軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

自重を覚えました?

「ワッハッハ! あの魔道具でそんな誤解を受けたのか?」

「笑い事じゃ無いっすよ親父さん……お陰で皆の冷たい視線が……」

あの後、結局誤解は拭い切れず、女性陣からの冷たい視線を浴びる事となった。

誤解なんだけど、確かにその効果がある事は間違いないので何を言っても効果がなかった。

ただ、魔道具としては有用なので、皆身に付けてくれている。

「ハッハッハ! まあ、制作者の意図しない効果や使われ方はよくある事だからな。そんなに気にしなくてもいいだろ」

「俺の場合、逆だと思われてますけどね……」

「そんなに落ち込むな。ホラ、通信機、出来てるから」

「ありがとう! 親父さん!」

前回訪れてから数日後、なぜ今日もビーン工房に来ているのか。それは、今日が無線通信機の試作品が出来上がる日だからだ。

「じゃあ、まずはこれに付与を掛けて……」

受け取った通信機は大きなトランシーバーのような形をしており、金庫に付いているようなダイヤルでゼロから十二までの番号を指定出来るようになっている。

ダイヤルに番号を合わせ、通信ボタンで通信開始。通信終了ボタンで通話を終了させるように付与を掛ける。

ちなみに、中はいわゆる基盤のようなものを取り入れてる。

これのお陰で複数の部品を利用でき、その部品毎に付与が出来るようになってる。

これを親父さんに提案した時「何て画期的な……」と感動していた。

それはともかく、魔石をセットして早速テストしてみる。

「じゃあ、俺が一番を持ってみるんで、親父さんは二番を持って」

「おう!」

「じゃあ、二番に発信」

発信するが、何も反応が無い。

「ん? 失敗したか?」

「んー? あ! 着信音!」

「着信音?」

「回線が繋がった事を知らせる音ですよ」

「ああ、そうか。確かにこのままじゃ分かりづらいか?」

「着信音かあ……とりあえず、それは後回しで……『もしもし?』」

「お! 声が聞こえたぞ! 『おう聞こえるか?』」

「あ、聞こえますよ。じゃあちょっと離れてみますね」

無線化した通信機から親父さんの声が聞こえたので、工房の外に出てみた。

「親父さん、聞こえますか?」

『おう、バッチリ聞こえるぜ!』

「他の通信機はどうです? 通話が聞こえますか?」

『いや、この通信機だけだな。ちゃんと番号指定出来てるぜ』

「よかった。じゃあ次です」

そう言うと、通信機の通話終了というボタンを押し、次にオープン回線であるゼロ番を指定し、通話ボタンを押した。

「もしもし聞こえますか? 通信機全体から声が出てますか?」

『おお!? 通信機から一斉に声が聞こえたぞ!?』

「良かった。これも成功ですね」

『はああ……自分で造っといてなんだが、スゲエもん造りやがったな』

「ははは……後は、どれだけの距離を通信出来るかですね」

『それは良いけどよ、番号を変えてくれ。うるさくてかなわん』

あ、オープン回線のままだった。親父さんの方では通信機から一斉に俺の声がしてるんだろう。

「すいません。一旦切って二番に掛け直します」

『おう』

もう一回通話終了ボタンを押し、ダイヤルを二番に合わせて通信ボタンを押す。

「親父さん、聞こえますか?」

『おう、聞こえるぞ。しかしあれだな、やっぱり繋がった事を知らせる音は必要だな』

「そうですね……そこは要改良ですね」

『まあ、俺の方でも考えとくよ。で? どれだけの距離を通信出来るかって話だよな。テストするか?』

「はい、お願いします」

そこで一旦通信を切り、ゲートで俺の家に行く。

「あれ? おかえりなさいシン君。もう工房での用事は終わったんですか?」

「いや、今まさに実験中」

「実験中?」

「うん、親父さーん、聞こえますかー?」

『おう、聞こえるぞ。今どこにいるんだ?』

「俺の家です」

『シンの家? ああ、この前マークが覚えたって言うゲートか』

「そうっす」

「ちょいとお待ちい! な、な、なんだいそれはああ!?」

とりあえず、工房から家まで、徒歩十五分位の距離なら大丈夫だと確認出来た時点で、ばあちゃんから声が掛かった。

「これ? 無線の通信機」

「む、むせ……!」

無線のところでばあちゃんが声を失った。

有線の通信機でも付与魔術師の夢って言ってたからなあ、無線は衝撃的だったんだろう。

「ア、アンタは……またとんでもないもの創って……!」

「まあ創ったは良いけど、まだ流通はさせないけどね。有線の通信機の普及の方が先だってオーグに言われてるし」

「……流通させる気なのかい」

「便利だよ?」

「便利過ぎるよ!」

「でも、まだ試作品だから、これから改良しないといけないんだけどね」

「本当に……この子は本当に……」

ばあちゃんが何かを諦めたようにブツブツ言ってる。

そんな事よりテストの続きだ。

「すいません親父さん。お待たせしました」

『お、おう、それより……大丈夫なのか? 導師様、お怒りなんじゃ……』

「ハハハ、ばあちゃんはいつもこんな感じですよ」

「誰のせいだい! 誰の!?」

『……本当に大丈夫なのか?』

「大丈夫ですって。じゃあ、次はもうちょっと遠くまで行ってみますね」

『おう』

一旦通信を切って、シシリーに告げる。

「って事で、今から通信機のテストしてくるから。帰ったらシシリーにもテストしてもらうからね」

「は、はい」

「じゃあ、行ってきます」

「はい。あ、ちょっと待ってください」

「ん?」

「襟が……」

服の襟がめくれてたらしい。シシリーはチョイチョイと修正すると、うんと頷いた。

「はい、大丈夫です。行ってらっしゃい」

「うん……なんかいいな、夫婦っぽい」

「え……フフ、じゃあ……行ってらっしゃい、ア・ナ・タ」

やっべ……幸福感で胸がいっぱいだ。

「……じゃあ、行ってらっしゃいのチュウを……」

「あ……」

「さっさとお行き! このお馬鹿!」

ばあちゃんの激しい突っ込みで、行ってらっしゃいのチュウは無しだ。

くそー。

で、次に来たのは森の家。変わらずばあちゃんの結界魔道具が機能してる。

ここまで馬車で数時間程の距離。次にテストする距離としては一気に伸ばしすぎたかな?

とりあえず通信機を起動させる。

「親父さん、聞こえますか?」

『おう、聞こえるぞ。今どこにいるんだ?』

「ここも届くんだ……馬車で数時間行ったところです」

『馬車で数時間!? それでも届くのか!?』

「みたいですね……どこまで届くんだろ?」

『それをテストしてるんだろ』

「そうでした。じゃあ、次に行きます」

『おう』

さて、次はどこに行くか。

ここより遠いところっていうと……。

そして俺が来たのは、スイード王国だ。

三国会談の行われる国だし、一度ゲートで行ってみておこうと思っていたのでついでだ。

「親父さん? 聞こえますか?」

『おう。聞こえるぞ』

「……ここも届く」

『あん? どこまで行った?』

「スイード王国」

『ス……!』

さすがに絶句してる。音声送信しか付与してないのに……どこまで届くんだ? 本当に……。

「こうなると、トコトン調べたいですね」

『そうだな。で? 次はどこに行く?』

「順番に行きましょう。次はダームに行きます」

『分かった。待ってるぜ』

そしてゲートでダーム王国に行き、通信機を起動。

『スゲエな……まだ繋がってるぞ……』

カーナン王国、クルト王国と順番にテストして行くが……。

『……これ……どこまで届くのか恐ろしくなってきたな……』

「もしかして、ですけど……」

『なんだ?』

「魔力がある限り繋がるんじゃ……」

『……魔力を伝達してるって事か?』

「多分……調べてないし、調べようがないから分かんないですけど……」

実際に付与したのは番号を指定した音声送信と音声受信だけだ。

それだけで無線通信が出来た。

電波だとか、そういう専門的な知識は前世でも持ち合わせていないのに。

となると考えられるのは……。

有線の通信機は魔物化した大蜘蛛の糸を魔力が伝って伝達した。

という事は、音声送信は魔力を伝達するんじゃないだろうか?

電波みたいに発信するんじゃなくて。

……仮説だけじゃ何とも言えないな……。

この世界の裏側まで行けば分かるかも。

確か、星の丸みによって、人工衛生を中継しないと電波って星の裏までは届かないはずだし……。

人工衛生を中継しないで届いたとなれば、魔力を伝達してるって事になると思うし。

ともあれ、それはまた後日だな。非常に気になるけど……。

「じゃあ、親父さん。一旦戻ります」

『おう』

ゲートでビーン工房に行く。

「うお! もうクルトから戻って来たのか!?」

「そういう魔法ですし」

「本当に、色々と理解が追い付かねえな……」

「はは、じゃあ通信機、貰って行きますね。代金は振り込んどきますんで」

「試作品だから別に構わんが……」

「そういう事、ナアナアにしちゃ駄目ですよ。じゃあ、皆で色々とテストしてみます。改良点が出てきたらまたお願いします」

「おう。俺の方でも着信音の件、考えてみるわ」

「お願いします。では」

そう言ってビーン工房を後にし、家に帰った。

「おかえりなさい、シン君」

『おかえりなさいませ』

「ただいま。早速なんだけどさ、これシシリーの通信機ね」

「あ、さっきの……」

「これから皆に使ってもらって、改良点をあぶり出していきたいんだ。協力してね」

「はい。緊張しますね……」

「はは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。言ってしまえば、ただ通話するだけの道具なんだから」

ネットが出来たり、メールが出来たりする訳じゃないからね。

「それが凄いんですけど……」

「この子の価値観はどうなってんのかねえ……シンが凄いって言う物がその内出てくるのかねえ……」

「シン君の言う凄い物……空を飛ぶ船とか?」

「……既に浮遊魔法を使って空を飛び回ってるからねえ……その内創っちまいそうだ」

「あ、あはは……」

凄い物ねえ……飛行機は創ろうと思えば創れると思う。

なんせ反重力による浮遊魔法は成功したんだ。

前世の飛行機より安全な乗り物が出来ると思う。

本当なら、確か翼に丸みや角度を付けて揚力を発生させなきゃいけないはずだけど……そんなの全く知らないしな。

反重力の魔法を付与すれば、垂直離着陸機は創れる。

……試してみるか?

「シン!」

「なに? ばあちゃん」

「アンタ……アンタ今とんでもない物を創ろうとしてたね?」

「え? 声に出てた?」

「顔に出てたんだよ! それより! やっぱり何か創ろうとしてたね!?」

「なんという誘導尋問……!」

「あの……シン君、分かりやすいです……」

前にも言われたな。そんなに顔に出るんだろうか?

「アンタは、何か思い付いた時にニヤっとすんだよ!」

「うそ!?」

「本当です……」

マジかあ……それで皆すぐに見破るのね。

「よし。気を付けよう」

「そっちを気を付けるんじゃなくて! 突拍子もないこと考えるのを自重しな!」

「ええー?」

皆が反応するまで突拍子もないことって自覚がないもの。

「無理」

「無理じゃなーい! 本当にアンタといいマーリンといい、なんで思い付いた事をすぐに実行しようとすんのかね!?」

「血は繋がってないって言ってましたけど……本当のお祖父さんとお孫さんみたいですね……」

「いやあ……」

「ほっほ、照れるのお」

「褒めてなあーい!」

本当の祖父と孫みたいと言われて、ちょっと嬉しくなっているとばあちゃんに怒られた。

「そんなに怒ってると血管切れるよ?」

あ、ばあちゃんがプルプルしだした。

「誰のせいだい! 誰のおおお!」

今までで一番大きい怒鳴り声だった。

オッカネエ……。

それより、飛行機は当分先になりそうだ。

先に車……いや、二輪か?

あ、でも自走する乗り物を創っちゃうと、今運営している乗り合い馬車業界とか、馬の生産者とかが困るか……。

うーん……。

あ! それより、先に馬車のサスペンションだった!

先にダンパーを創らないと、四輪も二輪もないからな。

スプリングだけでいけるか? やっぱりオイルダンパーも創んなきゃ駄目かな? オイルダンパーってどんな構造だっけ?

確かラジコンカーを作った時に作ったんだけど……。

「また何か企んでるね!?」

「またバレた!?」

「いい加減におし!」

そんな、ある意味日常茶飯事なやり取りもありつつ、シシリーを家に送り届け、いざ寝ようかという時にふと思い付いた。

「シシリー? 聞こえる?」

『ひゃっ! え? シン君?』

「そう、通信機」

『あ、これですね。ビックリしました』

「やっぱり、着信音は必要だな」

『着信音?』

「通信が繋がったよって知らせる音」

『ああ、そうですね。あると便利ですね』

「まあ、それはもう問題点として上がってるから。ところで、今部屋?」

『はい。そろそろ寝ようかと』

「そっか、俺も」

『ところで、どうしたんですか?』

「いや……寝る前に声が聞きたくなって……」

『そ、そうですか……嬉しいです。一日の終わりにシン君の声が聞けて……』

「そ、そっか」

『はい……』

うわ、俺から掛けたのにメッチャ恥ずかしい!

でも、その言葉がメッチャ嬉しい。

「じゃ、じゃあ最後にこれだけ」

『なんですか?』

「おやすみ、シシリー」

『は、はい! おやすみなさい、シン君』

そう言った後、通信を切った。

いいな、これ。習慣になりそうだ。

寝る前にシシリーと声を交わしたという幸福感に包まれて、その日は眠りについた。

「おはよう、皆」

「おはようございます。皆さん」

「うむ、おはよう」

「おっはよー!」

「今日は制服だな」

「もうあんな恥ずかしい思いはしないよ!」

アリスは先日、大いに恥を掻いた事によって、パジャマで来る事はなくなった。

その内、また来そうだけどな。

「それより、今日は皆に渡したい物があるんだ」

「渡したい物?」

「また意味の分からない魔道具ぅ?」

ユーリの評価が非道いな。付与魔術師からすると、俺の魔道具は意味の分からない物なんだろうか?

あ、だからばあちゃんが過剰に反応するのかな?

「ホラ、前に言ってた」

「……まさか、もう創ってしまったのか?」

「うん。はい」

異空間収納から取り出した無線通信機を皆に渡す。

「やっぱり……」

「魔石の存在を知ってから、あっという間でしたね……」

「おおー! で? で? どうやって使うの?」

呆れ顔のオーグやトールと興味津々なアリスと二つに反応が分かれた。

使い方を説明し、番号について伝える。

「番号は、分かりやすいように、入試番号順になってるから」

「なるほど、私は二番か」

「私は三番ね」

「でさ、これまだ試作品だから、皆に使ってもらって、改良した方がいい点を教えて欲しいんだ」

「これで十分な気もするが……」

「それがそうでもないんだよね」

今のところ分かっている問題点を伝える。

「なるほどな。分かった。考えてみよう」

無線通信機を皆に渡して、試してみて欲しいと伝えた翌日、教室に入ると、何やら眠そうな人物がチラホラと見られた。

「あうう……眠いい……」

「アリスは喋りすぎ。私は途中で寝た」

「リン非道いんだよお! あたしが喋ってるのに寝るんだもん! おかげでしばらく独り言喋ってたじゃん!」

「寝る前に二時間はやり過ぎ」

「だってえ……」

これは、また別の問題点だな。

長電話かよ。

「マークとオリビアも眠そうだな。お前らも長電……長通信か?」

「え!? あ! そ、そうッス!」

「そそそ、そうです!」

なんでそんなに動揺して……あ、まさか……。

「マーク……お前……」

「は、はい!?」

「おーし、皆揃ってるな。朝のホームルームを始めるぞ」

アルフレッド先生が来てしまった。

ちっ、マークを追及出来なかったな。

まあ……ここで正直に話されても、どう対応していいか困っちゃうんだけどね。

それより、使った感想を聞けなかったなあ。

休み時間は短いし、昼は食堂に一直線だし、放課後かな。

主に、歴史や地理、数学等の座学だけの授業が終わり……ここ何学院だっけ? 放課後になった。

「やっぱり、通信が繋がった事を知らせる音は必要。突然アリスの声が部屋に響いて怖かった」

「ちょっとお! 怖いは言い過ぎじゃない!?」

「体験してみれば分かる。あれは怖い」

「分かったよ。じゃあ、今日はリンから通信してきてね」

リン以外からも、やはり着信音は必要だという声が多かった。

事前に言ってたしな。意識させてしまったかもしれない。

「後、番号がこれだけというのは、さすがに少なくないか?」

「今のところはチーム内で使うだけだからね」

「だが……シンの言う使い方をするなら、各国との通信が集まる部屋……仮に通信室としようか。そこに緊急連絡が入った際、そこからの連絡はどうする? つまり、もう一台いるぞ?」

「あ、そうか……この通信機に連絡する通信機がいるか……」

通信機同士の送受信に気を取られて、実際使った際のシミュレーションをしてなかった……。

「番号指定がダイヤル式じゃ限界があるかあ……」

「要改良……だな」

「分かった。サンキュー、問題点が見えたわ」

いずれ流通させるにしても、指定出来る番号が少ないと意味無いな。

「とりあえず、通信室には、番号を振ってない送信専用の通信機を置くか。一方通行になるけど、緊急連絡は受信出来るし」

「そうだな。とりあえずはそれで凌ぐしかあるまい」

「他には?」

「あの……誰から通信が入ったのか分かり難いです……」

オリビアがおずおずと発言した。

「うーん、いずれはそれが分かるようにはしたいんだけど……如何せんその為に開発しなくちゃいけない事が多すぎるんだ」

「あ、そうなんですね。じゃあ、我慢します」

言ってる事は分かるけど……その為には最低でもディスプレイを開発しなきゃいけないしな。今はちょっと現実的じゃない。

「後の問題は……長く通信しちゃう事かな? おかげで寝不足よ」

「それは自制してくれとしか言いようがないな」

今回出た改良点は。

着信音を付ける。

もっと多く番号指定が出来るようにする。

将来的にディスプレイを付ける。

かな?

ディスプレイはともかく、着信音と番号指定数を増やすのは、親父さんと相談だな。

「オッケー、皆ありがと。改良版の完成は多分時間が掛かるから、とりあえずはそれそのまま持ってて」

「分かったで御座る」

「しかし……ここだけ、時間が先に進んでいる錯覚に陥りますね……」

「錯覚じゃなくてぇ、本当に進んでるよぉ。ウォルフォード君の創る魔道具って、付与魔術師が夢に見てる物ばっかりなんだもん」

この世界では、あんまり新しい発明って聞かないんだよな。

魔法があるとあんまり不便を感じないのかもしれない。

クルト王国でばあちゃんが農機具の魔道具を創った時もそうだけど『必要は発明の母』だからな。

「ところで、もうこれ以上は無いだろうな?」

「ん? んー……」

「まだあるのか……」

「ああ、いや。今のところはまだ魔道具じゃないよ」

「今のところ……いずれは魔道具……って事か?」

「まあね。ただ、今の世に及ぼす影響を考えると今すぐ出来ないんだけど」

俺がそう言った時点で、皆がざわついた。

「うっそぉー!? ウォルフォード君が自重したぁ!?」

「天変地異の前触れで御座るか?」

「あわわわ! 逃げないと! どこかに逃げないと!」

皆の動揺っぷりが非道い。

自動二輪や四輪を創る事が、今の世に及ぼす影響くらい分かるわ!

「フ、ようやく私の進言が浸透したようだな。で? 何を創る気だったんだ?」

「ああ、自走する乗り物をね、創ろうかと……」

あれ? 皆の顔が……。

「やっぱりね……」

「創るのを自重しても……」

「考えは自重してないよぉ!」

呆れた顔になってる。

「お前……お前はあ……!」

「オ、オーグ?」

「何も変わっておらんではないかあ!」

またマジギレされた。

創るの自重するって言ったじゃん!