軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7層 俺のターン! 寿命(ライフポイント)を払い、転移スキルを発動するぜ!

ついに俺のチートスキル無双がはじまる。

――というわけで自衛隊のおかげで湧きの少ない6層を降りる。

階段では自衛隊員さんのテントがちらほら。

そして深夜なのに、いやだからか。見張りをしていた人に呼び止められた。

「君、この先は数も多いしかなり強いのが出る。一人で潜るのはオススメしない」

「なるほど? ではこれでどうでしょう?」

俺はこっそり階段の先を目で見て確認、【 楔指定(アンカーポイント) 】でV字の印をつけた。

「【 割り込み(イン) 】」

「なっ!?」

「貴方では俺を目で追うことすらかなわない、つまりはそういうことです」

「うそだろ……」

ドヤァ!

これが俺TUEEEE主人公の心境か。いや、やつらはその力を自覚していない。

俺は俺の 相棒(【命の楔】) を認知している。

ある意味俺の勝ち、イェイ!

え? 【平常運転】? 知らない子ですねハイ。

ルンルン気分で7層へ突入。

変わり映えのない風景に少しがっかりしつつももう慣れたものでマッピングを開始した。

しばらく歩くこと十数分。

「おっ……いや多くね?」

役職持ちゴブリン集団は変わらずだが、その数八体。そして見知らぬ一際大きなゴブリンも一体いる。金属製の鎧に、その図体に見合った盾と剣を持った個体だ。

なんか歴戦の猛者感を出てるし、ヤツはジェネラルと呼んでやろう。

だが、残念だったな。覚醒南くんとなった今の俺にとって、たかがゴブリンの群れなぞ恐るるに足らんのだ。

「死ねぃ! いんいんいーん!」

【 割り込み(イン) 】を発動しては首を飛ばすといった作業を繰り返して新顔のジェネラル君を残して殲滅。試しにジェネラルの動きを観察する。

二メートルを優に超える巨体。

それに見合わぬ速度でジェネラルは動いた。

剣を持つ手が内側に寄せられる――振り払いの予備動作だ。もちろんまともに食らうと死ぬのでジェネラルの頭上に座標指定&転移。

ガラ空きの首めがけて肉包丁で切断し――

「は?」

バキッと派手に音を立てて、道半ばで包丁の方が砕け散ってしまった。雑に使っているとはいえ、それなりのお値段したのに。ムカついたので柄の部分でぶん殴ってから後退、する前に。

「ゴリラがよおおお!」

耳元で発狂してから退散。

正直あの肉包丁で薄皮一枚も無理なら、今ある武器でヤツを倒せるのは――ゴブリンの剣だけだ。

その辺に放り投げておいた剣を拾って両手で構える。

「グギャィア!!」

「お前らワンパターンだなぁ! 語彙力も品性も無ぇくせにご立派に二足歩行、してんじゃねぇ!!」

猛スピードで突進しながら真正面から剣を振りかぶってきた。俺も走って距離を詰め、スキルで背後をとる。

「ニュートンスラッシュ!」

またの名を重力まかせの振り下ろし。

骨が金属でできてるのかと思うくらい固く、ヤツが反撃してくるまでに削れたのは、首から数センチ程度。

ダメージが入るなら勝てるな。

一撃でももらったら死ぬだろうが、全部避けてチマチマ削っていけばいい。対策してくるような脳みそ、ゴブリンにはないんだから。

こっからは 単純作業(平常運転) だ。ゲームでやってることを現実でもするだけ。

真に命をベットした勝負に俺は少しワクワクしながらも、どちらかが死ぬまで戦うデスマッチを開始したのだった。

一万年と二千年後。

嘘です、約一時間後。

被弾は当然ゼロ、体力の消耗も一瞬でも落ち着けば回復するからある意味完勝だ。唯一の被害はゴブリンの剣が半分ほどでポキッといってしまったことだろう。

長期戦の中で気付いたのだが、俺は剣を鈍器として使っていたらしく、折れてからようやく斬るという感覚が掴めてきたのだ。

というわけで無理やり使い潰してやっとこさ倒せましたとさ。

「――AIBOOOOO!!!」

うう……まともな武器が突っ張り棒とクソ弱ナイフしかない。トンカチも一応あるけど、ジェネラル相手はキツイだろう。なんせ ゴブ剣(ゴブリンの剣) が眼球にすら弾かれたのだから、こいつらが傷をつけるのは不可能に近いはず。

「はーあ。火力系のスキルがよかったなー」

転移は確かに便利だが、やはり攻撃力が足りない。少し策を講じないとこの先死にかねない。

次出くわしたら取り巻きだけ魔石に変えて6層へ転移で逃げようと心に決め、マッピングを再開した。

色々とネットでサーチしつつ歩いていると、女性の声が聞こえた。

「――ちゃん!」

「はぁはぁ、まだ、まだ……! くっ……」

だいぶ苦戦してるらしい。

割って入るかは悩みどころだが、今は深夜で自衛隊の見回りも少ない。放っておいたら最悪……なんてこともあるだろう。

俺は正義のヒーロー様ではないが、行き詰まっている現状、ストレス解消という名のリフレッシュが必要だろう。ダンジョンで生じたストレスはダンジョンで。

「まあ、マッピング中に仏さんとあっても気まずいし手伝うかー」

のんびりとした口調で、全力疾走で声のした方へ走る。先の戦闘の経験値かなにかか、今の速度は一般的な自動車の速度は出ていそうだ。まだ免許とれる年齢でもないから何キロかは知らんけど。

そしてすぐに戦闘音の出処に到着した。

同い年くらいのメガネを掛けた少女と、魔女みたいなコスプレをした女性が、さっきのとは比べものにならない巨体のジェネラルと戦っていた。

その後ろには10体のコマンダーが。

明らかに押されていたので、俺は咄嗟に座標指定と転移でジェネラルの耳元へ。

「んにゃぁあああああ!!!!」

奇声で隙を作って少女達に仕切り直す隙を与えたのだった。