軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

秘密の暴露と皆の反応

「ち、違う世界で生きた記憶……だと?」

オーグは信じられないといった表情でそう呟いた。

「待て待て待て! それは一体どういう意味だ!? 前文明とは違うのか!?」

信じられないというよりも、意味が分からないという感じだな。

それは皆も同じようで、困惑気味な顔をしている。

その中で、誰よりも理解が早かった者がいる。

「シン! そ、それって、異世界ってことなのかい!?」

都市伝説大好きなトニーだ。

その手の雑誌でも度々『異世界からの来訪者』だの『異世界への扉』だの、胡散臭い特集が組まれることがある。

都市伝説愛好家の中では、異世界って割とポピュラーな話題だったりする。

実際俺自身が異世界で生きた記憶を持っているので、そういった記事が載っていると思わず読んでしまう。

もしかしたら、俺以外の転生者がいるのかもって。

ただまあ……そういった記事のほとんどは捏造なんだけどね。

異世界の詳しい話は載ってないし、必ず最後は『かもしれない』とか『思われる』って口上で締めくくられるからな。

「そ、それで!? シンのいた異世界ってどんなところなんだい!?」

「トニーは疑わないのかよ?」

「正直言って、シンが異世界から来たって言われたら妙に納得したよ!」

トニーがそう言うと、皆も納得したような顔をした。

「え? それで終わり?」

「それでって、どういう意味よ?」

俺の言葉の意味が分からなかったのか、マリアがそう聞いてきた。

「いや、てっきり皆から軽蔑されるんじゃないかって、ずっと思ってたから……」

今まで、俺が前世の記憶を持っていることを打ち明けなかった理由を話すと、マリアが呆れた顔をした。

「正直言って、シンってもう別枠なのよねえ」

「別枠? なんの?」

「人間の」

「……」

あれ!? 俺、人間だと思われてなかった!?

「だから、異世界の記憶持ってるって言われると、ああ、なるほどって納得しちゃったわ」

「そうですね。正直シン殿の頭の中身はどうなっているのかと常々思っていましたが、異世界の記憶を持っているのなら色々と納得できますね」

「で御座るなあ」

「納得しちゃうのかよ!?」

トールとユリウスは、なぜか清々しい顔をしていた。

なんというか、喉に刺さった魚の小骨が取れたような感じだ。

そ、そんなに不審がられていましたか……。

「ねえねえ! じゃあ、あたしらが着てる服のデザインも異世界の記憶?」

アリスたちが着てる服って、キューティースリーの衣装か。

「まあ、そうだよ」

「それも納得。あれは斬新すぎる」

アリスと同じように、あの服を着ているリンも納得顔だ。

「ってことは、ウォルフォード君の開発する魔道具は、前世にあった魔道具ってことッスか!?」

「もっと教えてよぉ!」

マークとユーリは別のところに食いついてる。

……君ら、いつの間にそんな魔道具好きになったのかね?

と、そこは修正を入れないといけない。

「魔道具はなかったよ」

「「え?」」

俺のその言葉に、マークとユーリは首を傾げた。

「俺が覚えてる世界には、魔法は存在しなかったんだ」

『え!?』

その説明に、皆は意味が分からないという表情をした。

「ちょっと待て。お前の覚えている世界……もう前世でいいか。そこに魔法がなかったのなら、なぜあんな魔道具を思い付くのだ?」

「あー、前世の世界には魔法がない代わりに、科学が発達してたんだ」

「かがく?」

「ああ、この世界でも、物事には現象が起こるだろ? 火をつけたら燃えるとか、水を冷やしたら凍るとか、温めたら蒸発するとか」

「お前が魔法を使う際にイメージしているものだな」

「そう。それが発達していてね。それを応用することで、色々と便利なものが作られていたんだ」

オーグにそう説明するが、イマイチ理解できないらしい。

そりゃそうだ、魔道具は魔法で動いているもの。

それ以外の原理なんて理解できるはずがない。

「前世では色んな現象が利用されていたけど、一番多く利用されていたのは、電気だな」

「でんき?」

「雷だよ」

俺がそう言うと、雷の魔法を得意とするオーグが驚愕に目を見開いた。

「馬鹿な!? 雷は確かに強力な力だが、あれは一種の自然現象だ! どうやってそんなものを利用するというのだ!?」

「分かりやすく雷って言っただけで、自然界の雷なんて利用できないよ」

「自然界の……ということは、人工的に雷を作れるというのか!?」

「できるよ」

その言葉に、またも驚愕するオーグ。

「人工的な雷……電気を発生させる方法はいくつかあるけど、その全部を知ってる訳じゃない。そんな専門知識は持ってないからね」

「全部ではないということは、一部は知ってるということか」

「うん。こうするんだ」

俺は紙にモーターの絵を描いた。

軸にコイルを巻いて、周りに磁石を配置する、メッチャ簡単なやつ。

「ここに電気を流すと、この軸が回転する」

「……いや、電気の利用方法ではなく、どうやって発生させるかと聞いているのだが……」

「逆に、この軸を回してやると、電気が発生するんだ」

まあ、これはあくまで原理であって、実際の発電機はもっと複雑な構造をしてるんだろうけど、そんなの知らないしな。

「なるほど……こういった知識が、お前の中にはあるということか」

「まあ、あくまで一般的な知識だけ、だけどね」

「それで、そういった原理を使ってどういったものが作られていたのだ?」

オーグのその質問に、俺はできる限り答えた。

まず、俺が作りたいと言っていた車が世界中を走り回っていること。

車以外にも、大勢の人間を一度に運べる電車や、空を飛ぶ飛行機などがあったこと。

そして、宇宙にまで進出していることを語ると、全員の顔が呆然となっていた。

「ふう……お前が非常識な理由がようやく分かった。そういったものに囲まれていたお前にとっては、それが常識だったんだろう。そして、お前が当たり前に再現しようとしたことが我らにとって非常識に見えていたのか」

「その辺が山奥で育った弊害だったなあ。世の中にどんなものが流通しているのか知らなかったもん」

「そうか。ところで、その前世の記憶はいつからあるのだ? 生まれたときからか?」

「いや、俺が前世の記憶を思い出したのは、じいちゃんに引き取られたときだったな」

俺がそう言うと、オーグがしまったという顔をした。

「……すまん」

「いいって。まあ、そのときだから、両親の顔は知らないんだよ」

「そうか……」

そこから、ポツポツと話をしていった。

魔法のない世界から転生したので、皆がつまらないと言う魔力制御の練習が面白くてしかたがなくて、頑張りすぎたこと。

前世の科学の知識が魔法に応用できることが分かったので、遊びと称して魔法の実験をやりまくったこと。

基準が爺さんしか知らなかったのと、前世の記憶ではもっと凄い兵器とかあったから、これでも全然まだまだだと思っていたことなどを話すと、皆は呆れつつも納得したという顔をした。

それが、俺には不思議だった。

「あの……皆は怒らないのか?」

「なにを?」

俺の言葉に、アリスが不思議そうに首を傾げた。

「だって、ズルイ……とか」

俺がそう言うと、皆は顔を見合わせた。

「別にズルなんてしてないですよね?」

「え?」

シシリーが言った言葉が信じられず、思わず聞き返してしまった。

「だって、シン君のいた世界には魔法は存在していなかったんですよね? ということは、こちらに生まれ変わってから沢山練習したんでしょう?」

「まあね」

「じゃあ、シン君のその魔法の力は、努力で得た力じゃないですか。ズルイなんて誰も思いません」

シシリーはそう言うと、ニッコリと微笑んでくれた。

正直、この話をするうえで一番怖かったのがシシリーの反応だ。

俺とシシリーはもう結婚してしまっている。

こんな重大な秘密を隠したまま。

それを告白することで、シシリーから見限られるんじゃないかと、ずっと恐れていた。

けど、シシリーは受け入れてくれた。

「その……シシリーは怒ってない?」

「なにをですか?」

「俺が……このことを隠していたの……」

「そうですね……」

シシリーはそう言うと、少し俯いた。

「正直に言えば、話してくれなかったのは寂しく思います。けど、話し辛いのも分かります。ですから、怒ってはいませんよ」

「そっか……」

「ただ……」

「ん?」

「……私にだけ話してくれていればなあって思いました。そうしたら、二人だけの秘密にできたのにって」

恥ずかしそうにそう言うシシリーを見て、俺はなんて幸せ者なのかと思った。

こんな重大事を隠していたにも関わらず、変わらずに愛してくれているシシリーのことが愛おしくてしょうがなかった。

俺は思わず、隣に座っているシシリーを抱き寄せてしまった。

「シシリー……」

「シン君……」

「すまんが、そういうのはあとにしてもらえるか?」

「「!!」」

オーグのツッコミで我に返った俺たちは、周りに全員揃っていることを思い出し、高速で体を離した。

周囲を見渡すと、皆ニヤニヤしている。

「これは、さっきの話はウォルフォード夫人が一番最初になりそうだな?」

ここでさっきのママ友の話を蒸し返すんじゃねえよ!

ああ、シシリーも真っ赤になって顔を隠しているし。

けどそのお陰なのか、周りの空気は和やかなものになった。

正直、前世のことを告白することでこんな空気になるとは思ってなかった。

俺は、いわばズルをしていたわけだから、責められてもおかしくないと、むしろそうなると思っていた。

なのに、責めるどころかなぜか納得されてしまい、何事もなかったかのように今まで通りに接してくれる。

こんなありがたいことはない。

「皆……ありがとうな……」

「お前がなにに感謝しているのかは知らんが、もう少し詳しく話を聞かせてもらってもいいか?」

「ああ。なんでも聞いてくれ。答えられることにはなんでも答える」

「よし、じゃあまずは……」

オーグはそう言うと、次々に質問をしてきた。

その質問内容は多岐に渡り、俺が知らないことも多々あった。

その辺は申し訳なかったな。

ただ、世界の主な政治形態について話をしたとき、オーグがなにか考え込んだ。

「どうした?」

「いや……なあ、お前以外にも異世界の記憶を持っている奴がいると思うか?」

ああ、そのことか。

「いるよ……っていうか、いたよ」

俺がそう言うと、オーグは目を見開いた。

「断言するか……ということは、それが誰だか知っているということか」

「ああ、マッシータって知ってるか?」

「伝説の魔道具職人だろう? まさか、そのマッシータが前世の記憶を持っていたのか?」

「他にも怪しい人はいるけど、この人だけは確定だよ」

「なぜそんなことが言える?」

「ばあちゃんに、マッシータの日記を読ませてもらったことがあるから」

俺のその言葉に一番反応したのはユーリだった。

「伝説の魔道具師マッシータの日記ぃ!? うそ!? ウォルフォード君、そんなの持ってるの!?」

「ばあちゃんに見せてもらっただけで、俺のじゃないよ。頼んだら見せてもらえるんじゃね?」

「やぁん! うそみたいぃ!」

「うおっ!」

興奮したユーリは、俺に抱き着いてきた。

俺はソファーに座っていて、ユーリは立っていたので、俺の顔はユーリの胸に埋まった。

息が……。

「シン君……」

はい、ゾクッとしました。

左腕が凍りそうです。

「ユーリさん……恋人がいるのに、はしたないですよ……」

「あ、ごめぇんシシリー」

「ぷはっ!」

ユーリが離れたことで、ようやく息ができるようになった。

助かった……。

死因が、嫁以外の女性のおっぱいによる窒息死とか、絶対に許されない。

「ありがとシシリー。助かった」

窮地を救ってくれたシシリーにお礼を言うと、シシリーはちょっとむくれていた。

「私以外の胸に顔を埋めるなんて……」

「いや、俺がしたわけじゃないからね!?」

「……あとで上書きしますからね?」

ちょっと拗ねた感じの上目遣いでそう言うシシリーに抗うことなどできようか?

いや、できまい!

「うん。お願い」

「いい加減にしろよお前ら」

正面に座っているオーグのこめかみに青筋が浮かんでいる。

「すまん、で、マッシータがどうしたって?」

「……そこで普通に話を進められるのか……いや、シンの言う民主政治というのが気になってな」

「ああ。俺がいた時代はほとんどの国がそうだったな」

「それは、誰でも政治家になれるということか?」

「建前はな」

「建前?」

「そりゃそうだろ? 突然、なんの政治の知識もない一般人が選挙に出て勝てると思うか?」

「それもそうか」

「新人で当選するのは、弁護士とか医者とか、高学歴な人が多かったな」

「それが高学歴なのかどうなのかは分からんが、確かに学識がある者の方が有利か」

「あと、有名人」

「有名人?」

「芸能関係とスポーツ関係が多かったな。もともと認知度が高いから、票が集まりやすいんだよ」

「……それでいいのか?」

「ちゃんと政治について勉強してるんならいいんじゃない? 中には国の重要なポストについてた人もいたし。で? それがマッシータとなんか関係あんの?」

「いや、マッシータがどうこうではなくてな……もしかしたら、シンと同じような世界の記憶を持っている者がいるのかもしれないと思ってな」

「なんで?」

「いや……今はまだいい」

「なんだそれ?」

自分で話振っといて今はいいって。

なんか自己完結したのか?

「ところで、どうしてマッシータの日記を持っているメリダ殿がそのことを知らないのだ?」

「ああ、そのことね。前世の記憶云々に関しては、前世の文字で書いてあったから。それが俺が住んでた国の文字と一緒だったから、俺には読めた。けどばあちゃんは知らなかったから記号にしか見えなかった」

「まさか……」

「俺が付与で使ってる文字だよ」

俺がそう言うと、シャオリンさんがピクッと動いた。

「あれは、オリジナルの文字じゃなくて前世の文字だったのか」

「マッシータの魔道具に同じ文字で付与されてたからね。それで調べたんだよ」

「おい待て。マッシータの魔道具は全て失われたはずだぞ?」

「それがそうでもないんだよ。皆、市民証持ってる?」

「当たり前……まさか!?」

「そう、この市民証ってマッシータの魔道具なんだってさ。ばあちゃんに教えてもらった」

「そうだったのか……」

皆市民証を取り出してマジマジと見始めた。

マークとユーリは特に熱心に見てるな。

「ちょっと待ってください。ということは、前文明時代にもシン殿と同じような転生者がいたということですか!?」

シャオリンさんが、驚愕の面持ちでそう叫んだ。

「そうだと思います。というか、確定でしょうね」

「どういうことですか!? だって、シン殿の話では文明が発達したのは百年くらいのことでしたよね!? 前文明は何百年……もしかしたら、何千年も前の話なのに!」

「それを俺に言われてもなあ……もしかしたら、魂が世界を渡る場合は時間の概念がなくなるのかも」

「マッシータも二百年ほど前の話だ。シンの説が正しいのかもな」

「それこそ、神のみぞ知るってやつだな」

こればっかりは検証のしようもないしな。

「しかし……ということは、シン殿と同じ知識を持った人がいて、あの文明を作ったと……」

「まあ、一人じゃないと思うけどね」

「え?」

「あんなの、一人の知識でできるもんじゃない。もっと沢山の専門知識を持った人間がいないとあんな都市はできない。多分、何人もいたと思う」

「シンのような人間が何人もか……想像もしたくないな」

「おい」

それはもう、常識の違いってことで納得したんじゃねえのかよ!

オーグの失礼な物言いに憤っていると、トールがごく当然といった疑問を発した。

「しかし、そう都合よく異世界の記憶を持っている者がいるでしょうか? それも何人も」

「確かにそうよね。都合がよすぎるわ」

トールに同意したマリア以外の人も、そのことを疑問視する様子が伺える。

「その辺はどうなのだ? お前がそう言うということは、なにか思い当たることがあるんじゃないのか?」

オーグの質問に、俺は一瞬言うか言うまいか悩んだ。

だが、結局言うことにした。

秘密にしておいてあとから発覚するより、今のうちに知っておいてもらって対策をとる方がいいと判断したから。

「……俺が前世の記憶を思い出したのが、じいちゃんに引き取られたときって言ったろ? じいちゃんの話によると、俺は救出されたとき魔物に襲撃されたことによるショックと冷たい雨のせいで仮死状態だったそうだ」

仮死状態という言葉を発した際、隣に座っているシシリーが俺の手をぎゅっと握った。

俺は、その手を握り返しシシリーに微笑みかけた。

「じいちゃんが見つけてくれる前くらいには息を吹き返してたらしい。泣き声に気づいて俺を見つけてくれたそうだから」

安心させるようになるべく優しい声でそう言うが、シシリーはまだ泣きそうだ。

まだ一歳くらいの赤ん坊のときに、そんな体験をするなんてと思ってるんだろうな。

過去のことなのに、そんな風に思ってくれるシシリーの思いが嬉しかった。

「そんで、じいちゃんに治癒魔法をかけてもらったんだ。曖昧だけど、この辺のこともうっすら覚えてる」

「ということは、仮死状態から復帰したときに前世の記憶を思い出したのか」

「そう。で、マッシータの日記にも似たようなことが書いてあった。マッシータは幼少期に馬車に轢かれて生死を彷徨う大けがをしたそうだ。そして、その状態から復帰したときに、今までの記憶と前世で生きていた記憶が両方あって混乱したって書いてあった」

「……そういうことか?」

さすがオーグ、もう気付いた。

「多分、幼少期に死の淵から復帰すると、極稀に前世の記憶を思い出すんじゃないかと思う」

俺がそう言うと、アリスが不思議そうな顔をしていた。

「なんで極稀なの?」

「幼少期に死の淵を彷徨う子供は割といるだろ。怪我をしたとか、病気をしたとか」

アリスの疑問に答えると、シシリーがフォローする話をした。

「そう、ですね。治療院にも時々そういう子供が運び込まれることがあります。でも、前世の記憶を思い出したとかそんな様子は……」

「だろ? だから、極稀、なんだよ」

「そっかあ」

アリスはそれで納得した。

「あの、じゃあ幼少期というのは?」

今まであんまり会話に参加してこなかったオリビアが新たな疑問を呈してきた。

「大人は子供以上に生死の境を彷徨うことが多いのに、そんな事例は報告されてない。あとは単純に、前世の記憶を思い出したと思われる事例かな。あとこれは完全に想像だけど、脳が完全に発達する前だからってのもあると思う」

「ということは、他にもいるのか?」

「これは、マッシータみたいな証拠はないけどね。ソーロ船長はそうじゃないかと思ってる」

「ソーロ船長って、あのイーグル号のソーロ船長ですか!?」

俺がそう言うと、トールが食いついた。

トールって見た目と違って、冒険とか男の子っぽいの大好きだからな。

「ああ、ソーロ船長の伝記でさ、幼少期のことが書いてあったんだ。子供のころ崖から落ちて大けがをしたソーロが死の淵から帰還すると、天才になっていたってな」

「なるほど……まさにシンの言う説と一致するな」

「証拠は見つけてないんだけどね」

ひょっとしたら、マッシータと同じように手記とか残ってるかもしれない。

ただ問題は、ソーロ船長ってアメリカ人っぽいから、その手記は英語で書かれてるであろうこと。

……俺、英語は苦手なんだよな……。

けど、ソーロ船長の手記は探してみても面白いかもと考えていると、オーグがハッとした表情になった。

あ、これは気付いたな。

「おい、まさか……前文明の人間はそれに気付いて……」

そういうオーグの顔は真っ青だ。

そして、そこから連想される事態に、他の皆の顔色も悪くなる。

「多分な。前文明の人間は、幼い子供を死の淵に追いやり、治癒魔法で無理やり蘇生させたんだ」

俺がそう言うと、ミン家のリビングは痛いほどの静寂に包まれた。