル!」」