軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6層 ゴブ剣

スライムを浴びるように飲んだので全身が青リンゴのスメルになってる可能性もあるので風呂に入って制服に着替えて学校へ。

いつも通りの時間に出発したが、いつもより早く到着した。まさか足が速くなった?

意識すらしていなかったが、身体能力が向上しているのだろうか。だとしたら、目に見えるわけではないが、ファンタジーらしくレベルアップとかしている可能性もある。

それならそれで、良いことでしかないからヨシ。

誰もいない教室、自分の席でもともと作る予定の攻略サイト用の文言や情報のまとめをスマホで始める。

しばらく集中してポチポチしていると、ふと視線を感じたので顔を上げる。

「あ、やっと気付いた。南っち、おはおはー」

「 八百枝(やおえだ) 君、おはようございます♪」

「あれ、 蛇字丸(じゃじまる) さんは? 愉快な仲間たちの方しか居ないの?」

俺の席は陽キャと清楚に包囲されていた。

「 友(ゆー) ちゃんなら机で寝てるよ。朝弱いから! こんなに気持ちいい朝なのに!」

「ソッスネー」

この人はそんな蛇字丸さんとは対照的に、常にテンション高いけどそれはそれで疲れないのだろうか。

「……ふと思ったのですが、八百枝君って私達の名前覚えてませんよね?」

「えっ、そうなの!?」

「蛇字丸さんに名前負けしてるから」

「たぶん名前負けって使い方違うと思う!」

「ちゃんと覚えていただきたいです。 矢園(やぞの) 雪奈(せつな) ですよ。ほら、刹那っていう言葉もありますし、かっこいいと思いませんか?」

おー、確かに。

「かっこいいかも。いや、めっちゃかっこいいじゃん! 覚えたぞ。よろしくどうぞ、セツナァッ!」

「……まあ。いきなり下の名前を呼び捨てされたのなんて、はじめてかもしれません♪」

「まあ 矢園(やぞの) はダサいから忘れそうだし」

「ダ……そうですか」

俺、弓矢より剣が好きだからね。

「ズルいっ! 私も私も! 藤根(ふじね) 兎渡香(ととか) だよ!」

「じゃあ、とーちゃんで」

「ヤだよ!! もっと可愛いの!」

「ほらほら、授業始まるから帰った。とととーととーととさん」

「原型!!」

なんて一幕もありつつも、俺は極力彼女らを追い返したり逃げたりして接触を避けた。

なぜかって?

シンプルに一人が好きなのと、はじめてのホームページ制作に手間取っていたのもある。

その場のノリで必要最低限は関わるけど、自分から交友関係を深めようとは思わない。

――何はともあれ、平穏無事に週末まで時間は過ぎた。

金曜の夜、予定通りダンジョンへやってきた。

「人増えたなー」

俺が協会本部の意外な賑わいに驚いていると、ちょうど出勤してきた様子の 司條(ロリきょぬー) さんが横に並んだ。

「倒せば倒すほど強くなる、って話題になったのと、探索者の募集の二回目が数日前に行われたからですよ」

「やっぱレベルアップ的なやつあるんすねー」

「職員も自衛のためそれなりに上層で 狩り(パワーレベリング) しましたけど、実感はあんまりですけどね」

「ま、先は長いってことでしょうよ」

そんな雑談もしつつ、人混みをスイスイ避けて、5層へ降りた。先週から潜ってる人もそれなりに居たせいでここら辺も混んでいる。

軽くその辺のグリーンスライムを拾い飲みしつつ、次の階層へ降りた。

「んぉ、ここは人少なめだな。さては危ないゾーンとみた」

とはいえ自衛隊も戻ってきているようで、湧きは多くない。警戒しつつマッピングを開始した。

時折派手な戦闘音が聞こえてくるものの、俺の近くにモンスターが湧くことはなく、マッピングが完了してしまった。

「しっかし、重いなー」

ここに来るまでとマッピングでかれこれ四時間、拾ったゴブリンの剣を担いでいたが、いい加減肩が凝ってきた。もしかしてソードゴブリンが鈍足なのって、剣が重いせいなのでは?

協会に頼めばこの無駄にデカイ剣、短剣とかにしてくんないかなー?

鍛冶スキル持ちとか抱えてそうだし。

なんてことを考えながら、次の階層へ行くべきか悩んでいると、ようやくモンスターが目の前で湧いた。

ゴブリンが、5体。

ソード、シールド、レッドキャップ、メイジ、コマンダーだ。

そうそうたるメンツ。惜しむらくはアーチャー氏が除け者にされているという点だ。やーい、アーチャーくんのボッチ(はーと)。

……やめろよ、ボッチをバカにすんな!

というわけで、俺はゴブリンの剣を構える。

さあ、ようやっと俺にもファンタジー感の溢れる戦いができそうだ。